超大作なので体調の良い時に見ないとなと考えていたが

再び梅雨らしくなり気温が少し下がった先日の夜

京都の執拗な湿気にまとわりつかれながら

よし行くか!と出かけました

 

映画の宣伝でインタビューに出ていらした吉沢亮さんを見て

この映画はきっとすさまじいんだろうなと前々から感じていました

 

彼の持つ雰囲気は個人的にちょっと苦手なタイプだったんです

ヌルッとした感じが尖がったまま表に出ていて・・・

だけど「国宝」のインタビューに出ていらした吉沢さんは

すっかり雰囲気が変わっていました

その湿気は彼の深いところに収まっていてそれがかえって気品あふれる

底知れぬ美しさに変わっていたから

彼の奥行きを一気に変えたこの映画

きっとすごいぞ・・・

 

そう思っているうちにSNSには見られた方の評価がどんどんあがり始めました

人の感想は後から読んでみるとしてまずは見に行かなくちゃ

と出かけたわけです

(あまり前情報は入れたくない派なので)

 

***

 

3時間はあっという間でした

役者陣がすごかった

 

「怪物」に出演していた黒川君の最初の舞は

身体からその女形のもつ物語が視線を通して

動きをとおして醸し出されていました

 

ああ永瀬正敏さんもでていらした

貫禄あったなあ(濱マイクよくみてました)

 

万菊(田中泯さん)のこっちへと呼ぶ手の一振り

無言の視線

 

俊介(流星さん)の前半の藤娘のどこか血筋の油断が見える口角

そして後半の藤娘の女形の口角

 

最初から美しい女にしか見えない喜久雄(亮さん)

 

幕を開けてと声を振り絞って叫ぶ半二郎(謙さん)

 

映像も舞台上から客席にむいて見ているシーンもあるので

同じ役者側の(経験している)視線になる

何が起こっているのか目の前でみている迫力があった

 

これを1年半で身体に落としていったなんて

すごすぎる

 

ふたりの色の違う曽根崎心中もすごかった

 

 

歓喜や絶望、信頼や裏切りは

大なり小なり地球上の皆の人生にもおこりうることだが

 

 

あのふたりは

芸のためにもがき苦しみ駆け抜けた人生というのは

あまりにも

あまりにも壮絶で美しくて孤高で

 

 

***

 

エンドロールが終わって客電がつくと

館内は静かにざわついていた

まわりはカップルや高校生が多かったように思う

 

すごい

すごい

 

隣にいた男子高校生4人組は顔を見合わせてそればかり言っていた

(隣の男の子は感動のあまりきょろきょろしていてわたしとも目が合ったので

おもわずうんうんと反応しかけた(笑))

彼らが持っているポップコーンは手つかずで山盛りのまま

反対側の隣のカップルも大きいカップに盛られたポップコーンはほとんど残っていた

 

ざわざわ

ざわざわ

 

真ん中の席にいるわたしは周りがなかなか立たず動けないので

 

ざわざわのなかにしばらくひたっていることにした

そして

もう一度みたいとおもった