聞きなれない言葉で、病気にならなければ知らなかった言葉
生存期間中央値
この言葉に、僕も苦しめられたことがあります。
ご存じの通り、僕は医療関係者では無く、ごくごく普通のサラリーマン。
善くも悪くも、健康だった時は病気になった時についてのシミュレーションもしたこともない。
僕ががん告知を受け、治療を受けることとなった時、インターネットで色々調べましたよ。
自分の中では人生の中で一番かも知れないです。
僕が行った治療は臨床試験Ⅲでしたので、正確には比較できないですが、単剤投与とは異なりますが、メインは分子標的薬のマルチキナーゼ阻害薬「ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)」について、色々調べました。
薬の作用や副作用、薬価等々...。
当然、治療を行うのですから、最初は直るためだと思って調べるつもりでした。
ここで出てくるのが、ネクサバールと偽薬(フラセボ)との生存期間中央値...。
フラセボ:6.1ヶ月
ネクサバール:9.7ヶ月
ネクサバールを使えば、無治療と比較すると3.6ヶ月、生存期間中央値が延びていることになる。
僕は、この生存期間中央値を僕の残された時間だと思い、もの凄く落胆したこと、今でも忘れない。
インターネット普及前は、この手の情報は医療従事者以外は知らなかったかも知れない、今は容易に手に入る。
情報がオープンになっていることは素晴らしいことだが、それを見る側の人が言葉の意味を正しく理解できていないことが多いのだ。
僕もそのひとりでした。
実際の生存期間中央値は
診断または治療のいずれかが行われてからの期間で、既知の疾患を有する患者の半数において、生存が認められるないし生存が期待できる期間。臨床試験においては、生存期間中央値が治療の効果を測定するひとつの方法となっている。
しっかり読めば分かる通り、調査対象の半分の人が生存していた期間で、中には残念だが物凄く残された時間が少なかった人、逆に未だに健在な人もいることもある。
また、命の時間と同じで、個々に病状や薬の効果も異なるため、まったく同じ症例に結びつくことはないと思われる。
僕も治療前の病状は悪い方に属されているが、二年目の経過を向かえることが近い、今でも普通に勤務させて頂き、更には色々な方とお話しをさせて頂き、そして繋がりが大きな輪になってきている。
何回か書かせて頂いたが、確率が低くとも、その低い確率に入れば良いだけだし、前例がなくとも自分が初事例になれば良いだけだと思っている。
過去の事例に踊らされてあきらめることが、一番恐ろしいことだ。
また、患者があきらめていないのに、医療従事者があきらめてしまうこともある。
そんな医療従事者とは早々にお引き取り頂き、新たなパートナーを探すべき。
僕の担当医以外にも、素晴らしい医師とこの2年で出会うこともできました。
生存期間中央値だけに限りませんが、そんな事例は沢山あります。
あわてず、あせらず、あきらめず。
素晴らしい医師から教えて頂いた言葉。
明日も笑顔溢れる一日となることを心よりお祈りさせて下さい。
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