去年の夏は、風が二人に絡みつくように吹きぬけていった。しばらくキラキラ光る波と、
遠くに見えるヨットをぼんやり見ていた。 幼い子供が3人で波と遊んでいる。引き波を追いかけ、追い波から逃げている。
大きな声で笑いながら、何度も波を追いかける。_(..)__(._.)_ε=ε=┏(・_・)┛。
もう8月も終わりに近い。人もまばらだ。海の家もだいぶ、なくなっている。
「夏も終わりだね.....」 「.........」 彼からの返事が無い。 「ゴメン..何か言った?」 「何も言って無いよ」
と私。いつからだろう・・・・彼と距離を感じてきたのは。 つい最近なのか? ううん・・違う。もっと前かも。
解っていたのに、その不安を無理やり心に閉じ込めてきたのかも。彼は、今も優しい・・・。
「少し肌寒いね。..風邪を引いたら大変だ。そろそろ帰ろうか?」 もう直ぐ夕陽が沈む。波が白とオレンジと青と紫色を
折り合わせて砂を巻き返している。足元に波がうち寄せる。
「もう少し・・・このまま一緒にいたい。」 「いいよ.・・・」と彼が前をむいたまま答える。
波が少し強く足元を濡らす。もう子供の声が無い。 ほとんど人もいなくなっていた。
どこからか、蜩ゼミが鳴いている。もう秋がそこ迄来ているのか・・・。カナカナと鳴く声が悲しい。
彼が手を差しのべる。 けれど彼の目は私を見てはいない。 私を通り越して誰かを見ているのが解っている。
絡んだ指が冷たい。 もういいよ。解っているから......・。
明日になったら....さよならを言おう。 あ・な・た・から言われる前に私から言ってあげる。
だから、今日だけは、恋人でいてほしい。 今は、二人でいる寂しさが、辛いから。
今日1日泣いたら忘れられるから。 だから、このまま知らないふりして・・・。うその笑顔を飲み込んで。
