辺りが急に静かになった気がした。さっきまで聴こえていたFM放送も消えて、今はPCのファンの回る音だけが鳴り響いていた。
時刻は22時をまわったところ、社内に残っているのは私だけだった。
作業に没頭するあまり周りが帰ったのに気づかずにいた。
そういえば、何度か「お疲れ様」って言った気がする・・・。
ケータイには、かわいい部下からのメールが届いていた。
「お先しましたけど、9時までは銀座にいます~」
生憎と時間切れだ・・・。
帰り支度をして、エレベーターホールへ出た。
「チーン」
エレベーターの到着を知らせるチャイムだ。まだボタンは押してない。
最上階のフロアは私以外誰もいないはず、誰か戻ってきたのだろうか・・・。
エレベーターのドアが開いた。
誰もいない・・・。
誰かがボタンを押さない限りエレベーターが動くことはないはずだが。
不思議だ。
(↑特に意味はないです~)
気を取り直して、銀座方面へと向かった。
一人で飲むときは、大概はBar。
今日行く店はもう決めてある。
気分がささくれ立っていた。何か落ち着かせてくれるものが必要だった。
銀座の裏通り、普通なら通りすぎてしまうところにそのBarはある。
ドアを開けてすぐに階段を上がる。
「いらっしゃいませ」
柔らかい声が出迎えてくれる。
カウンターの真ん中に腰を落ち着けた。
「お久しぶりですね。お元気ですか?」
と、温かいおしぼりを渡しながら店主が言った。
「なんか忙しくてね、清水さんも元気?」
最近お決まりの文句だ。
「ありがとうございます。頑張ってますよ~。」
他愛ないが心地好い会話が続く。
「今日は何にいたしましょう?」
しばらくすると彼女が聞いてきた。間をしっかりと読んでいる。
この店は、オーセンティックなバーで、女性二人で営んでいた。
二人ともかなりの美女だがテンダーに徹している。
「じゃあアランを・・・ストレートで」
カクテルは殆ど飲まない。飲んでもウォッカマティーニくらいか。
「それ、胡桃割り?」
カウンター横に置かれた木製の器具を見つけて私が言った。
「はい。よくご存知ですね。やってみます?」
胡桃を幾つかもらい、ねじ式の器具で割ってみた。
パキッという音とともに胡桃の香りが鼻をくすぐった。
いい香りだ。「こりゃいいね」と調子に乗ってパキパキ割っていった。
「お上手ですね。ホントに初めて?」
「実は、人間やる前はこの人形だったんだ~」
「ふふふ。。。どおりで」
言ってて恥ずかしくなるが、そんなことが必要だった。。。

さて、次は何を飲もうかと目を泳がせた時、彼女に気がついた。
「ねえ、清水さん」
と、目配せをすると。
「あら、ようやくお気づきになりましたね」
「あまり見ないね」
「そうですね~なかなかいいボディでしょ」
「うん、キレイだね~。むこう?」
「いえ。軽井沢育ちですね」
「へえ~。。。いただいちゃおうかな~」
「ふふふ。。。t-yossyさんの手に負えるかしら~」
「強いの?」
「ええ。かなり。。。」
「へ~見せて」
「どうぞ・・・」
ふふふ。。。これはいい女だ~

軽井沢蒸溜所のWineCaskMalt14年。Caskとは樽の事。
ワイン樽で寝かせた。モルトウイスキーなのだ。しかも、なんと67度!
通常40度台なので結構アルコール度数は高い。
「飲みた~い!!!」
清水さんは、クスクスと笑いながらチェイサーを伴い、
シェリーグラスに注がれた琥珀色のソレを出してくれた。
まずは香りを。。。
かすかに残るワイン樽のほのかな芳香がなんとも。。。
一口含んでみる。。。「っく~~~」確かに、つおい~!
さすがに手に負えなかったから途中から加水してしまった。。。
限定ものだから、そうそう飲めるものではないだけに、美味かった~:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
いや~もうメロメロです~また会いたいわ~
何故ルージュかって?名前が[「ROUGE CASK」だからさ。ふふふ。。。
今回はちと引っ張りすぎたかな。。。ごめんなさい。