この日は冬のように寒かった。
冷たい雨が降る中、家の前まで来てもらったタクシーに妹達と乗る。
柴又のバニーグラスに着いた。
朝一だというのに超満員
全員うさぎさんだった。
待合室で待っていると受付に置かれているデジタルフォトフレームに偶然ムーさんの写真が。診察台に乗っているムーさん、ひっくり返って床にゴロンしているムーさんの写真。
ムーさん元気だったなぁ・・・と回想しながら
待合中のムーさん。
眼振が起きており横たわったまま。
4~5番目ぐらいに名前が呼ばれた。
先生はムーさんを見ると一瞬『あっ!』という顔をしたが、慣れている感じであった。
状況を話しました。
すると、先生は『何でもそう。うさぎさんは突然起こることがある』と。
そして検査をすることになった。
ムーさんが検査中私たちは待合室へ。
待合室ではムーさんと同じカートの子が元気に飛び回っている。
バックの中からひょこっと顔を出したりして。
その子を見ては昨日までのムーさんとタブリ、涙が。。。
ムーさんも昨日まで元気だったのに。。。
目が大きくてとても可愛いグレーの男の子だっだが状況が状況だけに私は泣いていることしかできなかった。
この時間帯にいた皆さん、ごめんなさい
その後呼ばれ診察室に入った。
真剣な先生の顔。
今まで何もなかったから柔和な顔の先生しか見たことがない。
表情を見てドキドキした
まず血液検査の結果を説明。
なぜ血液検査をしたかというと、それはもちろん斜頚がどこから起きているか
を知るため。
突然倒れ、眼振が始まったことから脳の中枢に原因があるのでは?と先生は思ったらしい。しかし中枢系に障害が出た場合『CK』という値が何千という高値になるようだ。
でもムーさんはCKの値が正常。
エンセでもこの値が高くなるらしい
その次、忘れてしまったが何か(不明)がどうかなると腎機能の値が上がるとか言っていたような・・・。
結果的に血液検査の所見は全く異常無し
『斜頚は病気でなくさまざまな原因で起こる症状』とのこと。
初めて知った。
次にレントゲンの説明。
ムーさんの骨を見るのは初めてだ。
あえていうなら、頭がおおきかったな(笑)
先生から『何か違いがわかりますか?』と。
『右の耳の部分の映り方が左と比較すると違うような・・・』と言った。
偶然にも当たっていた。
右の内耳にレントゲンで判るほどの明確な炎症の像が写っていた。
『内耳の炎症がレントゲンでこれだけはっきりと画像診断ができるのは極めて少ない』と先生。
また『血液検査で中枢に問題が無い上、右だけに傾いている症状からしてこれは右の内耳に炎症が起きて起こった斜頚の可能性が高い』と。
内耳の三半規管に支障が出て平衡感覚が保てなくなっているということ。
また、斜頚は以下のような原因でも起こります。
今回知ったこととして・・・。
①エンセファリトゾーン
②耳ダニ
③転倒などの怪我
④劣悪な環境
ムーさんは定期健診で毎回『耳が異常にきれい!』と言われていので、耳に炎症が起きたのは正直驚きました。が、内耳となるともちろん定期健診でわからないものなので防ぎようがなかったことを感じました。
ホッとしたら今度は涙が止まりませんでした
先生は今の状況とこれからのことをきちんと説明してくださいました。
『斜頚というのは病気ではなく症状です。斜頚自体がこわいのではなくて、それによって起こることの方が大変怖い』『うさぎさんの場合は大体どの病気でも食欲不振になることが二次的三次的な病気を引き起こす』とのお話でした。
本当にそのとおりです。
先生のお話にはすべてうなづけました。
原因がここ数日の温度差かどうかも聞きました。
昨日だけでも5羽ぐらいのうさちゃんが斜頚で来院したとのこと。
でも気温が原因かといったらそれは違う。
なぜなら小動物に温度差は大きなストレスですべての病気にいえることだからだそう。
とにかく食べられるようにならないとそちらの方が何倍も深刻で生命に関わるこということを先生は熱く語ってくださいました。
投薬をしながら強制給餌。
時に検査が必要。
『先生に入院覚悟で来ました』とはいったものの、ムーさんと別れる時は胸が引き裂かれる思いでした。
ますます涙がボロボロ
家では出なかった涙が止まりませんでした。。。
でも先生が『昨日も斜頚の子無事退院しましたよ』と言ってくださり、少し励まされました。
『可愛いムーちゃん。必ず帰ってくるんだよ』とムーさんと牧草や嗜好品を先生に渡し診察室を出ました。
うさぎさんに入院がよくないのは知っていましたが、あの状況のムーさんをつきっきりで介護することが果たして良いのか・・・
私たちは入院を選びました。
進藤先生はとても信頼できる先生だからです。
どの子にもそうだと思いますが、動物への愛情がハンパない先生です。
そして私たち飼い主の質問にも真剣に丁寧に説明してくださいます。
良い先生に出会えてよかった
大切なムーさんを安心して預けることが出来ました。
しかしながら、帰宅中にはものすごい喪失感
5,1キロのムーさんと、7キロぐらいのカートを持っていない手は、単なる重さだけでなく何ともいえないショックでした。
家に帰ると一睡もしなかった分の睡魔が。
3時間ぐらい寝ました。
起きると現実が。
『ムーさん入院しているんだ・・・』。
今ごろ何しているんだろう・・・と時計を見ては不安に
妹から『世の中には具合が悪くなっても適切な医療を受けられない子もたくさんいる。でもムーさんはすぐにあんな良い先生のところでちゃんとした治療を受けられている。しかも早い段階で。これ以上の良い選択は無いよ』と励まされる。
斜頚を知っていたようで知らなかった。
顔が傾くだけではない。
目が動き、横たわり、起き上がれば音を立てて大転倒。
こんなに辛いものだと思わなかった。
ムーさんの心が心配。
斜頚でなぜ食欲がなくなるのかもわからなかった。
無知でした。
ムーさんが倒れる数時間前、プライベートでも問題が起き、ほぼ同時刻に色々なことがありました。
ムーさんの入院後、私も体調が悪くなりました。
食欲不振、胃痛、睡眠障害、頭痛、腹痛。
何より気持ちの落ち込みがひどいこと。
何をしても気持ちがどこかにいっている。
仕事をミスる。聞いていることがよくわからない。
そんな状況が10日ほど続きました。