二人が肩を並べてやって来たのは、バスケットコートのある公園だった。 

先客がいるようで、ボールが地面を跳ねる音や、バスケを楽しむ学生達の声が聞こえる。 

取り敢えずコートの傍にあるベンチに向かいながら「1no1やろーぜ」と、青峰は黒子を誘う。 

「別にいいですけど、ボクも青峰君もバスケットボール持ってないですよ」 

「ちょっと待ってろ。調達してくっからよ」

青峰はそう言ってズボンのポケットに手を突っ込んだままスタスタと歩き出し、先程からバスケを楽しんでいる学生達の所へ向かった。 

「おい、何だよお前」 

いきなりコートの中に入って来た青峰に学生の一人が声をかけてきた。いいところを邪魔されて不機嫌な様子だ。 
だが青峰は当然怯む事なく「ボール貸してくんね?」と、学生を見下ろした。 

青峰が発した言葉はたったそれだけだったが、彼から漂う有無を言わせぬ黒いオーラに怯んだ学生は素直にボールを青峰に手渡した。 

「サンキュ。後でちゃんと返すからよ」 

そう言って青峰は踵を返し、黒子の元へ戻 った。 

「ほらよ」 

ボールを黒子に向かって投げると、黒子は溜め息をつきながらそれを受け取った。 

「青峰君。脅しはいけないと思いますよ」 

「脅してねーし。普通に貸してくれって頼んだだけだ」 

本当に脅したつもりなどないのだが、きっと相手はそう思わないだろう。 

「後でボクがちゃんと返しときますから」 

言って黒子は制服の上着を脱ぎベンチの背に掛けると「さぁやりましょうか」と、ボールを持ってコートの中に入って行く。 

「全力で来いよ」 

「勿論です」 

いつも何を考えているか分からないぼやんとした黒子の表情が、キリッと真剣なものに変わった。