*「黒子のバスケ」の二次創作です。

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【恋愛模様】~火神side~




「マジで勘弁してくれよ・・・」


体育館の傍にある手洗い場で愛用のバッシュを洗いながら、火神大我は深い溜息をついた。

又しても、バッシュの中にテツヤ二号の『ブツ』が入っているという悲劇が起きたのだ。


「火神君」


もういっその事買い換えた方が早いんじゃないかと考えていると、

不意に背後から声が聞こえて、火神はビクッと肩を揺らした。


「く、黒子!?いつからそこにいたんだよっ」


「『マジで勘弁してくれよ』辺りからです」


「最初からじゃねーか!いるならいるで、声くらいかけろよ!」


「だから今、声かけたじゃないですか」


「~~~~~っ」


火神は言葉にならない怒りで黒子を睨むが、そんな火神などお構いなしに黒子が 「それ、また二号にやられたんですか」 と、火神の手元を覗き込んで来た。


「そうだよ。ったく、全然臭い取れねーし」


「新しく買い換えた方が早くないですか?それに、大分傷んでるようですし」


「そうっすかなぁ~」


言いながら、未だに僅かな悪臭を放つバッシュを目の前に揚げて思案していると、

黒子が 「じゃあ今度の休みに、一緒に買いに行きましょう」 と提案する。


「おい、何でそうなるんだよ」


「いいじゃないですか、別に。もう決まった事ですし、ごちゃごちゃ文句言わないで下さい」


「ちょっと待てコラァ!いつ決まったよ!?勝手に決めてんじゃねーよ!」


火神が言いたい事だけ言って体育館の方へ歩いて行く黒子の背中へ抗議の言葉を投げ掛けると、クルッと黒子が振り返り 「・・・火神君。ボクは勇気を振り絞って、キミをデートに誘ったつもりなんですが・・・流石にそんな態度を取られると傷付きます」 と言って、足早にその場を去ってしまった。


悪臭を放つバッシュと共に取り残された火神は、黒子の言ったデートについて考えていた。

いつどこで 「デートしましょう」 なんて誘われたのか。


「あっ・・・・!」


やっと気が付いた火神は、もう一度深い溜息をついた。


「もっと分かりやすく言えっつの!」


ちっ、と舌打ちをしてダッシュで黒子が戻って行った体育館へと急ぐ。


(フォローしねーとな)


黒子は怒ると意外と怖い事を、火神はよく知っていた。



~黒子side~



「黒子!黒子はどこだ!?」


自分を追って来たらしい火神に目を向けた黒子テツヤは、バスケの練習を途中で止めて、影の薄い自分を必死で探している火神の元へと向かった。


「何ですか、火神君」


傍で声を掛けると案の定 「どわあぁ!」 と、豪快に驚かれてしまった。


「お、お前さぁ、急に出てくんのとかマジでやめてくんね?」


「ボクとしては普通に声を掛けたつもりなんですが・・・。ところで火神君、ボクに何か用があったんじゃないんですか?」


黒子の問い掛けにハッと自分の目的を思い出した火神が、


「さ、さっきは・・・何っつーか・・・・・・悪かったな。それから、えーと・・・次の休み、楽しみにしてるから」


と、珍しく頭を下げ、少し照れながらポリポリと黒みがかった赤髪をかく。


「ボクも悪かったんです。やっぱり、火神君にはストレートに伝えた方がよかったですね。失敗しました。すみません」


謝られているのに何故かイラッときたらしい火神が

「どういう意味だよ」 と食い付いてきたので、黒子は話を逸らす事にした。


「いいバッシュが見付かるといいですね」


「あぁ、そうだな」


黒子が顔を綻ばせると優しくぽんぽん、と火神に頭を叩かれ、じわっと胸が熱くなったのが分かる。


言葉ではっきりと火神本人に伝えた事はないが、自分はかなり火神の事を好きだと思う。

彼の 『影』 である事を誇りに思っているし、『影』 としてもっと強くなって 『光』 である火神をもっと輝かせたい。


二人ならばどんな困難にも立ち向かっていける。

本気でそう思っているのだから、自分も火神に言えないくらいバカだ。


「おいお前らァ!何イチャイチャしてやがる!」


暫く見詰め合っていたのが悪かったのか、それを見咎めたらしい日向に怒鳴られる。


リア充は全員死ね!、と本気で思っている彼に見付かっては、これ以上二人で話し込んでいる訳にはいかない。

早々に練習に戻った方が賢明だ。


「べ、別にイチャイチャしてねーよ!――ですっ!」


僅かに頬を赤くしながら反論している火神に 「そろそろ練習に戻りましょう」 と言ってくるりと踵を返した瞬間、背後からグイッと腕を引っ張られ、トン・・・と何か暖かいものに背中が触れる感触がした。


トクントクン・・・・・・と、規則正しい鼓動が背中越しに伝わって来る。

それがひどく心地いい。


「楽しみにしてるぜ」


火神に耳朶に触れるか触れないかの距離で囁かれ、黒子はカァっと頬を赤らめる。


火神のクセにちゃんと自分を喜ばせる方法を知っているのが、少し憎らしいのだった。





続く。