乳がんに罹患して治療が必要になった場合にまず重要なことは、局所治療と全身治療に分けることです。

局所とは、腫瘍のある乳腺と同側のリンパ節、全身とは、遠隔臓器、骨、肺、肝などのことです。。


ネットサーフィンやSNSを見ていると、「取り敢えず抗がん剤ね」と気軽に言ってしまう医師が多いことを知ります。個人的にはとても怖いことではないかなと思っています…。

例えば、手術不能状態、ステージが高く、既に遠隔転移を起こしているケースであれば、術前抗がん剤(全身治療)をしてから腫瘍がある乳房やリンパ節を切除(局所治療)をするのは解ります。

それともう一つ。全敵ではなく温存を希望するケースも術前抗がん剤(全身治療)で腫瘍を温存できる範囲まで小さくしてから部分切除(局所治療)で取り除くことも患者が希望しているのであれば理解できます。

私が理解できるのはこの2点だけで、それ以外の“取り敢えず抗がん剤ね”的な治療は、抗がん剤が完全に効けば”手術しなくてよかったね“になるかもしれませんが、効かなかった場合を考えると、抗がん剤治療に費やした数か月は無駄になり、同時に腫瘍も大きくなってしまうと思うのでとても怖いこだと私は思っています…。


では、どうするのがいいか…。

最初にお話しした通り


『局所と全身に分けて治療する』


です。


乳腺やリンパ節等にできた腫瘍は、手術で取り除けるものは全て取り除いて(局所治療)から必要であれば抗がん剤(全身治療)を行う。

初期治療で温存手術やリンパ郭清したけれど再発してしまった場合なども安易に抗がん剤だけに頼るのではなく、温存の再発であれば全敵、リンパ節の再発であればレベル3(鎖骨下リンパ節)まで腕の良い勉強熱心な外科医であればできるので郭清してもらうのがいいと私は思っています。そして必要に応じて全身療法。


『安易に局所の借りを全身で返そうとするのはよくありません。』

『未来永劫効く抗がん剤は残念ながら今のところありません…。抗がん剤はいつかは効かなくなります。』


このようなことを知っておくことは大切と思いましたので、今回記事に致しました。


[参考]

乳がんプラザ、勉強になります。

nyuugan.jp/