いよいよ分娩室へ!
東京の病院では分娩室の見学をしたことがあって、狭い部屋にベッド一台だったのですが、この病院はなんとカーテン仕切でベッド二台。事前にここで出産経験のある妹にそのことは聞かされており、「同じ日の出産はあっても同じ時間はめったにないでしょ」と言われていました。やっぱり二台だなーと思いながら、痛みに耐えながら自力でベッドに上がりました。
ここまで来てもまだ子宮口は全開ではないので、いきみ逃しは続きます。夫にテニスボールで押してもらうも、「そこ違う!ここ!もっと強く!弱めないで!」と説教。自分の手で夫の手とテニスボールを動かします。この時気付いたのですが、私、出産用のパンツに履き替えさせられていて、どんな形状なのかよくわからないけど、もはや直にテニスボールを当てられている感じでした。しかも、お股びっしょりになってるし、力いっぱいボールを押してもらってるから、もはや、体内にめり込みそう!夫がいうにはかなりの力で押してるようなんだけど、全然足りない。痛い中で私は、色んなことを思いました。
・このびっしょり感、破水してない?
→結構後になってから高位破水してるねと助産師さんに言われました。
・お股半分出てるし、夫にほぼじかに触られてるし、夫の手、びっしょりになってるだろうな。女として終わった。嘔吐物臭いし(笑)
・てゆーかテニスボール直にお股に当ててるの衛生的にどうなの?
→テニスボールに医療用ゴム手袋をかぶせて渡されていたらしい。闘いの後、仕事を終えたボールを夫に見せてもらった。
・ボールで押してもらってるけど、赤ちゃんの頭は大丈夫か?
・今何時?4/2まで持ちこたえられるか?
そうこうしていたら、分娩室がざわざわ。なんともう一人産婦が運ばれてくることになり、「分娩の準備して!」という声が。なんということでしょう。妹と話していたまさかの事態が起こりました。しかも私の方が先に入ったのに、後の人の方が分娩準備に入ったのです!!何やらシートを敷き始め、カーテンが閉められました。陣痛室には私しかいなかったはずだが。後でわかったのですが、この方、この時に病院に来たそうです。突然陣痛が進んだのかな。
ただですら陣痛きついのに、スタッフが隣の人にかかりきりになって放置されたらどうしよう、本当は産めるのに待たされては損である...
考えた私は、ちょっと大げさに騒いだり、ナースコールで呼びつけることにしました(笑)必死な時にライバル現れたら焦ります。
本当にいきみ逃しがきつくて、波が来ると夫に「来る来る、押さえて!うぅーん、痛いー!」と叫んでました。助産師さんはなかなか見に来てくれないし、冷静に「声に出した方がいきみ逃せますよー」と伝えていなくなるし...結構ボリューム上げて叫ぶも、隣の人の受け入れをするのに忙しそうでした。当然ですけど。隣の人も私よりは落ち着いているものの、まぁまぁ声出してました。「はぁぁぁぁ、うぅぅぅん!」みたいな言葉にならない感じ。
お互い大変だねと思いながら聞き耳を立てていると、分娩準備入った割にはあちらもまだ全開になっていない様子。何だよーまだかよーあせらせるなよーと思いつつ、私の方が先行逃げ切りにならないかなと願ってました←出産は勝ち負けではないんだけど。
そしてちょっと冷静になっているときに、今更ソフロロジーのことを思い出しました。赤ちゃんのことを思いやって、声をかける、赤ちゃんの意思疎通する...今、赤ちゃん・すいかちゃん(胎児ネーム)はどうなってるかな?がんばってるのかな?めちゃめちゃお腹と出口が痛い中、必死で声に出してみました。
「すいかちゃん、今出たらまだ痛いからね、もうちょっとそこで待っててね、がんばろうね!...痛いー(泣)」
夫もそれに呼応するように、「すいかちゃん、頑張れ!」と言ってたと思います。
そんな声かけを2回くらいするも、あまりに出そうな波に耐えきれず、
「ふぅーふぅー、だめだぁーう○ちでちゃぅー、ぐぅぅぅぅー!!!」
と叫んで、いきみを逃せなくて普通に排出する感じで力入ってました...すいかちゃん、かわいそうなことしちゃったかな。こういうとき、赤ちゃんってやっぱり苦しいのかな...いきみ逃せない罪悪感と痛みは最もきつかったです。陣痛の痛さは完全に忘れましたが、いきみ感だけは忘れられないです。
そんなこんなで気付けば夫に
「0時回った!」
と言われ、晴れて4/2生まれ確定となりました。
何度かナースコールして診察してもらうのを繰り返していると、助産師さんがざわざわ。
「あれ、こっちが顔だよね?回旋異常じゃない?」
エコーが運び込まれて確認されたところ、本来私の腰側を向いていなければならないところ、おへそ側を向いていたみたいでした。そのため、苦しいサインが出ているとのことで、吸引分娩になると告げられました。
もしかして、律儀なすいかちゃんは4/2生まれになるために時間稼ぎしてたんじゃないか?と思っています...本人が言葉を話せるようになって、胎内記憶があったら聞かせてほしい。
この辺り、前後関係を忘れてしまいましたが、1:20に子宮口全開になって、隣の人よりも先に分娩に入ることになりました。隣の人、なかなか全開になっていないみたい。私は痛いしメガネもしていないから何が準備されたのかもよくわからないけど、夫が頭の方に移動して、ベッドだった分娩台が開脚に変形して、踏ん張るためにつかむバーの位置を教えてもらったと記憶しています。さっきまで0時のこと書いてたのにあっという間に時間が経過しています。痛かったけど、体感時間はあっという間で、それでもいきみを我慢してきたから、分娩に入れるのはとても嬉しかったです。(隣の人も気になってたし)
途中で助産師さんたちに、赤ちゃんの性別は聞いてますか?と聞かれました。これは私が痛がるのから気をそらしたり、楽しみですねと前向きにさせるための気遣いだったのか?
確かこの頃やっと女医さんが現れます。入院時に診察してくれた先生で、健診では曜日が合わなくて一度も診てもらったことはないけど、母親学級で出産のリスクの説明をしてくれた人だ。あのとき吸引分娩のカップを見せてくれたけど、まさか我が子に使うことになるとは。
分娩の体制に入ると、担当助産師さん(初めてお会いするクールビューティ系)が私の足元の方に座ってお股をうまい具合にマッサージというか、これは会陰保護という作業なんでしょうか?絶妙な手さばきで広げてくれたり、肛門を押さえてくれたりしています。その人だったか、他の助産師さんだかよくわかりませんが、呼吸といきみのタイミングも指示してくれました。教科書通り、陣痛のタイミングに合わせて、2、3回深呼吸して吸ったところで息を止めていきむこと。これに加えて、まじめにテキスト読んでいたので、指示されなくてもいきむときにおへそ方向を目を閉じずに見るようにしていました。すると、褒め上手な助産師集団にとても褒められました。夫も、あと少し、頑張れ!と応援してくれます。感覚は、助産師さんが「大きいうんちするみたいに!」というようにそのまんまでした。このときほど、便秘と格闘してきた実績をありがたいと思ったことはありません。多分、お通じの良い人にはわからないと思う(笑)いつもより出口のあたりに大きなものが引っかかっていて、このままだと派手に切れるだろうという恐れの気持ちがありました。でも、これまでの陣痛やいきみ逃しに比べたら楽勝だぜという気持ちでした。
後で助産師さんに確認したところ、1:58に赤ちゃんの頭が見え、1:59に会陰切開しました。麻酔があったかどうかも覚えてないけど、「赤ちゃんの髪の毛見えてますよ、がんばって!」「少し切りますねー」と言われたのは覚えています。産前にあれだけ怖かった会陰切開もここまで来ると、早く楽になりたい、赤ちゃん出してあげたいという気持ちが勝つので、煮るなり焼くなり好きにしてくれ!という感じ。切られる感じはたしかにありましたが、全然痛くない。
そしてその直後のいきみで頭が出て、そのままハッハッハッハの短息呼吸に切り替えたら2:00ジャストに体まで外に出てきました。
このときのことはほとんどよくわからないうちの一瞬の出来事で、にゅるっという感覚があって、気づいたら産声が上がっていて、おめでとうございます!と言われて、本当に自分が産んだのか?自分の子か?と信じられませんでした。
とにかく目が見えないので赤ちゃんの姿も確認できず、夫は感激したみたいで、多分お疲れ様とか、がんばったねとか声をかけてくれて、今までそんなことしたことないのに、私の頭を撫でて、そのまま頭を持っててくれてました(笑)多分ハグに近いんでしょうけど、私の頭くらいしか触れるところがないから。それも変なので、私も両手を上げて両方の手を握っていました。感動して泣くかと思ったけど、カンガルーケアを希望してたのに赤ちゃんの状態が良くなかったのか、待つように言われて、夫とひたすら待つことに。星占い好きの私としては生まれた時間が気になったので夫に何時だった?と確認。意外とつまんない女(笑)
その後、夫は一時退避させられて、5分後に胎盤娩出。お腹をグニグニ押されてうんうん言いながら2回かけて外に出されました。押される地味な
痛さと、思っていたよりよくわからないうちにズルッという感じ、というのが感想です。そして会陰の縫合。あんまり詳しいことは聞いてないけど、外を切ったのと、中が自然に切れたところを麻酔の注射を打ってからチクチク縫われました。産前に恐れていたけど、軽くイテテというレベルでほっとしました。その後、導尿や点滴をされたと思います。
産後は急変があるかもしれないので、2時間分娩台で寝かされます。思っていたより疲れもなくて産後ハイで目がギンギン。でも失血のせいか体温が下がってブルブル。上にかけるものがもう1枚欲しくてナースコールしたら、隣の人がまだ分娩中で、スタッフがざわざわ。私の存在を忘れていたみたいで、「何で同じ部屋でコール鳴ってるの?」ってなってました(笑)のこのことカーテン越しに声をかけるのも恥ずかしかったので黙っていたらようやく気づいた人が駆けつけてくれ、やっとかけるものを追加してもらえました。
その隣の人もいよいよ全開になって分娩になったようで、私は横になりながら心の中で応援していました。ただ、いきむのがうまくいかないようで苦戦していたようです。スタッフに応援されてすごく頑張ってました。私より遅れること1時間で無事出産!おめでとう!でも話し声を聞いてて知ってしまったのですが、どうやらご主人、苦しむ奥さんのことを見るのがつらくて分娩室から離脱していたらしい。男の人の声がしないと思っていたらそういうことだったのか。しばらくすると呼び戻されたご主人の声が聞こえました。たしかに壮絶な現場に、野獣のようになり全てがむき出しの妻。最初から最後まで冷静に付き添ってくれた夫に感謝しなきゃいけないな。
産後1時間半でやっと赤ちゃんと対面できることになりました!コットに乗せられてやってきた赤ちゃんを見て、気恥ずかしさもある中、「はじめまして!かわいい!」と声をかけました。赤ちゃんは髪の毛がきちんと生え揃っていて、どう見ても夫にそっくりでした。私の腕枕に乗せてもらいました。すぐ夫もやってきて、小さい!と興奮していました。写真撮ったり、名前は前から決めていたやつでいいよね?と確認したりしました。赤ちゃんは半分眠っていて、でもおっぱいを吸うように、口をもぐもぐちゅっちゅっしていて、この世のものとは思えないかわいさでした。人生で一番幸せなときを過ごしました。言葉では表せない充実感。
その後、赤ちゃんは新生児室に連れていかれ、私と夫は病室へ。助産師さんによると最後の空いていた個室だったそうでラッキー。歩けそうだったけど、車椅子に乗せられました。夫に立ち会ってくれたことにお礼を言って、夫も私に出産に対する感謝の言葉を言ってもらえて、軽くチューしてお別れしました。(陣痛時に嘔吐してから口ゆすいでないけどね!)夫も産後ハイのようで、早朝5時に車で東京に向けて出発し、私はベッドに横になったけどなかなか寝つけませんでした。
すごく長くなりましたが、以上が私の出産のエピソードです。陣痛から18時間、長いようであっという間で、思っていたよりも痛かったような気がするけど、みんな言うように産まれた瞬間から痛かったことなんか忘れて、赤ちゃんのことをかわいいと思いました。そして人生で一番大変なことを乗り越えて、妙な自信を得たような気がします。出産して本当に良かったです。夫にも、親にも、病院のスタッフにも、それから頑張った赤ちゃんにも、最大の感謝をしました。