割とどうでもいい消費税論争⑦後半戦~価格“転嫁”というレトリック | 門前小僧、習わぬ今日を読む

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反グローバリズム、反新自由主義、反緊縮財政。
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少々説明が難しいんですが、消費税は本体価格に上乗せされて消費者に直接負担が行くのに対して、VATのような付加価値税は事業者が税額分本体価格を水増しすることによって、つまり価格に転嫁して初めて間接税になる、という話なんですな。


まさに似て非なるもので、見た目はほとんど違わないんです。

 

 

図にすると割と違いが判るんですけどね。

 

海外で買い物したとき、レシートにVAT○○%とか書いてあるのは、

「貴方の支払った金額のうち、VAT分はこれだけですよ」

という表示なわけですが、

これは事業者が、

本体価格にVAT分水増しした分がこれだけですよ、

という表示です。

 

“水増し”っていうと聞こえが悪いですが、

これも消費税との区別を解り易くするためのレトリック()です。

 

消費税の場合は、上乗せした金額が税額ですよね。

 

ええ、解ってます。

 

何が違うんだコラ

 

って言いたいんでしょ。

 

うん、確かに。

 

まぁ上の図を見てもらえれば解る通り、

本体価格に上乗せされるのが消費税、

本体価格から抜かれるのが売上(付加価値)税。

 

この場合、付加価値っていうのは、

売上から原価を差し引いたものを言いますが、

世の中で売られているモノの値段のほとんどは付加価値なので、

税率が同じなら、

税額もだいたい消費税と同じになります(同じとは言ってない)。

 

順序で言えば、

販売前から価格に乗っかっている消費税、

 

販売されて売上が上がり、

その売上から抜かれる付加価値(売上)税、

 

って感じですかね。

 

消費税の場合、

 

販売前の段階から消費税額がその価格に乗っかってますから、

消費者はイヤでも消費税額分を支払わなければなりません。

 

つまり消費者負担ですね。

 

付加価値税の場合、

 

原理的に言えば、

付加価値税の付加価値は、

事業者が付けるものです。

ゆえに事業者が負担になるので、

事業者が納税する直接税

 

ということになるわけですが、

 

その税額を消費者に転嫁したとき、

付加価値税は間接税ということになります。

 

つまり

 

「俺は客に負担何かさせねえ!

販売価格を付加価値税分の水増しなんかしねえ!」

という場合は直接税、

 

「ま、客に負担してもらお。税額分、本体価格を水増しするか」

ってなったら間接税、

 

という話なんですなコレ。

 

価格ってのはそもそも事業者の裁量で

任意で決められるものですから、

税額分水増ししようとしまいと、

それは事業者の勝手なわけです。

 

しかし、

 

この転嫁するかしないかってのが法的に規定されている場合

付加価値税は間接税ということになります。

 

転嫁しないと罰則とかあるなら、

いくら頑固で正直な商売人でも、

転嫁せざるを得ませんからね。

 

つまり、

 

転嫁するも何も

最初から本体価格に税額分を乗っけて

販売しなければならないガチ間接税な消費税と、

 

転嫁しないと、

あるいは消費者への転嫁が法的に規定されてないと

間接税にならない付加価値税

 

というとちょっと語弊があるかもしれませんが、

そういう感じです(しかも差が微妙)。

 

要するに

 

販売価格で比較すると、

 

〇消費税:

 販売価格=本体価格+消費税額分

〇付加価値税:

 販売価格=本体価格

 (後で付加価値税として抜かれる)

 

という感じになるわけです。

 

さて、

 

消費税で言われる価格転嫁について考えると、

 

そもそも販売時の価格に消費税額分が乗っかっているので、

課税事業者はイヤでも本体価格に

消費税額分を乗っけざるを得ない構造になっています。

 

つまり転嫁したくなくても

転嫁せざるを得ない構造になってるので、

価格転嫁は当たり前、議論の余地はないわけです。


 

しかし、

例えば消費税増税時に価格を維持しようとした場合など

 

事業者は調整のために本体価格を引き下げざるを得なくなります。

 

これが、

消費税によって事業者にかかる負荷(負担)

というわけですね。

 

要するに、

別に事業者が消費税を直接負担しているわけではなく、

消費税によって取り分(本体価格)を減らして

利益を減らさざるを得ないために、

余計な負荷がかかっている、というわけです。

 

直接的に負担していないけれど、

間接的に負荷がかかっている。

 

付加価値税とは逆、

と考えれば解り易いでしょうか。

 

 

つまり、消費税の場合、

事業者が消費税増税分値上げするのは当たり前

のことで、

消費者にその負担が行くのは当然至極

 

そしてこれは、

事業者のせいではなく

政府のせいなわけです。

つまり、

 

消費税額分を消費者が負担するのを

価格転嫁と表現してしまうのは

消費税増税の責任を事業者に押し付けるようなもので、

政府や財務省にとってはタゲ逸らし、

責任転嫁以外の何者でもないわけですね。

 

財務省とかマスメディアとか政府とか、

そういう言葉を使わせようとしてくるあたり、

 

ムカつくでしょ?

 

私なんか軽く殺意が沸くレベルですよマジで。

 

価格転嫁で責任転嫁w

 

とか

言ってる場合かコラ

 

って話で。

 

まぁ私に言わせると、

消費税に価格転嫁っていう言葉を使うこと自体、

財務省ワードを使ってる気がして虫唾が走ります。

 

まぁそれでも、使っちゃうんですけどね。

 

転嫁にしろ負担にしろ、

 

類似した印象の言葉を

厳密に使わないことを利用した

レトリックデマ

 

みたいな感じで、

消費税=直接税論、

即ち消費税は事業者が払っているというデマは

構成されているわけです。

 

厄介でしょ?

 

厄介なんですよコレ。

 

議論していても、

どこかしらで言葉に対する

認識の齟齬が生じ、

決して交わることがない。

 

だから紛糾し、炎上する。

 

正直、デマをバラ撒いてるインフルエンサーも、

どこまで理解してることやら。

 

キチンと理解してやってる確信犯なのか、

意味も解らずそれが真実と信じてやってるのか。

 

厄介な上に全く不毛な論争。

 

消費税廃止したいなら

そんなんどっちでもええから

廃止はよ

って話にしかならない。

 

まぁ消費税廃止派を分断したいんなら

それなりに効果はあるかもしれません。

 

実際ツイッターでは、同じ消費税廃止派の間で、

消費税は直接税か間接税かで

プチ炎上とかちょこちょこ起こりますからね。