「パズル」 第5話 <イサオ>
プルプルプル・・・ プルプルプル・・・ 、・・・ガチャ。
加元「もしもし、こちら加元です。エッ???は、はい。…はい、…はい、…すぐに現場に向かいます。」
茶盛「何か分かったんか?」
加元「チャモさ~ん、事件発生です。それが、我々が追っている事件と関係がありそうなんです。都島のワンルームマンションの一室からまた黒髪の若い女性の遺体が見つかったそうです。殺しの手口がニカイドウのそれと同じ様なんです。現場には、四宮衛と言う男が住んでおり、恐らく本人が通報してきたみたいです」
茶盛「カモ、何やて?ホシが自首してきたって言うんか?」
加元「いや~、その住民の四宮ってのがかなり興奮していて、自分はやってへん!俺は誰かにはめられた~!の一点張りやそうです」
茶盛「はめられた?一体誰に?」
加元「それはまだ~。…チャモさん、すぐに現場に向かいましょう。」
茶盛と加元は自分達の捜査途中ではあったが、電話があった事件現場である都島のワンルームマンションへ向かった。
加元「チャモさん。その角を曲がった水色のマンションです。」
現場マンションは封鎖テープで囲まれ、鑑識が指紋や髪の毛の証拠品を集めていた。
四宮が調度パトカーに乗せられる所だった。
四宮「だから、俺はやってないんや!朝起きたら死体が転がってただけや!ほんまや、誰か信じてくれー!」
四宮は血がついた手を何度も大きく身振り手振りしながら必死に横に付いている警察官に泣きついている様に見えた。
警官「ご苦労様です。どうぞ」
茶盛と加元が現場の警官に案内されマンションに入っていく。
茶盛「あーすまんな。」 加元「すいませ~ん。おじゃまします~。」
2人が部屋の中に入ってゆく。
茶盛「うっ…またか。」 加元「・・・あちゃ~。ホンマ同じですわ~。」
また黒髪の長い女性が裸のまま横たわっている。
確かに四宮が食べたと思われるカップラーメンや缶ビールはそのまま。スーツは脱ぎっ放し。雑誌類も雑多に積み上げられていて、生活感はあるが、争った形跡は全くない。
茶盛「この違和感は何や?」
茶盛「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
茶盛「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
茶盛「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
茶盛「・・・・・・・・・・・・・あ、、あ、、、あ く ま、の、くちぶえ・・・・・・。」
ボソッと口にする茶盛。
茶盛「うん?新聞?」
おもむろにテーブルの上にあった新聞を手にする茶盛。
茶盛「4/27日のスポーツ新聞か…。」
鑑識からは遺留品らしき物は衣類やバッグくらいしか見つからない。また、殺害された女性の身分証明書の類がないとボヤいている。
バックに入ってあった携帯電話の履歴等も同様に消去されていた。
遺体は検視の結果すぐに司法解剖に回された。
加元と茶盛は部屋から離れ、マンションの外に出てきた。
加元「チャモさん、今回の一連の事件の犯人は四宮だと思いますか?」
茶盛「…」
加元「では、我々が追っていた事件の容疑者、ニカイドウと四宮にはどんな接点が?」
茶盛「…」
加元「チャモさ~ん、どーしたんすか?ずっと黙っていて何かあったっすか?」
しばらく考え込んでいた茶盛がタバコに火をつけながら、加元に話しはじめた。
茶盛「ふ~~。カモ…実はな、今から25年前に私が担当していた旭区女子大生連続殺人事件を思い出してるんや。あの事件は結局ホシが挙がらずに時効を迎えた悔しい事件やったんやが…。」
加元「エッ~?僕が生まれる前の事件で、お蔵入りしたんすか?って事は、その昔の犯人がまた同じ様な事件を起こしたと言いたいんですか?チャモさん、今回逮捕された四宮は23歳。到底25年前の事件の犯人ではあり得無いっすよ。」とボサボサ頭を掻きながら合点がいかない様子の加元。
茶盛「カモ、分ってる。だから最初あの事件の模倣犯かと疑っていた。けど…あの四宮と言う男の動転ぶりを見ていても、さすがに知能犯とは思えないんや。」
加元「でも実際四宮の手には害者の血がべっとりついてましたやん。気が付いたら死体が転がってたなんて都合のいい話を誰が信じれますか?」
茶盛「・・・・・・。ふ~~。・・・・・・。」
2本目のタバコに火をつける茶盛・・・・・・。
~~野江内代 ミツハシの部屋~~
一ノ瀬「ミツハシさん。この手帳に書かれていた茶盛春香っていうのと、観覧車というのに何か思い当たる事はないんですか?」
両目をつむりながら眉間のしわを左手でつまみながら考え込んでいるミツハシ。
ミツハシ「うーん。わからないんですよ~。きっと茶盛春香っていうのは女性の名前の様に思います。ですが、そんな名前全く知らないんです。それから、観覧車っていうのも何ですかね?最近、観覧車なんて乗る年でもないでしょ~・・・。」
一之瀬「これはきっとキーワードですよ。ミツハシさん。名前はともかく、観覧車だけでも何か思い当たりませんか?」
焦る一ノ瀬瀬がミツハシに詰め寄る。
一ノ瀬「これが今、僕たちの頼りなんですよ。・・・・・・・観覧車・・・・・・・・・・?」
一ノ瀬「観覧車って言えば、そうですね。この大阪近辺で観覧車と言えば・・・。」
一ノ瀬が更にミツハシに言い寄る。
一ノ瀬「例えば、梅田のHEPの上の観覧車とか、難波のドンキの観覧車とか、それから~、天保山にも観覧車ありましたよね。っあ、神戸のモザイク辺りにも観覧車なかったでしたっけ?淡路島のSAになかったでした?」
一ノ瀬が思い出した様に話し出す。
一ノ瀬「忘れてた。遊園地があるじゃないですか。ミツハシさん、ひらパーとか姫センとか最近行ったとかないんですか?」
ミツハシが一ノ瀬の勢いにびっくりする。
ミツハシ「一ノ瀬さん。焦る気持ちはわかりますけど、そんな急に聞かれてもわかりませんよ。私だってこのままじゃいけないって思っていますので・・・。」
(そう言えば、先週、梅田のHEP近くのお店に行ったよな~。あれっ?そこで晩に東梅田のキャバクラ(ナンバーズ)に行ったっけ?関係あるかなぁ。・・・・・・あっ!!)
ミツハシが机に手を置き立ち上がった。
ミツハシ「一ノ瀬さんちょっとお茶でも飲みましょ。」
ミツハシがキッチン側の冷蔵庫へ向かう。その時机に足が‘ゴンっ’と当たり、机に置いてあった携帯電話の請求書か利用明細の様な封筒が一ノ瀬の横に‘ふわっ’と落ちてきた。
さりげなく封筒に目をやる一ノ瀬。
≪三橋 貴志≫
封筒にはそう記載されていた。
三橋「一ノ瀬さん、これからどーしますか?」
2つのグラスにお茶を入れて持ってきた三橋が一ノ瀬に話しかける。
一ノ瀬「どうって?どーもこーも自分の中では4/27の会社の新人歓迎会から時が止まっていて、頭真っ白ですよ。」
三橋「一ノ瀬さん、お腹すきませんか?」
一ノ瀬「こんな時に何なんですか。」
(グー)・・・・・・・・・・一ノ瀬のお腹がなった。
確かに目覚めてからもう8時間も経っているが一ノ瀬は飲み物以外何も口にしていなかった。
三橋「2人で行動するのも何かと目立つので、僕が近くのコンビニで弁当でも買うてきますわ~!」
一ノ瀬「エッ?僕1人でここに残れと?」
三橋「一ノ瀬さん、ここらへんの土地勘ないでしょ?コンビニはここから、5分もかかりませんし、すぐに戻ってきますんで。何かあれば携帯電話に連絡下さい。何かコンビニで欲しいものとかあります?」
一ノ瀬「はー、じゃー適当に何かお弁当と飲み物を頼みます。」と言うと三橋はセカンドバッグを片手に出ていった。
それからどれくらい時間が経っただろう…。
あれ?30分も経っていた。
エッ?確かコンビニ迄5分って言ってたな。
一ノ瀬が三橋の携帯に電話する。
携帯電話に手をやり2コール、3コール、4コールと同時に心臓の鼓動もドキドキしていた。
「アレ?出ない…ゲ…、まさか!!アイツに騙されたのか?」
その時ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
「(ドンドンドン) 三橋さ~ん、警察です!開けて下さい!」
「(ドンドンドン) 三橋さ~ん。」
つづく