「パズル」 第4話 <きっさん>
僕が待ち合わせの場所<喫茶ロマン>に着いた時、カウンターには「ミツハシ」らしき人物と、奥のテーブルにはサラリーマン風の男が二人座っていた、、、、
慌てて入った僕に「ミツハシ」らしき人物は驚いた様子でこっちを見てる、、
やせ型の長身、、、
髪はボサボサ、、、
少なくともモテるタイプではない、、、
このクソ暑いのに黒のシャツとジーンズはあまりにも「おしゃれ」から程遠い、、、
ミツハシ「、、、、一ノ瀬、、、さん???」
怯えるようにしてミツハシは問いかけてきた、、、
一ノ瀬「あ、、、そう、、、うん、、」
僕はためらいながら答えた、、、
改めて二人カウンターに座り、何から話せばいいのかもわからず、二人はうつむいたまま、しばしの沈黙の時間が流れた、、、
カモ「チャモさん、、、なんか、、、あの二人、、、おかしくないですか??、、、待ち合わせていたわりに、、、どちらも話しませんよ、、、歳は同じくらいだから、、、友達???、、、っだとしても、、、喧嘩でもしてるんですかね~??」
新聞を読んでた茶盛がチラリとカウンターに目をやるが、、、すぐに加元を見て、「、、、ふ~(ため息)、、、いいかカモ、、、世間様の状況を調べる前に犯人の状況を調べろよ、、、俺らが追ってるのは殺人犯だ、、、仲直りの仲介人探してる訳じゃあ~ないんだぞ、、、それで、、、この事件のお前の見解はどうなんだ、、、」、、そう言って茶盛がまた新聞に目をやった。
カモ「はい、、解っている事は10日間の間に2件の殺人が行われ、殺された2人はどちらも髪が長く、20歳前後の女性、、、容疑者として上がっているのが「ニカイドウ」という若い男です、、、、」
茶盛「、、、、それで???」
カモ「、、、それだけです、、、(汗)」
茶盛「、、、、、、、、、、」 新聞を軽くたたんだ、、、、
茶盛「(怒)!!そんなことは捜査書見ればわかる!!お前はどう考えているか聞いているんだ!!」
カモは慌てて胸ポケットから捜査帳を出した、、、
カモ「しかし、、、チャモさん、、、これだけの情報では手も足もでませんよ(涙)、、、現に我々は捜査に行き詰って、、、こうして喫茶店でお茶してる訳ですから、、、、」
茶盛は呆れたように大きなため息をもらした、、、、
茶盛「お前はまだまだだな~、、、いいか、、、二人の殺害にはまだ共通項がある、、、どちらも室内で殺され、衣類は着ていない、、、凶器も刃物のような物で腹部をグサリ、、、だ、、、」
カモ「はあ、、、、」あっけに取られるカモ、、、
茶盛「物取りの殺害にしては現金が残ったままだ、、、しかし変出者の性犯罪にしては指紋もない」
カモの目が少しずつ開いていく、、、、
茶盛「それと、、、、」
カモ「それと、、、、???」
チャモ「2つの現場には、、、、」
カモ「現場には??」
茶盛「、、、、驚く程、、、、殺意が感じられない」
カモ「さつい??、、、ですか??」
前かがみに話していた茶盛はようやく背もたれに体を預け、冷コーを一口飲んで窓の外を見た、、、。
茶盛「いいか、、、カモ、、、殺害現場には必ずと言っていいほど犯人の殺意が残るもんだ、、、恨みなのか、妬みなのか、嫉みなのか、、、それはありとあらゆる殺意がな、、、ワシはもう何年もそんな現場を観てきた、、、嫌というほどな、、、だが、、、今回の事件、、、おかしいんだよ、、、犯人の殺意が、、、どこにも感じないんだ、、、現場だけではない、、、被害者にも、、、、、、それはただ、、、」
カモ「それは、、、ただ、、、???」
茶盛は改めて前かがみになり、カモを睨みつけた、、、
茶盛「ああ、、、ただ、、、殺しただけの現場なんだよ、、、そこは、、、」
カモは一瞬、寒気のようなモノを感じた、、、
茶盛「なあ、、、カモ、、、お前「悪魔の口笛」って知ってるか??」
カモ「あくまのくちぶえ、、、、ですか??」
茶盛「人間の感覚では到底出来ない殺害を「悪魔の口笛」っていうんだよ、、、アメリカで実際におこった事件があってな、、、殺害を見てしまった目撃者の証言が「悪魔が口笛を吹きながら人を切り刻んでいました」とさ、、、現場には一切の殺意がなく、、、そこには、、、「ただ殺した」っという現場だったらしい、、、」
カモ「、、、この事件も、、、悪魔のしわざ、、、ってことですか??」
茶盛「いや、、、まだわからんよ、、、」
カウンターに座る僕とミツハシはただガクガクと震えながら、テーブルの会話に耳を傾けた、、、
二人共、、、背中にはびっしょり汗が流れる、、、、
茶盛「とにかくだ、、、、何よりも早く犯人をみつけて仏さんを成仏させてやらな、、、、」
カモ「はい、、、そうですね、、、、」
二人は冷コーの氷をストローで混ぜた、、、、
一ノ瀬「で、、、出ようか?」
ミツハシ「そ、、、、そうですね、、、」
二人は震える足をおさえ、、、何食わぬ顔で会計を済ませ、、、まれで逃げるかのように店を出た、、、、
カモ「お!、、、カウンターの二人はもういませんよ、、、、きっと仲直りですね(笑)」
茶元「ふ~(ため息)、、、お前はいいな、、、幸せで、、、、」
店を出た一ノ瀬とミツハシ、、、、、
早足で後ろを何度も気にしながら二人はとにかく店から遠ざかる事だけを考えてた、、、
一ノ瀬「さっきのテーブルの二人、、、、警察、、、、」
ミツハシ「そうみたいですね、、、容疑者の「ニカイドウ」ってだれですか?」
一ノ瀬「わからない、、、ただ、、、俺たちの現場が見つかれば殺害は4件、、、、殺害現場もほぼ同じ、、、」
二人はあてもなくただ、何者かに狙われてる予感だけで、その足はただ前へと進むのだった、、、
ミツハシ「これからどうするんですか?」
一ノ瀬「警察が同じ事件を追っている、、、現場にいたとなれば、間違いなく容疑者になってしまう、、、多分「ニカイドウ」というヤツも同じ状況だろう、、、そして容疑者になった、、、もう一度二人で話せる場所にいこう」
ミツハシ「だったら、、、うちの家にきませんか??、、一ノ瀬さんと同じ現場なのか見てほしいんです、、、」
一ノ瀬「なんだって??」
ミツハシ「僕も、、、もう一度戻って確かめたい事があるんです、、、」
ミツハシが何を確かめたいのかはわからないが、、、僕は僕と同じ現場なのか見てみたい気もするっという好奇心だけでミツハシの提案を了承した、、、、
、、、野江内代、、、
下町情緒溢れる下町のとあるアパート、、、、
そこがミツハシの住まいだった、、、、
ミツハシ「ここです」
僕はなぜか震えが止まらない、、、なぜ僕がこんな所に来て、死体があるとわかってる部屋に入らなければならないのか、、、、
ミツハシ「どうぞ、、、」とっそう言いながらためらいもなく玄関のドアを開けた、、、
暗い室内、、、湿った空気、、、オレンジ色のカーテンと白いテーブル、、、
その横には紛れもなく、、、シーツにくるまれた死体、、、らしき物、、、、
確かに自分の部屋にある死体とまったく同じだ、、、、
一ノ瀬「、、、、やっぱり、、、、服は着てない、、、よね、、、?」
ミツハシ「、、、、、はい、、、裸でした、、、、」
状況は全く同じ、、、、、、、
ただ違う所は、、、、
ミツハシ「この手帳です、、、見てください、、、一ノ瀬さんの名前と電話番号、、、なぜか僕の名前もあるんです」
僕は手帳をくまなく探した、、、何かヒントになるもの、、、この状況を打破するもの、、、、
すると、、、手帳の後半部分に数枚破り後があり、、その次のページには鉛筆跡がのこっている、、、
一ノ瀬「!!!!あ!!!!」
ミツハシ「どうしたんですか?!」
一ノ瀬「えんぴつ持ってきて!!早く!!」
ミツハシは慌ててテーブルのペン立てから鉛筆をとり、僕に渡した、、、、
僕はその鉛筆跡が残る紙に鉛筆を斜めに持ち薄くこすってみた、、、、
ミツハシ「うん??、、、何か書いてますね、、、、」
・・・・・茶盛 春香・・・・・観覧車・・・・・・
一ノ瀬「茶盛春香??? 観覧車???」
オレンジ色に照らされた部屋が、、、二人をより一層、重たい謎へと包み込んだのだった、、、
つづく