「パズル」第二話 唐
「続いてのニュースです。ここ10日間のうちに若い女性が続けて2人殺される、という大阪でおきた痛ましい事件について、大阪府警は本日4月27日付で特別捜査本部を設置し、捜査にあたる模様です。
この事件は被害者がいずれも大阪在住の長い黒髪の女性ということで、同一犯の可能性もあるとみて引き続き捜査が行われる見通しです。
・・・さあ、それでは次は明るい話題に・・・」
「お父さん、もうそろそろ出勤の時間ですよ。」
「・・・えっ、ああ、わかったよ母さん。もうこんな時間か。いやいやしかしこうやって母さんに急かされて出勤するのももうすぐ終わりなんやなあ」
「そうですねえ。40年間お勤めご苦労様でした。」
「うん。もうあと少しやな・・・。あ、それと母さん、春香は連絡あったんか?」
「いいえ、もう、聞いてくださいよ。春香ったら大学の友達の家に泊まってくるって出て行ったきり全然連絡してこないんですよ。こっちから連絡しても携帯は電源入ってないみたいだし・・・。こんな物騒な事件が起きてるのにあたしもう心配で心配で・・・」
「そうやな・・・。まあ、あの子ももう19歳やからな。色々あるんやろ。心配すんな、大丈夫や。じゃあ、行ってくる。」
「そうですかねえ・・・。はい、行ってらっしゃい。」
「ワン!ワンワン!」
「ははは。タイガは今日もいい子だな。行ってきます」
茶盛勇、59歳。大阪府警察刑事部捜査第一課所属の警部補である。
家族構成は、妻まさ子52歳と一人っ子の愛娘、春香19歳の3人家族。そして愛犬タイガがいる。
妻のまさ子は専業主婦。おっとりとした性格で頑固気質の夫をうまく支えている。
娘の春香は現在大学2回生で心理学を専攻している。容姿端麗で頭も良く大学の男子から引く手数多だが彼氏はいない。男勝りの行動派。
「あ、チャモさん、おはようございます。」
軽々しく茶盛のことを「チャモさん」と呼ぶこの若い男、加元亮24歳。巡査。
22歳で刑事部捜査一課に配属され、それ以来茶盛とコンビを組んでいる。
一見軽く見られがちだが、一途でまじめな性格。
「おうカモ。おいお前、昨日髪切って来いてゆうたやろ」
「へへへ、すいません、家帰ってすぐ寝てまいまして・・・」
「あほ。んなら俺が明日バリカンもってきたるわ」
「や、や、やめてくださいよ~。坊主なんて余計彼女ができんくなってまいますよ~。」
「坊主ちゃうでカモ。角刈りや。男はやっぱり角刈りやろ」
「ええ~~!無理っす~~~!」
「・・・チャモさん、定年までもうあと少しですねぇ・・・。この事件が最後の仕事になるんですかねぇ・・・」
「・・・ああ、この事件はきっちり解決してからゆっくりさしてもらいたいもんやな」
「はい!やりましょうよ!俺、命かけてがんばりますよ!・・・えっとところでチャモさん・・・は、春香さんは元気にしてらっしゃいますか?へへへ」
「・・・なんやお前。・・・ああ、春香な。そういや最近全然家帰ってこんようになったなあ。何や男でもできたんちゃうか?」
「えっ!!マジっすか!?ク~~~!!あんな清純そうな子が・・・。大学ってとこは怖いとこや~~!!」
「何考えとんねん、お前は・・・」
「オホン、え~皆さんご苦労様です。さて、我々が全力を注ぎ捜査している、この10日間の2件の殺人事件についてですが、今日からはこの特別捜査本部を設置することになりました。本部長を勤めさせていただきます佐伯です。よろしくおねがいします。
え~、連日の皆さんの努力によって捜査は着々と進んでおります。感謝いたします。そして容疑者についてはあと1人に絞られております。この2つの殺人事件の共通項、被害者はいずれも長い黒髪の女性だということ、そしてその2人が殺される直前に接触したとされる「ニカイドウ」という若い男。
この「ニカイドウ」という人物の特定を最優先して捜査を進めてください。以上。」
「ニカイドウ・・・ねぇ。何もんやろなぁ」
「ふん、どうせロクでもない男でしょうね。」
「せやな。ニ・・・カイドウ・・・やしな」
「・・・チャ、チャモさん・・・」
「・・・。とりあえず情報のあった京橋に行くぞ」
「は、はい!いきましょう!!」
つづく