「パズル」第一話 ミッチー | mony rainbow blog

「パズル」第一話 ミッチー

イベ・・イーマイ・・ベイベ・・・イーマイベイベ・・イーマイベイベ・・

携帯の着信音が部屋に鳴り響く。
頭がガンガンする・・・。二日酔いかな・・・。昨日飲みすぎたしな・・。
僕は寝ぼけながら携帯を手にとった。
ピッ・・
「もしもし?」
「もしもし?一ノ瀬君?何してるのかね?もう仕事始まってるよ!」
会社の上司からだ。
「え?今日・・?月曜・・いや、連休やから・・火曜?え・・あ、すいません・・・ちょっと体調が悪くて・・」
「そうなの?じゃあ仕方ないね。今度からはちゃんと連絡するようにね。じゃお大事に。」
「すいません・・」
ツーッ・・・・ツーッ・・・
電話を切り頭を整理する。
(え?今日火曜?金曜の夜新入社員歓迎会で飲みすぎて帰ってきて・・・今日土曜じゃないの・・?え?)
携帯を手にとって見てみる。
やはり火曜と表示されている。

(金曜の夜に酔って帰ってから今まで寝てたんかな・・・?そんなことありえる・・?)



僕は一ノ瀬健太。今年大学を卒業して、今の会社に入ると同時に地元大阪で一人暮らしを始めた。実家はそう遠くはないが家族とはあまりうまくいかず一人暮らしを始めた。
狭いワンルームだが気に入っている。
今年入ったばかりの会社、それほど大きな会社ではないが、数十人の従業員がいる。
僕は4月27日の金曜に新入社員歓迎会ということで会社の飲み会に参加して、かなり飲み、だいぶ酔っ払ってこのワンルームのアパートに帰った。
そして今起きたら28日の土曜・・・と思っていたら、なんと5月1日火曜日・・・。
29日は日曜で昭和の日、月曜は振替休日。
その間僕はずっと寝ていたのか・・・?
まぁだいぶ飲んだからなぁ・・・。

まだガンガンと痛む頭を押さえながら水を飲みにキッチンへ向かおうとベッドから降りた。

ガタンッ!

何かにつまずいて転んでしまった。余計に頭が痛い・・・。
「痛てて・・・何につまずいたんや・・・?」
ふと足元を見ると、そこにはシーツをまとって眠る女性の姿が・・。

「・・え!?・・・」
思わず声を上げてしまった。
しかしこの子誰・・・?
顔はめっちゃかわいい・・・。シーツの下・・どうなってんのかな・・・
いやいやいや・・そんなこと言ってる場合じゃない。
ってかほんまに何がどうなってんの・・?
なんで知らん女の子が俺の部屋に・・?しかも金曜の夜から今まで俺寝てたし。
必死に考えるが全然わからない。
女の子は髪は長めで綺麗な黒髪。
肌も白く、見た感じだと20歳前後。
そして顔は超かわいい。
・・しかし、誰なのか全然わからない。というか知らない。

「と・・とりあえず・・・シーツの下を確認してから・・・」
そう言いながら僕はシーツをめくった。

するとそこには何も身に付けていない全裸の女の子の姿があった。
僕は驚いた。
裸に驚いたのではない。その下に流れる赤い血を見て驚いたのだ。

えぇ!?何?血・・・?

焦るばかりで考えがまとまらない。
と、とにかく起こしてみよう。

そう思い僕は女の子の体を揺すった。

・・・予想はついていたが反応がない。やはり死んでるようだ。

どうしよ・・・何が起こってるんや・・・
めくったシーツの方へ目をやると血にまみれたナイフがあった。
そう、見間違えることはない、僕が去年キャンプのために買ったナイフだ。

どういうこと・・?
もうどうしたらいいのかわからない。
何がどうなっているのか、なぜこんな状況に自分が立たされているのか。

警察・・・
そうや、とにかく警察に電話しないと・・

そう思い携帯をとった僕の手には、さっき彼女を揺すったからだろうか血がベッタリついていた。

それを見て一瞬血の気が引く。
そして警察に電話をするのをためらった。

警察が来て何て説明する・・?金曜の夜から3日寝てて起きたら女の子が部屋で自分のナイフで刺されて死んでましたが何も知りません。
・・・無理無理無理・・・どう考えても無理すぎる。

誰がどうみても俺が犯人。

でもどうしたら・・・?
っていうか誰が、この子を・・・?
その前にこの子・・誰?

疑問が頭を駆け巡る。

記憶がないけど、もしかして本当に自分が殺した・・・?
いや、全然知らん子やし・・
マジでわからん・・・

とにかく何か打開策を考えないと・・・。
部屋の中を見渡してもいつも通りの僕の部屋。
何も変わったところもない。

女の子へ目をやると、足元に女の子の物らしき、衣服とカバンがあった。
まず女の子が誰なのか。それを調べようと僕はカバンを漁った。

中からは携帯、財布、化粧品などが出てきた。
財布には免許証や身分証明書の類はなく現金とレシートがある程度だった。
携帯もあったが電話帳やメールの履歴、発着信履歴の全てが消去されていた。
何も手掛かりがない・・。
もう一度カバンを探ると底の方に何か硬いものがあった。
しかし覗いて見ても何もない。
良く調べて見るとカバンの底にチャックがあり、その中に手帳があった。

中を見てみるがほとんど何も書かれていない。
しかしダイアリーの4月27日のところには「イチノセ」と、28日のところに「ミツハシ」とだけ書いてあった。

イチノセ・・僕の名前・・?
なぜ?
余計に謎が深まる・・・。
やはり警察に連絡するべきだろうか・・・。

考えているとまた携帯が鳴り響いた。
イーマイベイベイーマイベイベ・・・・
ディスプレイを見ると知らない番号からだった。
恐る恐る出てみることにした。


つづく