メンズ小説「Green sword ~子孫繁栄伝説~」第9話<イサオ>
屋形島(やかたじま)は、大分県佐伯市蒲江町の蒲江港から約2km南の湾口に位置する島。
中央に標高198.7mの龍王山があり、防風のための石垣が特徴的な集落が島の西側と北側に海岸沿いに形成されている。南方約7kmにある深島との間にはサンゴ礁が発達している。海岸にはハマユウの群落が見られる。
ホタテと同様に主として貝柱を食用にする緋扇貝(ヒオウギガイ)の養殖が盛んで、赤、橙、黄、紫等の鮮やかな色の貝殻を作った工芸品や装飾品も作られている。
そんな自然豊かな島・・・それが屋形島。
~~≪これはホワイトブースに全員が乗り込むよりずっと前のお話≫~~
ミッチー「おばさんこんにちは~。メグは?」
メグの母「奥の部屋にいるわ。またコンピューターでも触っているんじゃないかしら。」
ミッチー「メグはまたいつものコンピューター通信かな。誰と何の通信をする事があるんだ。一度部屋に行った事あるけど、カチャカチャカチャカチャとキーボード打ち込みしていて、さっぱり何しているかわからなかったよ」
ミッチー「おばさ~ん。メグにいつもの所に行ってるって伝えて」
メグの母「わかったわ。メグに声かけとくけんね。ミッチー、いよいよやね。頑張るんよ」
ミッチー「おばさんありがとう。オレ絶対頑張るよ」
そう言うと、ミッチーは龍王山の頂上を見上げてから、「よしっ」と気合を入れ走り出した。
龍王山の山頂からは沢山の景色が見える。
ミッチーは山頂の石垣の上によじ登り、寝転がって空を見上げていた。
この場所は本当に気持ちが良い。
程よいそよ風が吹く。潮の香りが優しくミッチーを包み込む。
ミッチーはポケットから取り出した紙を広げて、寝転がりながらニヤニヤしながらしばらくそれを見ていた。
入学決定通知書。紙にはそう書いてあった。
しばらくゴロゴロしていると、遠くから「おまたせ~」という声が聞こえた。メグだ。
ミッチー「メグ。やっと来た。コンピューター触りすぎ?メグのコンピューター好きにはいつもビックリする。」
メグ「ミッチー家に来ちょったんやね。お母さんから聞くまで気付かんかったわ」
≪ポ~~≫島の船から汽笛が聞こえた。
いつもの定期便だ。朝昼晩決まって本土と島とを結んで就航している。
ミッチー「あぁ、『えばあぐりいん』に乗るのもしばらくなくなると思うと、なんか寂しいなぁ」
メグ「そうやね。お互いこの住み慣れた屋形島から離れてそれぞれ新しい世界に飛び出すんやもんね」
ミッチー「いつも何かあると2人でこの龍王山に登っては、好き勝手に色んな話しをしてきたよなぁ」
メグ「この島は狭いけん、ミッチーの話し相手はウチがしてやらんと寂しがると思うちょったんよ」
ミッチー「メグは小さい頃からずっとオレの側に付いてきてくれたよな。メグが側におらんくなるのもなんか寂しいなぁ」
メグ「あれれ、いつも自信たっぷりのミッチーがどうしたん?らしくないよ」
ミッチー「明日からオレはこの島をでて、小さい頃からの夢だった、宇宙飛行士になる為の訓練を受けに行くんだ。そして、立派なパイロットになる。父の様に」
メグ「ミッチーはいつもこの龍王山から空を見ては、早く宇宙へ行きたい、飛んで見たいって話しよったもんね」
ミッチー「そう言えばメグは島を出てどうするの?」
メグ「もっとコンピューターの勉強がしたくて。まだまだコンピューターの知識が足りないと思っちょるけんね。うちだってミッチーに負けてられんよ」
ミッチー「負けず嫌いは相変わらずだなぁ。まぁオレもそうだけど、そんな所がお互いの励みになっているのかな。」
そんな2人の会話が続く頃、龍王山に向かって登ってくる人達を発見。
ミッチー「さっきの『えばあぐりいん』でこの島に来たのかなぁ。それにしてもすごい人数。こんな辺鄙な島に何しに来たんだろうか。」
部下「キヨトミー様。この島が屋形島でございます。伝説のグリーンソードがあると言われている島でございます。」
キヨトミー「我が社≪株式会社HURRY9≫の情報力を持ってやっと探しあてた。きっとこの島に間違いないはずだ。この情報はまだNAZAにも知られていないトップシークレットだ。必ずや探し出せ」
部下一同「はい。キヨトミー様」
そうだ、イサオの父親、株式会社HURRY9の会長、キヨトミーであった。
キヨトミー「君たちはこの島の人だね。一つ聞きたい事があるんだ。よいかね」
ミッチーとメグに近づいていくキヨトミー。
(なんか胡散臭いおっさんやな~)ミッチーがうっとうしそうに見ている。
ミッチー「こんな島に大の大人が沢山何しに来たんだ?」
ミッチーの質問にキヨトミーは答えず、自分の用件だけを聞いてきた。
キヨトミー「私の名はキヨトミー。株式会社HURRY9の会長である。君たち、この龍王山の山頂に祠はあるかね。」
メグ「祠ならあそこにあるけん、行って見ればわかるわ。」
メグが指差した方向に古い祠があった。
キヨトミー「ありがとう。助かったよ。」
2人に握手を求めて手を出し近づくキヨトミー。
(指、短か!!)2人は思った。
ミッチーとメグはキヨトミー一行をよそ目に龍王山を降りていく。
ミッチー「メグ、なんやろうな。こんな島にあんな人数でやってきて。」
メグ「そう。でも株式会社HURRY9って聞いたことある。世界的な大手企業やけん。」
ミッチー「まぁオレ達には関係ないか」
メグ「そやね。明日はいよいよお互いの旅立ちの日やけん・・・」
少し目に涙を浮かべながらメグがミッチーを見ている。
ミッチー「大丈夫。島を出てもオレ達2人は変わらんよ。またいつでも会えるから。
それから・・・」
ミッチーが振り返ってメグを見つめる。
夕日が眩しく、丁度メグの後ろから2人を照らし出す。
メグ「わかった。約束やけんね」
2人の手にはお互い銀色のペンダントが握りしめられていた。
そしてその手をつなぎながら龍王山を降りてゆく2人。
先程の涙目が嘘の様に笑顔でミッチーを見つめるメグ。
ミッチー「やっぱりメグは笑っている方が可愛い。」
「さぁ、明日から2人の船出、いやフライトだ」
ミッチーの声が龍王山にこだまする。
つづく