ガールズ小説『Cream Soda』~マゼルナキケンな女たち~ 〈めぐ〉
「ユキちゃん?大丈夫?」
涼しい風が心地よい公園のベンチに腰かけた二人。
伊藤は心配そうにユキの背中をさする。
「ちょっと待ってて。」
伊藤は公園内にある自販機に走って行った。
「はい。水飲んだら少し落ち着くかもよ。」
「ありがとう。」
水をゆっくり飲み、大きく深呼吸した。
優しい笑顔でペットボトルを差し出した伊藤がユキにはとても新鮮で、いつしか忘れていた感覚を思い出した。それと同時に、まだ酔いが回っている状態で、口が動き出す。
「‥、わたしな、実は彼氏いてんねん。‥もう6年付き合ってんねん。せやのに‥‥。」
何も言わず黙ったまま耳を傾ける伊藤に、どこか安心したのか、ユキは目に涙を浮かべた。
「ほんまはちゃうねん。わたしこんなんちゃうねん。みんなが思ってるわたしとちゃうねん。…あー!なに言ってんねやろわたし!初対面の人やのに!ごめんねなんか。そろそろ帰ろっかな!伊藤くんほんまありがとう。」
酔った勢いで何を言ってるか自分でもよくわからない。でも伊藤君といるとなんだか落ち着いて、まだ会って数時間しか経ってないのに。伊藤君の隣は居心地がいい。
「ユキちゃん、ムリしてるんや。」
優しくほほ笑んだ伊藤を見て、ユキは涙が溢れてくるのを止めることができなかった。
「送ってくで、家どこなん?」
「こっから近いよ、歩いて帰れる。」
雲からゆっくりと顔を出す月が、ユキの背中を優しく照らした。
「結局3あの3人戻ってこんかったねー。大丈夫かなみんな。」と心配するサチ。
「カメと大島くんなんか、カラオケ行くって言ってたのに、いつの間にか消えてるし!ってか、大島くんやばくない?今井君よりチャラい感じ!でもカメなんか気に入ってる感じやったしいっか!」
カラオケで、EXILEを歌うと思いきや、HOTEIの「Be My Baby」をもじり、「イーマイベイベー」とノリノリダンスしながら歌う今井にドン引きした、HOTEIを愛してやまないリミが言う。
「今井君…。おもろかったけどな。」苦笑するトモ。
「リミ今井君最初かっこいいって思ったけど、やっぱやーめた!明日イサコに電話してみよ!!」
「切り替え早っ!ってか、また功くん!?なんかかわいそ!リミに遊ばれてるやん!!」
「トモに言われたくないわ!ちゃっかり渕本くんキープしてるしなー。何股すんねん!」
「まあまあ、、今日は楽しかったし、いいんじゃない?」
「サチだって!木佐貫くんといい感じやったやん!ま、終電やからって帰るってなー!なんか一気にテンション下がったわ!」
少しふてくされ気味のリミをなだめながら、さっきまで顔を出していた月は、いつの間にか雲に隠れ、夜は更けていった。
プルプルプル…プルプルプル…プルプルプル…プルプルプル…
「もしもしぃ。」
「カメっ!メグちゃん中道くんと付き合ってるってホンマにぃ!?」
電話を出るやいなや、リミの大きな声に携帯を少し耳から離す。メグのブログに彼とデートの記事がアップされたことで、中道君に違いないと確信したらしい。
「うん。なんか、メグめっちゃはまってんねん。なんか、一番コンパとか興味なさそうやったのに、まだ、あれから一週間しか経ってないのに、ほんまなんか、、みんな意外やね。」
「みんなって??みんなって??トモとサチは連絡取り合ってることは知ってるけど。意外ちゃうし!もしかしてカメも!?っていうかあれからカメどうなったん!?」
コンパは失敗に終わり、少し焦りつつも、好奇心旺盛なリミ。
「あれからホテル行ってん。」
「やっぱり!で、チャラ大島はどうやったん?」
(つづく☆)