連続小説「大阪純情朝焼け物語」<きっさん>
僕はとにかく走った、、、、。
この歳になってこんなに走るとは思わなかった。
学生時代でもこんなに一生懸命走ったことはない、、。
とにかく僕は走った。
走りながら考えてた。
結婚を理由に仕事を辞める? イクコは確か結婚したはず、、、。イクコの結婚式に出たヤツからの情報だからこれは間違いではない。 じゅあ、、、再婚、、、。離婚してから大阪に出てきたのか、、、? いや、、違う、、、。 再婚が決まって大阪に来たんだ、、、。じゃあなぜ僕と、、、?。 走りながらイクコの動機を探し始めた。
日頃の運動不足で絡まる足をなんとかおさえ、美津子ママに教えられたマンションを探す。
イクコは東京の人で、、、いわゆる山の手のお嬢様だ、、、。
めぼしいマンションを探すが、、見つからない、、、。
ようやく目的の住所に辿り着いた、、、。
僕はイクコの住まいを見て愕然とした、、、、。
木造2階建て、、、築、ゆうに50年は立っている、、、共同玄関、、、共同トイレ、、、風呂ナシ、、4畳半、、、
「ど、、どうしてこんな、、、」
僕はイクコの部屋に向かった。
イクコの部屋はまるで、、、人が住んでいたとは思えないほど何もなく、、ただ沈みかけた夕日だけが部屋の窓から差し込んだ、、、、。
部屋の片隅を見ると、、そこには近隣マップ、、、。
僕はその地図を見た時、、、溢れんばかりの涙がこぼれた、、、。
そこには、、僕の家はもちろん、、、僕の会社、、僕の行く本屋、、、僕の飲み屋、、僕の行くコンビニまで印がついている、、、。
そしてその巡回通路をなんどもなんども鉛筆でなぞってある、、、。
偶然なんかじゃ、、、なかったんだ、、、、
ピンポイントで出会ったわけでもない、、、、
イクコはこの薄暗い部屋で、、、毎日、、毎日、、僕を探してたんだ、、、。
会えるかどうかもわからない僕を探して、、、何度も何度も足を運んだんだ、、、。
毎日、、、毎日、、、
何度も、、、何度も、、、
僕は沈み始めた夕暮れが見れるこの部屋で大声で泣いた、、、。
どれくらい時間がたっただろう、、、僕の涙は枯れ、、僕の中で一つの覚悟が生まれた、、、。
再婚をぶち壊す!!!
映画の「卒業」ではないけど、、僕はイクコにプロポーズをする!!告白ではない、、、
もう一度、、、もう一度、、、イクコに想いを伝える!!
僕の物語は、、、ここで終わらせてはいけない!!
イクコを追いかけて、、、東京に行く!!
覚悟は決まった、、、。
部屋を出る時にここの大家さんが現れた。
「いや~に~ちゃんは運がいい!今日この部屋が空いたのよ!家賃1万円ポッキリ!!どう?」
ついでなのでイクコの事を聞いてみた、、、、
「あ~あのカワイコちゃんね、、、今日の午後の新幹線で東京に帰るらしいよ、、、ってか、、もう出ちゃってるね(笑)ィ~マイベイベ~ィ~マイベイベ~」
!!あ!!その歌、、!!
「お!”に~ちゃんこの歌知ってるかい?今全米でオリコンチャート1位だってさ!」
(笑)そう、、、
イクコと観た、、あの映画の挿入歌だ、、、。まだ終じゃない事を確信した。
そしてこの部屋を後にした、、、。
僕は帰り際、会社に有休手続きと、明日の東京行きの切符を買い、、家路に着いた、、、。
僕の想いは変わらない、、、。
すべては明日、、、。
東京でイクコを探すところから始める!!
僕は身体に流れる熱い想いを抑え、、とりあえずは風呂に入った。
そして、、、、そして、、、、そう、、、、
僕が入浴中に、、、、テレビではこんなニュースが流れてた、、、。
臨時ニュースです。
今日、JR西日本新幹線、新大阪~東京行き、130号が京都を出発し、直後、脱線、横転、全車両ほぼ壊滅状態となり、警察および自衛隊が救助にあたり、現在の死者134名、ケガ人29名、身元不明者が4名、 安否が気遣われます、、、、、、、、、、、、、、
美津子ママから連絡をもらったのは、、、、その日の明け方だった、、、、。
つづく