メンズ小説「Green sword ~子孫繁栄伝説~」第5話<ミッチー> | mony rainbow blog

メンズ小説「Green sword ~子孫繁栄伝説~」第5話<ミッチー>

「破壊したやと!?」オーチャが叫んだ。

フチとメグ顔を見合わせて呟く「惑星を破壊するなんて、どうやってそんなこと・・・」

驚いているホワイトブースの面々にリョターは続けた。

「驚きを隠せないようだね。諸君。君たち地球の技術力と我々の技術力には雲泥の差があるということだよ。
今回の挨拶代わりの砲撃にも驚いたようだが、我々は裏切り者のいる地球にはいずれ挨拶に行こうと思っていた。
そこへ偶然君たちがワープしてきたというわけだ。
運が悪かったな。
まぁ地球もいずれは破壊する予定だったが愚かな地球人は自らの手で自分の星を滅亡に追いやったと聞いた、本当に下等な人種だ。笑いが止まらなかったよ。」

不適な笑みを浮かべるリョター。対照的に技術力の違いを目の当たりにして顔が青ざめるフチとメグ。

「じゃあ、そろそろとどめ刺しちゃいましょうか?」へらへらした顔でイーマイが促す。
「そうだな、ここはお前に任せよう」とリョターはイーマイの肩を叩いた。
緩んだ顔のイーマイとは対照的に、ホワイトブースのメンバーの顔は強張っていた。トンの酔いすら醒めていた。
そんな中ミッチーとイサオはうつむいて何かを考えているようだった。

このままではホワイトブースごと全員やられる。
何か方法を考えなくては、と。


そして、ミッチーは思い立ったように話しだした。
「ま、待て。裏切ったのは俺だ、俺と勝負しろイーマイ。それとも前のように俺に負けるのが怖いのか?」

そのミッチーの発言を聞いた瞬間、イーマイの顔が真っ赤になった。
「はぁ?何言っちゃってんの?それ何年前の話?あれから俺様がどれだけ強くなったかわかってんの?マジでキレそうなんですけど?お前ごとき余裕ですけど?ってかそっちのパイロット全員でかかってきても余裕ですけど?」
怒ったイーマイがまくし立てるようにしゃべる。

ミッチーは思った。
予想通りイーマイは挑発にのった。これで最悪の事態は回避できるかもしれない。かなり勝算は薄いが・・・。

「オ、オレも行く!」イサオが立ち上がった。
「弱虫のくせにお前まで調子にのっちゃってんの?ベイベー!イサオみたいなもんオレの足元にも及ばんわ」

やり取りを見ていたリョターが不適な笑みを浮かべて話しだした。
「なかなか、面白い展開だな、よかろうイーマイ勝負してやれ。今のお前の実力と我々の技術力を見せてやれ。
そうだな、諸君、万が一君たちが勝ったら今回は見逃してやろう、
しかしイーマイが勝ったらその瞬間君たちの船は破壊され宇宙の藻屑となる。それでどうだ?」


「そんな勝手な・・・大体なぜこんなことに。」キサがリョターに問いかける。
「事情についてはあの世でミッチーにでも聞くといい、ハハハハハハ」
歯を食いしばりリョターをにらみつけるキサ。
そして、他のみんなも、なぜこんなことになったのか、これから何が起ころうとしているのか、困惑の表情を浮かべていた。

「じゃあお互い小型宇宙戦闘機で勝負だ、いいな?」ミッチーがイーマイに言い放った。
「あぁ、いいぜ。イサオは初心者マークつけてこいよ!じゃあ早速勝負だ!ハハハハハハ」
イーマイが小型宇宙戦闘機に乗り込む準備を始めた。


「どういうことなん?」ホワイトブースの面々がミッチーやイサオに質問を投げかける。
「細かい事情は今は話してる時間がない・・とにかくイーマイを倒す」
ミッチーは戦闘機へ向かおうとした。
しかし、それをキサが止めた。
「ミッチー、勝算はあるのか?」ミッチーに小声で話しかけた。
ミッチーは一瞬黙ったがキサの目を見ながら話しだした。
「・・・実際イーマイはかなりの実力をつけていると思うし、戦闘機自体の能力もかなり差がある。勝算はかなり低い。でもやるしかない」
暗い表情で話すミッチーにキサは「そうか・・・」といってうつむいた。
ミッチーはキサの前を横切り戦闘機ブースに向かった。

そしてイサオもそれに続くように戦闘機ブースに向かおうとしたが、オーチャがイサオを引き止めた。
「オレに行かせろ。3人で行きたいとこやけど、戦闘機は2機、行くのは2人や。オレのほうがイサオより操縦の腕もあるし勝てる可能性高くなる」
イサオは振り向いてオーチャの顔を見上げた。
「ありがとう、オーチャ。でもこれはオレとミッチーへの恨みやし、オレが行かなあかんねん。確かにオーチャの方が頼りになるけど、
オレも一応パイロットやし、勝ってみせる。
それにもしオーチャが行って何かあったら、残されたオレの技術ではホワイトブースを自在に操ることはでけへん。
だからオレが行く。
オレらに何かあったら、オーチャのそのテクニックでホワイトブースを動かして何とかあいつらから逃げてほしい。」

いつになく真剣なイサオの声にオーチャはイサオの気持ちを悟り黙ってうなづいた。
そして親指を立ててイサオに突き出した。
「勝ってこいよ」オーチャは搾り出したような笑みを浮かべていた。

イサオはそれに応えるかのように黙って親指を立てた手を前に出した。

オーチャは小さい声で「指短っ」と呟いた。


イーマイ、ミッチー、イサオがそれぞれ戦闘機に乗り込み発進し、まもなく戦闘が開始された。

序盤、圧倒的な機体の能力差でミッチーとイサオは攻撃を回避することに終始していた。

ヤバイな・・このままではやられるのは時間の問題・・・ミッチーはあせっていた。


一方、固唾を呑んで見守るホワイトブースの面々。
そしてその部屋の隅でうづくまって泣くリミの姿とその横につきそうユキの姿がそこにはあった。
「死なんとって・・・イサオ・・・私・・イサオ死んだらどうしたらいいん・・・死なんとって・・・」
リミが泣きながら呟く。
「大丈夫やって、リミ。絶対生きて帰ってくるよ。・・・っていうかやっぱりリミ、イサオのこと・・・」
そういいながらユキはリミの肩をさすってなだめた。

そして先ほどから泣くまではしないものの、目に涙をためているメグの姿があった。
メグは目に涙をためながらコンピュータの前で、必死に何かを打ち込んでいた。
そしてEnterキーを叩くと同時に「できた!」と声を上げた。

静寂の中のその声に反応し、みんながメグに注目した。
メグはみんなの視線を気にすることもなく戦闘機への通信を始めた。
「ミッチー!イーマイの戦闘行動パターン解析した!結果を今転送するから参考にして!
絶対勝って生きて帰ってきてや、・・・あの約束破ったら承知せえへんからね!」

そう言って零れ落ちそうな涙をこらえ、胸に光る銀色のネックレスを祈るように握りながら転送ボタンを押した。

その行動を見ていたオーチャが立ち上がった。
「みんなも何かできることを考えよう、艦長、指示を!」

「よし、そうだな、ボーっと見ていても仕方がない、オーチャはイサオに通信しながら操縦の指示を、リミ、カメは戦闘から帰った二人のために治療の準備を、
メグはそのまま敵の解析を進めて、フチはホワイトブース損傷のチェック、損傷箇所多いのでユキ、トンもフチについて行って手伝いを、
サチはリョターたちから逃げるためのコースを割り出してくれ」

「了解!!」全員が声を合わせて返事し、持ち場に向かった。

「ミッチー、メグからのデータ見てどう?勝てそう?」
イサオがミッチーに通信で話しかけたがミッチーは一瞬答えるのを躊躇した。

解析データを見る限りかなり勝算は薄かったからだ。
どの行動パターンにも弱点らしい弱点は見当たらない。
唯一勝算があるとすればイーマイが敵をロックオンする前後のタイミングだ。

しかし、そのためには2機のうちどちらかをロックオンさせなければいけない、かなりリスクの高い賭けだ。

「まぁ何とか勝てると思うよ。今から説明する作戦でいくからよく聞けよ。
まず、オレがイーマイに背後を取らせてロックオンぎりぎりのところで追いかけさせる。
その間にお前はイーマイの後方から機体の下に回り込んでイーマイを狙う準備。
そしてイーマイがオレにロックオンして攻撃してきたらお前が下からイーマイを攻撃して撃破。これでいく。単純やろ?」

ミッチーの言葉にイサオは驚いた。

「え?それってミッチーロックオンされるやん・・・オトリ・・何か違う方法ないん?」
イサオは動揺していた。

「・・・正直、ない。でも心配しなくてもロックオンされて攻撃された瞬間ぎりぎりで避ける。だから大丈夫。心配すんな、キモチワルイ。
それよりお前その短い指でちゃんと撃てるか?」

「う、うん。多分」
自信がないこと、重大な任務であること、人の命がかかっていること、指が短いことにイサオはひるんでいた。

そして、ミッチーはホワイトブースと通信をはかり、作戦を説明した。
「あのスピードの戦闘機にロックオンされて攻撃されてから避けきるんなんか絶対無理やって!」オーチャが興奮して抗議する。

「大丈夫、なんとか回避してみせる。それしか方法はないし。大丈夫。・・・それからメグ、データありがとう。助かったよ。それに約束はちゃんと守るからな、絶対勝って生きて帰る」
そう話すミッチーの手には銀色のネックレスが握られていた。

メグはこらえていた涙をこぼしながら「信じちょるけん・・・」ただ、そう呟いた。

ホワイトブースの他の面々も作業を終え次第にメインモニター前に集まっていた。
みんな真剣な表情でこの戦闘を見守っている。

「そろそろ作戦に入るけどイサオいけるか?っていうかお前顔黒いけどイーマイの攻撃でもくらったか?」
ミッチーが冗談交じりでイサオに話しかける。

「いやいやいやいや!さっきフチにやられたやつやし!」

イサオ必要以上のリアクション。

「まぁ、そのリアクションできるぐらい落ち着いてたら大丈夫、イーマイへの攻撃まかせた」
そういってミッチーはイーマイの戦闘機の前に向かった。


そして作戦が開始され、ミッチーの戦闘機がイーマイの目前へ現れた。
イーマイは絶好のチャンス到来とばかりに喜ぶ。
「よっしゃー!背後取ったぁ!余裕~!ゴルゴの背後取るよりだいぶ楽やったわぁ~!イーマイベイベー!!」
一気にテンションが上がり、予想通りミッチーへのロックオンを急ぐイーマイ。
その瞬間イサオはオーチャの指示でイーマイの下へ潜りこんだ。

「よし、いいぞイサオ、もうちょい右に旋回してロックオン取れるポジションにつけろ」オーチャが更にイサオに指示を出した。
「やってみる!」イサオは必死にイーマイをロックオンしやすい位置に移動する。

「イサオ急げ!早くせんとミッチーがロックオンされる!」オーチャがイサオに急ぐように促すが、戦闘機の能力差もあってかイサオはなかなかいい位置取りができないでいた。

そんな中、ミッチーはロックオンから逃げまわる限界に近づいていた。
やっぱり戦闘機のスピードが違いすぎる・・・これ以上逃げ切れない・・・
そしてとうとう
「よっしゃー!ロックオンッ!!!イーマイベイベー!」

ヤバイ!全員が息を飲んだ。
「イサオ!早くロックオンしろ!」オーチャが叫んだ。

「もうちょい・・・よしっ!ロックオン!」
イサオがロックオンしたと同時に、「いくぜー!イーマイベイベー!ドーンストーップマーイラーブ!オレを止めないでぇ~!」
イーマイの雄叫びと共にミッチーに向かってイーマイのレーザー光線が発射された!

ドゴォォォォン!!!

ぎりぎりで左へよけたミッチーの戦闘機だったが右翼をつぶされ近くの小惑星に墜落した。

「イーマイベイベーーーー!!!」イーマイが歓喜の雄叫びをあげた。


「ミッチーーーーー!・・・・・くそぉ・・・・いけぇ!ジェットストリームアタァァーックッ!!」
イサオはそう叫んでイーマイに向かってレーザー光線を発射した。


「・・え?オレロックオンされてる!?え?・・・イ・・・・イーマイベイ・・・」
ドゴォォォォォォン!!!!
イサオの攻撃は見事にど真ん中に命中しイーマイの戦闘機は木っ端微塵に砕け散った。

「よしっ!よくやった!!イサオ!そのままミッチー救助にいけ!絶対死なすなよ!」「はいっ!イサオ行きます!」キサの命令でイサオはミッチーの救助に向かった。

みんなは勝利の喜びとミッチーの安否がわからない不安が入り混じった複雑な表情をしていた。
そんな中ホワイトブースのメインモニターにリョターが映し出された。
「まさか、イーマイが負けるとは・・・この勝負は我々の負けだ・・約束どおり今回は見逃してやろう、だが次に会った時は有無も言わさず君たちを亡き者にする。覚悟しておくことだな。」
そう言い放つとモニターの通信は途絶え、リョターの乗る大きな船は宇宙の彼方へ消えていった。

静まり返るホワイトブース内。
「ミッチー・・・・生きてて・・・」メグが静かに呟いた。
その時再びメインモニターに通信が入りイサオが映し出された。
「ミッチーの生存確認しました!生きてます!!!無事です!ただ、意識はないようで、怪我もかなりひどいかもしれません!今から連れて帰還します!すぐ治療に当たれるよう手配お願いします!」


イサオの声にホワイトブースは歓喜の渦に包まれた。
「よかった!ほんまよかった!!」「全力で治療に挑むわ!絶対治す!」みんな二人の無事生還を心から喜んだ。

そして、しばらくしてイサオがミッチーを担いで帰ってきた。
「お疲れさん!本当によくやってくれた!まずミッチーの治療が先決だな。」
キサが労いの言葉をかけた。
サチがナースの二人に指示を出す。
「カメ、リミはミッチーを医務室まで運んで治療にあたって。」
「了解!」
サチの声にナースの二人はミッチーを医務室へと運んでいく。
そのナースを追い、着いていくメグの姿がそこにはあった。
「私も着いていく・・・邪魔にならんようにするから」そう言うメグの目にはまだ涙が溢れていた。

「イサオは怪我はないの?別にどうでもいいけど」サチがイサオに問いかけた。
「いやいやいや、どうでもいいことないやん!まぁ怪我はないけど。」
そういうと疲れからかイサオはソファーに座り込んだ。

その座り込んだイサオの前の椅子に一人の男が座り、話しだした。。

「お疲れのところ悪いけど、イサオには説明してもらわなアカンことがいっぱいある・・・。
まず、ジェットストリームアタック言うてたけどアレ何?ただのレーザービームですけど・・・」
オーチャだ。

「いや・・アレは一度言ってみたかったというか・・・憧れというか・・」
「黒い三連星的な?まぁ確かにお前は顔黒いけども。」
「は・・・はい・・・すいません・・・」

「まぁ、それはどうでもええわ。っていうか本題やけど、イーマイやらリョターやら一体何なん?お前らとどういう関係なん?ちゃんと説明しろよ。」


もちろんこの話はみんなが気になっていたことで、医務室へ行った者以外は全て必然的にイサオの周りに集まってきた。

イサオはみんなが集まったのを確認すると静かにしゃべりだした。

「話せば長いんやけど、まず、オレとミッチーは昔同じパイロット養成所におってん。そこで一緒に勉強しててんけど、みんな知っての通り、
ミッチーにはセンスがあってたちまち養成所で一番の腕になっていった。
オレはといえば相変わらずの落ちこぼれ。

んでこっからは政治的な話も入ってくるんやけど、アメリカのNAZAあるやろ?地球で一番宇宙に関して進んでるあのNAZA。

あのNAZAでは地球が住めなくなった場合に移住するための惑星探査活動を極秘に進めてた。
Organization Planet Probe Activities of Informal、非公式の組織的惑星探査活動、略してOPPAI。
地球も核戦争がかなり勃発してきて滅亡の危機に瀕することもある程度予測できたしそういう活動をしてたんやと思う。

で、その惑星探査活動にシーロキア公国が絡んでる。
シーロキア公国のある惑星モンテローザは戦争とかではないけど星自体の寿命があとわずかになってた。
そこで地球、まぁNAZAとシーロキア公国で共同でOPPAIをしていたわけ。

その頃シーロキア公国は宇宙のパイロットの養成とかは地球よりかなり優れてたんやけど、惑星探査の技術はNAZAの方が上やったから、
パイロットや実践はシーロキアが優秀、開発や技術はNAZAが優秀ってことでお互いメリットがあるんで共同探査活動になったみたい。

んで、話戻って俺たちの養成所やけど、年に1回優秀な訓練生がNAZAで研修を受けることになってる。
もちろんミッチーは選ばれた。そして、オレも選ばれた。
オレは優秀じゃなかってんけどね・・・うちの親父みんな知っての通り世界的な大手企業「株式会社HURRY9」の会長やろ?
NAZAのOPPAIにかなり出資してたみたいで、その恩恵というかコネでオレもNAZAに行けることになってん。
んでNAZAで研修が始まってんけど、そのNAZAでプロのパイロットになってその中で更に優秀なパイロットはOPPAIに参加できることになってるねん。」

「あんな悪いやつらとなんで共同なん?っていうかオッパイ言い過ぎてエロい話にしか聞こえん」
話すイサオをさえぎってフチが質問をなげかけた。

「それも順を追って説明するわ。とにかく案の定ミッチーは優秀なパイロットとしてOPPAIのパイロットに選ばれた。そしてもちろんおぼっちゃんのオレも選ばれた。
OPPAIへの参加は名誉なことやし、何より地球やモンテローザの人々の役に立つってことでオレもミッチーも喜んでた。
そして俺らはシーロキア公国に出向いてOPPAIに加わった。

で、OPPAIやねんけど、技術提供は地球がメインなんやけど、実際現場にいってるのはシーロキア公国のパイロットや艦長がほとんど。

でもそんなこと気にせず、オレらは最初は順調に活動をしてた、そこでイーマイとも出会った。
イーマイはエースになりたくてミッチーに何度も勝負を挑んでたけど結局1回も勝てずにいた。
そして活動を重ねるにつれてエースパイロットのミッチーは前線に出向くようになっていった。

NAZAとしては未住の地の惑星で地球人やモンテローザ人が住めるところを探査してるだけと思ってたみたいやねんけど、実際ミッチーがそこで見たものは違った。
シーロキア公国のリョターはすでに誰かが住んでる惑星を次々に襲って奪っていっていた。
もちろん地球にはその報告は上げずに。

ミッチーはそれが許せなくてオレにその話を打ち明けた。
そしてオレとミッチーはその仕事を降りた。それがリョターの言う裏切り者ってことやと思う。俺はまだしもミッチーはかなり使えるパイロットやったし。

で、帰ってきた俺らはNAZAに事の全容を報告したんやけど誰からも信用されず、またNAZAで通常任務のパイロットとして働く日々が続いた。

そうしてる間に地球では核戦争が各地で勃発、滅亡が目の前までやってきた。

NAZAは惑星探査と平行してとりあえず地球から脱出するため、ホワイトブースを作ることにした。
そしてそのホワイトブースの開発は宇宙船開発の重鎮である日本のオトーン・フチ、そうフチの父親に任された。

核の被害は島国の日本では少なくアメリカや他の先進国はかなりの被害が出てたためホワイトブースを作る場所にも日本が選ばれた。

そしてアメリカでは核や、放射能の影響で突然変異したウィルスにやられてNAZAにいる優秀なパイロットが次々に死んでいった。
そこで日本人であるミッチーはNAZAから日本に帰るよう指示をうけた。ホワイトブースの操縦士として。
もちろんうちの父親もホワイトブース開発に出資しまくってるからオレもホワイトブースの操縦士に選ばれた。

ここからはみんなも知ってる人もいてるかもしれんけど、
NAZAで3年間宇宙ステーション開発の指揮をとっていたキサがホワイトブース艦長に選ばれ、日本宇宙開発庁長官の孫のサチが副艦長に選ばれた。
同じくカメ、リミ、ユキ、トンも宇宙ステーションで働いた実績を買われて選ばれた。
フチはもちろんお父さんゆずりの技術力を買われて。

そしてNAZAからの配慮で、もう一人のパイロットとプログラマーを選ぶ権利はミッチーに与えられ、ミッチーはプログラマーに幼馴染で技術もあるメグを選んだ。
そして大阪モード学園パイロットコースに見学に行った時、ずば抜けた才能を持つオーチャを見つけメンバーに加えたってわけ。
以上、オレの知ってることはこんなもんかな・・・。みんな迷惑かけてごめんな。」

「そんなことがあったのか・・・NAZAに勤めてる時、OPPAIの噂は聞いたことがあったがまさか事実だとは知らなかった・・・」キサが呟く。

予想以上のスケールの大きな話。そして強大な敵になるかもしれない存在。みんな事の重大さに静まりかえった。

自分たちの置かれている立場がいかに重要なものか、そしてこれからどれだけの困難があるのか。
自分たちは地球最後の人間として本当にオークラにたどり着けるのか、またリョターと出会ってしまったら・・・
いろんなことを考え、不安を表情に出さずにはいられなかった。

その暗い雰囲気の中、奥の医務室からカメとリミが笑顔で走ってきた。
「みんなー!ミッチー大丈夫やったよ!完治にはもう少しかかるけど怪我もたいしたことなく無理しない程度なら動けるよ!今はまだ寝てるけど起きたらこっち来ると思うよ」
「リミの技術のおかげやで~!私のすごい手術でミッチーが・・」
「いや、手術してないし」カメとリミが笑顔で話した。

「よかった・・・」みんな口々に安堵の言葉がでた。
そして、ミッチーの無事を知らせるその明るいニュースでみんな少し元気を取り戻してきた。
「考えても仕方ない!俺たちはオークラを目指すのみ!」キサが声を上げると
「せやな!よし!じゃあ破損部分を早速完全に修復して出発だ!1時間もあれば修復できると思う!みんなはそれまでゆっくりしとって~」
フチが工具を持ち破損箇所へ向かった。

みんな各自束の間の休息をとろうとしていた。椅子に腰掛ける者、食事を取る者、酒を飲むトン。
そんな中、ハンディーモニターで映画を見るイサオにリミが近づいていった。
「イサオは怪我してないの?大丈夫なん?」
心配そうに尋ねるリミ。
イサオは映画に集中しているのか返事がない。
「聞いてる!?」リミが大きい声を出す。
「え?何?今いいとこやねん。」ぶっきらぼうに答えるイサオ。

バチーン!

ビンタの音がこだました。
「怪我ないかって聞いてんの!本気で心配してるんやから!!本気で怖かったんやから!もしイサオに何か・・もういいっ!!イサオなんか知らん!」
そう言い放つとリミは涙ぐみながら自分の部屋へ走っていった。

「・・・・え?オレなんか悪いことした?」
イサオは呆然としていた。

みんなビンタの音に反応し、一瞬注目したが、イサオが殴られるのは世の常。誰も気にもとめていなかった。

そしてそれぞれの穏やかな時間が流れる中、サチが椅子に座るオーチャに耳打ちするように話しかけた。
「オーチャ、ちょっと私の部屋来て。大事な話があるの。」



つづく