連続小説「大阪純情朝焼け物語」
テキパキ働くイクコをつまみに呑む梅酒 呑み始めて1時間は立つが一向に客は僕一人。カウンター内にはイクコ、何を話すでもなく時間だけが立つ、なんだろ 酔ってきたのかイクコを見てるせいなのか、すでに帰る気はなくなってる。 客を尻目に歌う美津子ママ 歌うは十八番の「津軽海峡冬景色」 それを笑顔で見つめるイクコ、そのイクコを見つめる僕 この関係がすでに1時間は続いている。 曲終わりに必ずおじきとマイクに入らない「ありがとうございました」をする美津子ママをもうすでに今日は7回も見てる。 そしてまた一礼と無音の「ありがとうございました」 飽きないのだろうか 一通り歌いきった美津子ママが「はあ~スッキリした あ そうそうちょっと買い物行ってくるわ イクコちゃん 店お願いね」と店を出ようとする美津子ママを見て
え。。。!慌てる僕と対照的に「うん 大丈夫 行ってらっしゃい」と笑顔のイクコ。
カランカラン っという、いつもの扉の音はこれから始まる二人の気まずい空気の長い長い時間の幕開けとなった。
何を話そう ダメだ 緊張してきた こんな時に限ってう○こしたくなるし でも行けないし
ドキドキドキドキという音が聞こえてるのではないかと思うくらい心拍数が上がってる 明らかに手も震えてきた このままじゃマズイ 何か話さなきゃ 何か話さなきゃ 飲み干したはずのグラスをまた口に運んで、飲むとは言えない溶ける氷を舐める。 先ほどの騒ぎが嘘のような沈黙 時計の音が妙に気になる その時
「何か呑む?」
イクコ沈黙を破いた。
「う うん じゃあ 何にしようかな?」っと梅酒しか呑めない僕は必要のないメニュー表を開いた。
「あたしもいただこうかな」
っと笑顔で冷蔵庫を開け、瓶ビールを取り出した。
「う うん」 あ 明らかに大人な対応を取られた。 気まずい沈黙をイクコ自ら破り、 喋れずにいる僕を和ませようと「あたしも呑んじゃうよ だから楽にしてね」的な相手を思いやる姿をみせた やられた 先手を取られた
ますますカッコ悪い。
そしてますますう○こ行きたい
「でも久しぶりだよね 10年かあ そっかあ お互い歳をとるわけだあ」 あどけない笑顔は10年前と何一つ変わらず いや 10年という年輪が余計にその笑顔を輝かせた。
「郁夫君は今何してるの?」
「う○こ我慢してます」 っとは口が裂けて後頭部で繋がっても言えず 「ああ デザイン関係の会社 ウエブのね」と答えた。 ボケた方が良かったのではと相変わらずのボキャブラリーの無さに後悔。
「そうなんだあ すごいね デザイナーかあ 絵上手かったもんね」 質問しといて相手を褒める なんという優しさ 嬉し過ぎて肛門ゆるむだろお。
「イクちゃんは?」 !!!ま マズイ!!!相手の優しさに泥を塗る返し!!この再開にいきなりプライベート質問はないだろ!!切り返せ 切り返せ 俺!!
「笑 イクちゃんなんてやめてよ そんな呼び方した事ないじゃん 昔のまんま「クリちゃん」でいいよ」
「マンマミーヤー!!!」 っと心で叫びだしたい気分だった 「昔のまんま」これは何を意味するんだ また好きになってもいいって事か? いやいや待て待て 冷静になれ 俺たちは大人だ 大人な対応をしなきゃ
「その代わりあたしも呼ぶからね ボッキンって」
!!!!!!涙 涙 涙 !!!!!! そして!!!!う○こ!!!!
我慢出来なっかった(涙)
つづく