連続小説「大阪純情朝焼け物語」<きっさん> | mony rainbow blog

連続小説「大阪純情朝焼け物語」<きっさん>

あれから1週間 イクコと再開をはたして僕はすっかりスナックドリームから足が遠のいた。 会いたくない訳ではない。 むしろ会いたい。 再会とはゆえ、もともと大好きだった人だから会いたくない訳がない。 ただどんな顔をして、何を理由に会いに行けばいいのか、  「栗原イクコ」 「フラれた人」 「大好きだった人」 頭の中で繰り返し出てくるこの3種言。

待てよ そもそも何故 イクコが大阪にいるのか? 結婚したと風の噂で聞いた しかも千林 偶然にしてはピンポイント過ぎる ダメだ わからない 大阪弁では「わからん」 この1週間ろくに仕事が手についてない。

そして今日もスナックドリームには行かず家路を目指した 帰り道「玉出」で夕食の買い物をしてると「郁夫ちゃ~ん」の聞き慣れた声 そう美津子ママ

「何してるん?ぜんぜん顔みせへんから死んでるんか思ったでしょ」相変わらず空気の読めない人だ。

「ごめんママ 仕事忙しくて」僕は手のつかない仕事を理由に嘘をついた。

「ほんま~そうかいな~じゃ~行こか」美津子ママが僕の腕を鷲掴みした。「はあ?ちょ ちょう待ち」僕の些細な抵抗も虚しく引きずられるようにスナックドリームへ連行された。


夕暮れのこの街は暖かな香りと 遠巻きに見えるネオンが美しく まるで現実を離れた 別世界に迷い込んだ アリスのような感覚におちいる


カランカラン


いつものドアが開く 「いらしゃ~い」

元気な声と聞き慣れた言葉のイントネーションが僕の記憶の扉まで開く。イクコだ。1週間ぶりのイクコ。笑顔で僕を見つめる目になんど恋心を抱いたのかわからない 「はい 郁夫ちゃん 座って座って いつもの梅酒でいいかい?」美津子ママにはやし立てられ僕はいつものカウンターへ。

「郁夫ちゃん 仕事忙しかったんやて イクコちゃんと話してたんよ」

 ホントo(゚Д゚)に? 大阪弁では「マジでか?」

イクコが僕の話を? そっか  そうだ  イクコも僕がここの常連とは知らず、たまたま昔のウザイ男がたまたまそこに存在して、しかもそれがたまたまお客で無視する訳にもいかずイヤイヤ美津子ママと話を合わせてる。 そうだ それだ  そうに違いない。


ため息まじりの上の空 「来なきゃ良かった」と後悔の念。


窓の外は陽が沈み、家路を急ぐ人たちも増えてきた。


カランッとグラスの中の氷の音と共に「お疲れ様 今日も一日ご苦労様」


と僕に笑顔で梅酒をわたしたイクコ。


「え!  マジでかo(゚Д゚)!!!」と思う1週間ぶりのリアクション


 

つづく