いよいよ搔爬手術の日
もにょこはそれまで大きな病気などをする事がなく、入院も手術もしたことがなく、病院もほとんどかからずに生きてきました。
ネットで調べると、麻酔でかなり体調が悪くなるとか、搔爬手術で子宮に傷がつく可能性があるとか、子宮口ひろげる処置が激痛だとか…当たり前ですがマイナスな情報ばかりが目につき、本当に憂鬱でした。
手術に向けた準備としては、前日の夜の食事を最後に絶食との事だったので、お腹の子どもと一緒に出来る最後の食事と思って、少し豪華な夜ご飯。
そして、旦那と私と子どもの分として3つのケーキを旦那と二人で食べました。
今でもこの日に買ったケーキ屋さんの前を通ると胸が痛くなります。
そして手術当日。
旦那は付き添いの為に仕事を休んでくれていたので、二人で病院へと向かいました。
流産したのに産婦人科に行かなければいけないという事実と、これから予定されている手術への恐怖に、感情がぐちゃぐちゃでした。
旦那が色々気遣ってくれていましたが、何を言われたのかなど、全く覚えていません。
そして病院へ到着。
受付開始時刻を少し過ぎていたので、既に数名の妊婦さんが待合室にいましたが、診察開始と同時に一番に名前を呼ばれました。
まずは内診をして、子宮の中の様子を見ますとの事でした。
旦那を残して内診室へ。
いつものようにズボンと下着をおろして内診台へ乗りました。
相変わらずの内診台の不安定さもあって、先生の「器械入りますよー」の声かけにも反応出来ませんでした。
しかし、その瞬間思いもよらない言葉が聞こえたのです。
「結構出てますね。手術しなくても良いぐらい。」
手術をしなくても良い…??
どうやらこれまでの子宮を収縮させる薬のお陰か、血のかたまりもほとんどなくなっていたので、手術の必要がないとの事。
診察室へ戻るように言われ、エコー写真を見せられましたが、薬で出せるであろう量しか残っていなかったそうです。
複雑でした。
手術をしなくても良くなった喜びもありましたが、本当に子どもがいなくなっちゃったんだという事実。
そこからはあれよあれよという間にお会計をして病院を出ました。
日帰り入院の荷物を持って準備万端だった私達夫婦、予想外の展開にしばらく無言でしたが、病院から駅に向かう道の途中で、ようやく会話が戻りました。
私があまりにも手術が怖い嫌だと言うから、お腹の子が「手術しなくて済むように、自分で出て行くよ」と頑張ってくれたんじゃないかと思っています。
腹痛は辛かったけど、その頑張りの腹痛だったんだと…
旦那と二人で、ありがたいね、良い子だね、と言って泣きました。
そこからもしばらくは子宮を収縮させる薬を服用して、出血が続く日々が続きましたが、こうして、私の初めての妊娠は幕を閉じました。
今第一子を出産しても思います。
あの子が私のお腹に来てくれた事が本当に嬉しかったし、会いたかったです。
最後の最後に自分で外の世界へ出て、私を手術から救ってくれた事、感謝してもしきれません。
でもやはり悲しい。
周りからすれば、妊娠初期で流産なんてよくある事じゃないかとか思われるかもしれませんが、私にとっては人生の中でとても大きな出来事でした。
これからも、きっと忘れる事はありません。
でも、きっと流産を経験したという事実は、これから先、同じような思いをした人の気持ちをわかってあげられる自分の強みになると思っています。
人として成長させてくれたあの子に感謝。