(久しぶりの更新です。

更新しなかった理由は色々ありますが、

またブログを書いていきますので

これからも宜しくお願い致します)

 

直近の診察でのこと。

 

塩野義製薬から提供されたデュロキセチン

(SNRI)の論文を、主治医にフィードバックした。

 

日本の論文は2件の存在に留まり、

しかもどちらも1つの症例を取り上げ、

「漸減して断薬まで持っていった」というもの。

 

一方英語の論文(英国、イタリア)は、

症例を集め「統計」として分析していること、

「未解決」者の存在、代替案がなく断薬法が

確立されていないこと等、薬そのものの

問題点を浮き彫りにしている点において

日本の論文より遙かに優れている旨を話した。

 

私「日本では、本来なら松本(俊彦)などが

研究、論文発表しなければならないのに、

こんな有様ですから・・・」と、一枚の紙を見せた。

 

 

主治医は一瞬目が釘付けになった。

 

「あぁ、これは講演料とかじゃないかな・・・。

僕らも貰ってるよ、こんな多額じゃないけれどね。

金一封だよ、気持程度の。

藤田医科大学の岩田さんね、へ~、こんなに

貰ってるんだ・・・、ここは薬理学の研究している

ところだよ、でも製薬会社からお金貰うところかなぁ・・・」

 

と、この断トツ1位の岩田教授には

特に引っかかるものがあったようだ。

 

私は、製薬会社から金銭授受があるのは

慣習として当然と言わんばかりの口調に

ビックリした。

 

私達には見えないところで、

医師と業界の癒着っぷりは想像以上だと。

 

そして、やはり医師は医師を庇うのかと思った。

 

そして「自分もお金を貰ってる」と、フォロー

したい気持がついポロッと「自白」に繋がった。

 

私はこう返した。

 

「一流のジャーナリストは、

取材対象者から金品一切貰わないし、

『交通費受け取って』と言われても

全て断るそうですよ。

でないと利益相反になり、批判出来なくなって、

ジャーナリズムが死ぬそうです。

題目は何かは知りませんが、これだけ

製薬会社と利益享受関係にあれば

批判出来ないし、まともな論文はまず書けない。

またこんなのばっかりメディアは出すんですよね、

どこもかしこも腐ってますよ」

 

更に、

「日本のジャーナリズムも酷いもので、

自民党と利益享受関係にあるスシロー(田崎史郎)が

テレビに出まくってますよね。

ジャーナリストと名乗ってはいるけれど、

彼は自民党広報ですよ。

あれと同じ構造じゃないんですか?

日本の学術、アカデミーは資本に侵されてますよね」

 

もう主治医は、返す言葉がないといった感じだった。

 

主治医は一地方の一病院長に過ぎない。

 

それでも本来の医師としての報酬以外に、

(業界からの)「雑所得」があるということは、

全国の医師が何らかの形であちこちから

マージンを受け取っているのだろう。

 

医療が歪み、純粋な学術、アカデミーからは

かけ離れてしまうのは、安易に想像出来る。

 

ドラマなどでたまに目にするシーンだが、

医師にあちらこちらから「利権」が集まり、

便宜を図るための工作が行われている。

 

私はデイビッド・ヒーリーの本を思い出した。

 

彼は独自のポジションに立っている希有な

精神科医であり、精神薬理学、精神医療の

歴史研究の第一人者であるが、

こう書いていた。

 

「製薬会社を敵に回すと、この世界では

生きてはいけないよ。

所詮僕らは、製薬会社に巻かれて

生きて行くしか術がないんだよ」

 

と、世界的に高名な精神科医達から

度々言われて来たことを。

 

日本の精神医療の不幸は、ヒーリーのような

ポジションに立つ専門家がいないことだと

よく言われる。

 

薬理学の研究者が藤田医科大学の

岩田教授であるならば、

ヒーリーが日本に生まれる訳がないと

いうのも納得ではある。

 

日本を蝕む利権構造。

 

その張り巡らされた蜘蛛の糸は、

私達の目には見えないし、

全貌が晒されることも決してない。

 

被害を被るのは、

本来医療の恩恵を受けるはずの

一番弱い立場の私達。

 

精神処方薬の「害」の部分を

研究・論文発表する者がいないなら、

一般の臨床医は知ることがない。

 

「僕らは(製薬会社からは)

薬のいいことしか聞かないから」

と言っていた。

 

(今回二社の対応の違いも分かった。

日本イーライリリーは最悪で、

塩野義製薬はそれでも文献の追加を

探してまで提出してくれた。

前者は外資、後者は日本資本)

 

デュロキセチン(サインバルタ)は、

今日日本の医療現場で広く使われている。

 

その殆どの臨床医が、

SNRI、特にデュロキセチン(サインバルタ)

重大な欠陥があるということを

知らずに今日も安易に処方している。