一体自分の脳に何が起きたのか――

 

これが私が追究しているテーマの一つである。

 

長く長く謎だった疑問の扉が、ここ最近の

集中考察で大きく開いた。

 

それは「抑圧」出来ていた自分(ベンゾ薬害前)

が、何故一切「抑圧」出来なくなったのか、

「葛藤」を抱える力もなく、それに耐えられず、

外に感情を吐き出さなければ到底身が持たず、

周囲に撒き散らしてしまうのか――

 

である。

 

その答えは「自我機能の損傷」であった。

 

つまり「自我が潰れてしまった」のである。

 

この答えに導いてくれたのは精神分析学

であった。

 

あらゆる情報を片っ端から調べて、

もう一度「精神分析的人格理論の基礎」

(馬場禮子著)を読み込んだ。

 

最初の読み込みでは理解出来なかった

事が、次々に理解に至った。

 

この本に私が長年(22年間)探し求めて

いた答えがあったのだ。

 

私の場合は、幾つもの「悪条件」が

重なり合ってしまった。

 

①ベンゾ最強最悪のソラナックスを1日3錠

②情報にショックを受け一気断薬

③模擬試験に適応するため、激しい離脱症状を

防衛機制の「抑圧」で抑え込んだ

 

①②までは事例があるが、この③までやった

人は、英語で探してもまだ見つからない、

もしかすると世界でただ一人の事例かもしれない。

 

①②だけでも相当危険なことなのだが、

この③は更に更に危険な行為であった。

 

防衛機制?抑圧?

聞き慣れない言葉だが、ざっくり言うと

心のメカニズムのことである。

 

「自我」(自分を一貫した自分と感じ、

首尾一貫した考えや行動をとる)を守るために、

正常者(~神経症者)が最も使う防衛機制

(心のメカニズム)が「抑圧」である。

 

抑圧が出来るということは、

人格構造は正常で障害がないことを意味する。

 

私はあの日、模擬試験を受けるために

当日朝から始まった激しい離脱症状に

戸惑いながらも、無意識下(エス)に

「抑圧」すると、自我(意識)は

離脱症状を感じることもなく、

脅かされないことに気付いた。

 

「よし、これでいこう、

これしか試験に適応する方法はない、

1時間20分頑張って、後で緩めればいいんだから・・・」

 

「人間の意思が何をなし得るか、

私はこれで証明して見せる!」

 

「迷ったらいばらの路、

こんなことでへこたれる私ではない・・・」

(当時はブラック企業の洗脳下にあった)

 

と決意し、試験会場に向かった。

 

それだけ私の自我はしっかりし、

意思が元々強かったのである。

 

そして無意識下(エス)に抑圧すれば

自我は感じなくて済むということは、

自我とエスはしっかりと「分化」

していたのだ。

 

激しいアクセル暴走(離脱症状)、

それを抑え込むブレーキ(抑圧)、

この二つの力のぶつかり合いのことを

「力動」と言う。

 

 

「精神分析的人格理論の基礎」(馬場禮子著)より

 

こちらに赤字で書き加えた。

 

エス(無意識のダム湖=大脳辺縁系)からは

激しい恐怖や怖ろしい不安などの得たいの知れない

激しい離脱症状がつき上がり(アクセル)、

それを自我が殆ど残っていないGABAで

一所懸命に抑圧(ブレーキ)を掛ける、

その攻防が1時間20分続いた。

 

不快際まりない離脱症状を「抑圧」し

自我から追い出さなければ、

難解な試験問題など解けない。

 

それまでの人生、抑圧することはあっても、

精々そこ数秒のこと。

 

殆ど残っていないブレーキ(GABA)で、

激し過ぎるアクセル(離脱症状)を

最大限のブレーキで長時間踏み続けた。

 

謂わば、アクセルとブレーキを

同時に力一杯践んでいることになる。

 

実は正常者が最もやる防衛機制なのだが、

やり過ぎるとまた危険。

 

抑え込み(抑圧)し過ぎると、

行き場を失ったアクセル系エネルギーは、

どうにか出ようと「爆発」しかねない。

 

それがエネルギー論、

力動論。

 

結果、試験が終わり、満点だったことに

安堵しブレーキを緩めた瞬間・・・

 

(youtubeの動画より切り抜き)

 

爆発!バン!

 

つまりアクセル、ブレーキが互いに

何とか拮抗しあっていた力動がついに

崩壊、ブレーキニューロンが切れて、

自我機能がダメージを負い始めた

瞬間であった。

 

アキレス腱が切れた瞬間や

抗生物質の毒性反応など

神経断裂の瞬間は、まるで爆弾が

落ちたような、ハンマーで殴られた

ような感覚、体感があるそうだ。

 

それと同じことが、私の脳内でも

起きたのである。

 

1本や2本のニューロンが切れた

というレベルではなかった

(それなら気付かない)、

まるで脳内の中央に走っている

太い繊維の束の神経が

ブチ切れたような感覚で、

頭上をハンマーで殴られたような

衝撃だった。

 

まさに「神経断裂」・・・

 

一瞬何が起こったのか分からなかった、

それから「やられた・・・」と思った。

 

そして直ぐに症状が始まった。

(吐き気、叫びたい衝動、息苦しさ)

 

自我がエス(アクセル)にどんどん

飲み込まれていく、私のブレーキ、

自我機能は、最後、遂に完全に崩壊

するのである。→人格崩壊

 

(ベンゾジアゼピン情報センターさん著書の、

ダム湖?川?の氾濫のイメージ)

 

「脳をぶっ壊してまで試験にいくなんて・・・」

「試験を休めばよかったのに・・・」

 

と思う人が殆どだろう。

 

しかしその選択が出来るのは、

今のようなベンゾ離脱の情報があってこそであるし、

それまでの人生、「逃げる」という選択肢を

私は持たなかった。

 

大変なこと、困難なことからも逃げないで

立ち向かっていく、そして乗り越えていく

ということが最も大事なことだと教育されて

来たし、またそれで運命を切り開いても来た。

 

その真面目さや責任感が私(自我)であったし、

最も褒められ評価される点(長所)でもあった。

 

それに何故、「安全」(お薬110番)としか

事前情報を得ていない薬を2週間飲んだだけで、

3年間取り組んできた私の夢を

諦めなければならないのだろうか?

 

そんな話は聞いていない。

 

ベンゾが入っていないのであれば、

どんな困難にも負けない自信があった。

 

だから自我機能が壊れるとか潰れるとか、

夢にも思わなかった。

 

自我や自我機能、これが精神にとって

最も重要であるということも

知らなかった・・・

(自我機能に苦労をしていないので、

そもそも自覚がない)

 

そしてベンゾ離脱は、この自我機能を

ダメにするということも。

 

抑圧したエネルギー(ストレス)は、

必ず何らかの形で表出する。

 

しかし余りにも激しいエネルギーは、

ブーメランとなり自我を潰し飲み込み、

精神のバランスを崩す。

 

それが精神疾患の発症のメカニズムである。

 

精神科医が「元から」と言うのは、

一つには、ベンゾ離脱症候群の症状が

既存の精神疾患と「そっくり」「見分けが

付かない理由から」と主治医が話した。

 

自然発症もまたアクセル(ストレス)を

抑圧出来なくなって発症すると考えられている。

 

メカニズムは同じなのだ。

 

アクセル(ストレス)とブレーキ、

この自我機能のバランスが崩れ、

これがベンゾ離脱、急減断薬でも起こり、

更に落差が過剰だった場合や抑圧し過ぎて

エネルギーが溜め込まれすぎた場合、

脳が対応出来ず致命傷を負う。

 

どんなに強靱な脳神経の持ち主でも、

化学物質に打ち勝つ人はいない。

 

しかしあの時代、私の選択と取った行動、

一体誰が責められようか・・・。

 

※「一体自分の脳に何が起きたのか」の追究テーマ。

脳機能、精神分析、人格構造理論から

シリーズとして書いていきます。

(②に続く)