ベンゾ離脱症候群の大きな特徴として、

疼痛、麻痺、しびれ、体感幻覚、筋肉の

異常、皮膚の異常など「身体化」がある。

 

DSMで言うところの「身体表現性障害」

「転換性障害」「妄想性障害」etc・・・

 

脳神経の問題が「身体化」すること。

 

脳神経トラブルは、勿論精神症状となるが

身体症状にもなって表面化するのだ。

 

それらをまとめて「身体化」と表現する。

 

DSMで理解しようとしても、あっち飛び

こっち飛びしていて、全く整理されておらず

ごちゃごちゃしていて、誠に煩雑。

 

何度も書いているように、DSMは

ただの症状の寄せ集めなので、

系統立ってはいないし、理解し易い

ように整理されてもいない。

 

しかし構造的解離理論では、たった

4つにスッキリと整理・理解出来る。

 

解離症状の現象面からの分類

 

これは「構造的解離理論」

(ヴァン・デア・ハート他)の本に

あったものを、私が更に簡単に

作成したもの。

 

解離症状は二つの軸があり、

陰性と陽性、そして

精神化と身体化である。

 

横軸である陰性は「喪失」であり、

心身機能が喪失されることである。

 

例えば、離人感、失感情症、記憶の喪失、

麻痺、無痛症、脱力、会話・運動・

活動能力の喪失などである。

 

イメージとしてはマイナス、

失う、出来なくなる症状のこと。

 

一方陽性は「侵入」であり、

ANP(左脳・日常パーツ)に

EP(右脳・トラウマパーツ)が

「侵入」してくることで現れる

パターン。

 

典型的な症状が、フラッシュバック、

幻聴、ブレンド化、特有の思考・

感情、観念、人格・パーツ交替、

「ハイジャック」「乗っ取られる。」

 

また身体では痙攣、チック、

フラッシュバックに伴う独特の

感覚(匂いなど)、その他

体感幻覚や感覚、運動異常もこれに

入る。

 

覚え方としては、陰性(喪失)と

陽性(侵入)、そして精神化と

身体化、この四つ。

 

とてもシンプル。

 

これらが交替で現れたり、また

同時に現れたりする。

 

DSMでは到底スッキリと理解

出来ないし、解離症状を理解

など到底出来ない。

 

自分の悩ましい症状がどれに

入るのか理解するだけでも

自分を俯瞰出来、自己理解し、

自分から距離を取ることが出来る。

 

また症状が何故に起こるのかも

理解が出来る。

 

事の発端は、辿っていけば、

一つに落ち着く。

 

あれこれめまぐるしく恐ろしい

症状が次から次に現れて

山のように診断名(症状名)がついたと

しても、驚くことはない。

 

次から次に解離症状が現れて

いるだけなのだ。

 

慢性の痛みを訴えて、まず

解離性障害とは診断されない。

 

他の精神症状に注目され、

「境界性PD」「双極性Ⅱ型」

「強迫性障害」「大うつ病」

「摂食障害」「ADHD」などと診断され

薬をすぐに投薬される。

 

しかし解離性障害とは、

何も記憶を失ったり、DID

(解離性同一性障害)だけとは

限らないのだ。

 

むしろそれら以外の解離症状が

多数を占める。

 

これが臨床医はまず見抜けないし

しようとしない。

 

何度でも書くが、解離性障害の

治療は薬ではないし、薬は効かない。

 

効かないばかりか副作用ばかりが

目立ち、更に体調は悪化する。

 

DSMに倣い独立して、

「身体表現性障害」や「妄想性障害」

などとあれこれバラバラに認識するよりも、

この「解離症状の現象面の一つ」と

認識した方が遙かにいいと思う。

 

私は自分の体感幻覚(セネストパチー)

を、DSMの妄想性障害としてではなく、

解離症状の現象面の一つとして

捉えるようになった。

 

それと同時に、自分に起こる様々な

悩ましい症状も、この4つのどれかに

必ず当てはまり、これで説明がつくことも

理解出来たので、安心感にも繋がった。

 

臨床医は投薬することが仕事と

考えているので、投薬の対象では

ない「解離性障害」とは、記憶障害、

DID以外はまず診断しない。

 

しかし精神科に通う実に多くの

人達が、この解離症状の現象面を

訴えているのである。

 

そこに待ち構えているのが、

DSMの「投薬マニュアル」なのだ。

 

解離性障害は、精神病でも

頭がおかしくなった訳でもない。

 

必ず「正常」な自分、「現実をこなす」

自分がどこかにいるし、損なわれることは

ない。

 

余りのショック、衝撃、恐怖、戦慄

交感神経暴走により、その「正常」な

部分が閉じ込められてしまい、

統合出来ない、発揮出来なくなった

だけなのだ。

 

「現実をこなす」自分(ANP)が

再び引き出され、割合が大きくなって

いけば、再び元の自分に近づくことも

可能である。

 

それが希望をもたらしてくれるし、

改善、回復の糸口を示してくれる。

                  

私はこの「構造的解離理論」を

理解してから、自分自身が随分と

冷静、クールになって来た

実感している。

 

自分が嫌な症状に見舞われた時、

この4つのどれが表面化している

のかとまず「分析」をするように

している。

 

自分と症状に距離が出来るし、

自分の状況(ANPとEP)を

イメージ出来る。 

 

以前なら考えられないことだ。

 

例え「こんな激痛では死んだ方が

マシかも」と思う夜があったと

しても、ANPとEPで考える、

解離症状の現象面として捉えることで、 

やり過ごし方の「スキル」が上がった。

 

(このスキルがなかったら、

OD、嗜癖、自傷他害行為に突っ走る)

 

自分でもその効果に驚いている。

 

パーツセラピーが効果を上げていること、

また解離症状の現象を理解することで

格段に回復に向かっているのだろうと

思っている。

 

薬は原則不要、精神薬は百害あって一利なし。