これまで一応は失礼のないように

気を遣って来た相手ではあるが、

前回の「意地悪な質問」に対しての

余りの保身ぶりに、もうそんなことは

言っていられないと気持ちが固まり、

いよいよ本音でぶつかっていくことに

した。

 

私の反撃開始である。

 

「話すのは気が重いが逃げてはいられない

ので、先生も逃げないで欲しい」と始めた。

 

やり取りは以下の通り。

(ですます省略)

 

「前回のやり取りで気になった点が

幾つかある。まず『自分は末端の

臨床医だから』これは止めて欲しい。

逃げ口上だ。

あと、何かを護っている、構えているように

感じる。しかし訴訟に巻き込まれて

メンドクサイことにはならないので、

そんなにビビる必要はない。

(訴訟出来ない理由4つを説明)」

 

続けて

「特に引っかかったのが因果関係。

そんなに認めると都合が悪いのか?

では私の病状の原因は何か?

虐待?遺伝?

しかし脳の爆発衝撃からボーダーや

双極性障害になるとは聞いたことがない。

あれは自己統制の神経が切れた

瞬間ではないか?

どうせいずれ元に戻るのなら、

元からの疾患が出るのなら

ソラナックス一気断薬して下さい。

あらゆることが明確になる。」

 

と主治医にベンゾの一気断薬を

迫った。

 

主治医は

「僕はそんなに護っているように見えるの?

冷静に中立的に見るようにしているだけ。

AだからBとは即ち言い切れない。

ただあなたの経歴などを考慮すると、

ボーダーの人だったらCAなんて

とても出来ないし、ベンゾ離脱も

一つの要因だったのかなとは思う。」

 

CAなんて絶対に無理。

覚えることも沢山あるし、通路1回

歩いただけでリクエストが10件くらいある。

認知機能障害も負った。

この頭では覚えられない。

またボーダーのようなお客様を

なだめすかすのが仕事だったのに

反対の立場になった。

悔しい。ベンゾ前の私を知らない人には

以前の私がどんなだったか分からない。」

 

主治医はベンゾ一気断薬でおかしく

なってからの私しか知らないので、

それがバイアスになって

正常だった頃の私がイメージ出来ないようだ。

 

悔しくて仕方がない。

 

被害に遭ったら終わりの世界。

 

後でどれだけ叫んでも認めては

貰えない。

 

因果関係はまた雲にまかれて

はぐらかされた。

 

一つの要因ではなく、全要因、それしか

他にないのに、100%の原因なのに。

 

「先生にも反省して頂きたいことがある。

たまたま私がベンゾ離脱症候群をみつけた

から色々と分かって来たが、先生から

説明が欲しかった。そうであれば母も

救われたし、結果私も救われた。

もし私が情報に当たらなかったら

知らないまま死んでいくところだった。

母のように。

人を救うのは薬ではない。

 

また

「何故医学のど素人の私が脳について

学者のように調べまくらないとならないのか?」

 

続けて

「言うつもりはなかったが、最初にベンゾ

再服薬とSSRIが2種も盛られた。

あの頃はSSRIは副作用のない夢の薬と

言われたが、悪夢の薬だった。

変な感覚は割と早く随分と戸惑ったが、

それが躁とか躁転とかそれまでなったことが

ないので全く分からなかった。

ベンゾ再服薬のみであったなら、また

運命は違っていたのではないか?と考える。

ベンゾ一気断薬してもベンゾ再服薬だけの

人の方が予後が良好で、カクテル処方された

人は予後が悪い印象がある。」

 

ずっと心に秘めていた主治医の処方に

対する不満、クレームを初めて言った。

 

「自分が処方した薬で有害事象が

あっただろうとは認識している。」

 

でいつものあれ。

 

「そういった時代だから」と。

 

「戦争でもそうでしょ?やっている時は

それが正しいと思ってやる。

後になって初めてあれは間違いだと

分かる。

でも後の時代の人が責め続けるのも

どうかと思う。時代時代で事情がある。」

 

それに私は反論した。

 

「戦争被害者も救済されている。

救済もない、なかったことにされて

それで『時代を責めても仕方がない』

はおかしい。救済がなされてこそ

その理屈は成り立つ。

被害者がいるのだから。

薬を出す側は『これは違った』で

済む話だろうが、こっちはかけがえの

ない一度切りの人生が取り返しが

つかないことになった。」

 

主治医はハッとしたようで、

「そう言われればそうだ。

大変勉強になった。」

 

そして啓蒙用DVDを渡した。

 

DVDという目新しいものに

興味がいったようで

観てくれるそうだ。

 

どうしても因果関係の部分は

素直にベンゾ離脱が原因とは

認めない。

 

慎重というか、認めたくない

認められないのだろう。

 

ここはもっと私も更に突っ込んで

攻めていかねばならない。

 

また時代のせいにして

逃げる姿勢はズレているし、

当事者意識が欠落している

言わざるを得ない。

 

こちらも引き続き具体例を

挙げて、理解されるように

説明していかないとならない。

 

啓蒙用DVDが教材として

いい仕事をしてくれることを

願う。

 

精神科医達に不誠実さを感じる

のは、どうもここら辺の特有な

カルチャーにあるような気がした。

 

精神科医の「人を救う」仕事とは

一体何だろうかと思う。