これは丁度1年前に書いた初記事である。

 

「説明がなかったこと」が原因であった

と書いている。

 

その前に主治医には、「断薬エピソード」

として資料を作成し提出していた。

 

その資料に返って来た主治医からの言葉は、

「この人はそう枠からはみ出してはいない」

「時代が悪かった」であった。

(ベンゾ暗黒時代)

 

しかし私は「時代に責任があった訳では

ない、時代という漠然とした掴みどころの

ないものにして責任逃れをしている。

説明をしなかった医師が悪いのに、

何かを恐れ庇おうとしている」とすぐに感じた。

 

既に名古屋ベンゾ裁判の副作用説明義務

が法的に医師にあるという判決を知っていた

からだ。

 

私はそのことが出かかったが、喉元ギリギリの

ところで飲み込んだ。

 

それから1年後、主治医は遂に説明義務が

医師に法的にあるのに、医療の怠慢で法律を

遵守して来なかったことを認めることになった。

 

つまり責任は「時代」ではなく

「医療の怠慢と体たらく」にあったということで

決着がついたのだ。

 

これは実は凄いことだと思っている。

 

少なくとも、精神科医でそのことを認めた

人を、私は聞いたことがない。

 

ベンゾ離脱症候群に苦しむ人達は、

リスクのある面倒臭い患者だと受信拒否

されたり、そうでなくてもまともに取り合って

貰えない現実がある。

 

私は個人クリニックではないので、

そんなことはなかったが、ベンゾ離脱症候群

に気付いて問題に取り組み始めてから

というもの、主治医と私の関係性は相当悪くなった。

 

私がベンゾのことを話そうとしても、

主治医の目は伏せ目がちになり、

切れ味も反応も悪い。

 

「立場上自分は何も言えない、

もう聞いてくれるな、

そのテーマは止めてくれ!」

オーラが凄まじかったのだ。

 

それでも私はひたすらベンゾ問題に

取り組み続けた。

 

「ベンゾ~」とか「SNSやってるだけじゃ

何も変わらないよ」という悲しい声も

聞こえて来た。

 

しかし私に迷いはなかった。

 

結果、そのことが一つの大きな成果を上げた。

 

主治医が遂に「医療側の怠慢だった」と

認めるに至ったのは、私の力ではない。

 

それはSNSで情報発信をして下さった

人達一人一人の力だった。

 

その力が私に乗り移って、あの時

神がかったのだろう、その気迫が

主治医の「医師としての良心」に

響いたのではないかと思っている。

 

そこから主治医が本音を話して

くれるようになった。

 

「僕ら末端の医師には、このベンゾ

問題はどうすることも出来ない。

厚労省も、セコセコした診療報酬の

改定ばっかりやってないで、

ベンゾ問題にドーンと取り組んで

欲しいんだけどね…」とこぼした。

 

それは「もう、僕に言っても何も

やってあげられないから、後は

国を相手にどうしかしてくれ」と

いう意味だったのか、それとも

本当に国に対して「どうにかして

欲しい」という叫びだったのか、

真意の程は分からない。

 

ただ現場の医師達は医師達で、

このベンゾ問題には苦悩している

のだろう(良心のある医師は)、

そう思った。

 

「主治医に認めてもらう」という厚い壁

をやっとぶち破ることが出来た。

 

このことだけでも、心は随分と楽になった。

 

ベンゾ離脱症候群の人達が何に

苦しんでいるかというと「無理解」

である。

 

それは医師や家族、周囲そして社会から

の無理解。

 

医師が認めれば、理解は家族や周囲、

そして社会からの理解へと波及していく。

 

人々の意識が変わる。

 

逆に言えば、医師の理解なくして

周囲の理解はあり得ないのではないだろうか。

 

私は主治医から正しく理解されたことで

心に大きな変化を感じている。

 

こういったことも精神的な「救済」の一つである。

 

一般的に、医師は患者に構え過ぎだと思う。

 

「非を認めると訴えられる」との心理が

働くからだろう。

 

しかし実際は逆で、開き直って認めないから

患者は訴訟に最後打って出るのであって、

素直に心から非を認めれば、誰一人として

訴える人はいないと思う。

 

患者も好んで喧嘩したい訳ではない。

 

ベンゾ離脱症候群の患者に寄り添って

いらっしゃる素晴らしい稀有な医師の

存在も聞いている。

 

しかしそれはほんの一握り。

 

私の主治医も元々フィールドが広く、

あらゆる球が拾える人である。

 

人間性や人格も尊敬している。

 

(それでも1年かかったが)

 

このような医師が今後、一人でも

二人でも多く生まれて欲しいと心

から願う。

 

そのことによって、多くの人達が

救われていくだろう。

 

昔は、「2週間で元に戻る」とか

「元からの疾患」など、到底的外れで

無茶苦茶なことを言われた時代も

あったが、これからは「医療の怠慢に

より引き起こされた悲劇」との考えに

立脚し、苦しむ人を診て欲しい。

 

ブログを始めて丁度1年、

始めた頃はただ起こったことだけを

ひたすらに書いて、ただその日を

「生き延びる」ことが目標だったが、

もしかしたら少しばかり成長したのかも

しれない。

 

最後に―――

SNSでベンゾ離脱症候群の情報発信を

して下さった一人一人の皆さんに、

心から感謝申し上げます。

 

皆さんの気持ちを主治医に届けることが

出来ました。

 

本当に有難うございました。

 

2022.5.24