結婚して夫の赴任先である

南米アルゼンチンのブエノスアイレスに

3年半駐在した。

 

海外生活を送ってみると、日本の

良さをつくづくと思い知ることになる。

 

勤勉性、正直さ、綺麗好き、道徳心、

奥ゆかしさ等あらゆることを実感し、

日本人でよかったと誇りに思う。

 

「やっぱり日本が一番だわ」と再認識

させられるのである。

 

勿論島国日本の陰の部分も浮き彫りには

なるのだが。

 

そして太陽を見ながら、朝日は日本の夕日

夕日は日本の朝日と、祖国、日本を想い、

日本にいる両親、きょうだい、友人たちを

想う日々だった。

 

南米では日系人が大活躍をされ、

特にブラジルのサンパウロはまるで

日本かと思うような街並みだった。

 

日系人の方々は、自分たちのルーツ

である日本を誇りと大事に想われている。

 

日系人の方々の頑張りで、南米では

日本に対するイメージはとても良い。

 

だから我々も、概ね心地よく生活させて

もらった。

 

皇族の方々と日系人の人々の交流も

盛んだ。

 

極端な愛国心はないが、概ね普通の

感覚を持っていた。

 

しかしである…

 

ベンゾ薬害を認識し、薬害について

知れば知るほど、日本が大嫌いになって

しまった。

 

「何で日本なんかに生まれてきたのだろうか」

 

「イギリスに生まれてきたらよかったのに」

 

「病院に行けない北朝鮮に生まれてきた方がマシだった」

 

「この国は情報規制のある社会主義国家か!?」

 

と本気で思ったし今でも思っている。

 

製薬会社からキャンペーンはされるわ、

欧米で余ったベンゾを押し付けられるわ、

国民皆保険で気軽に病院に行けるシステムだわ、

メンタルクリニックを首都圏の駅前に開業しまくるわ、

副作用の説明は一切しないわ、

国は不作為だわ、

ベンゾ野放し状態でばら撒きまくっているわ、

研究者はいないわ、

医療従事者は口裏を合わせたかのように否定するわ、

メディアは情報規制をし取り上げないわ、

訴訟のハードルは高いわ、

 

ベンゾ薬害に巻き込まれ人生や家族を破壊

された私は、若かりし頃、ラプラタ河に沈む

太陽を見ながら祖国、日本を想ったあの

時の気持ちとは180度変わってしまった。

 

「日本」という国に傷つけられた感覚だ。

 

テレビも新聞も見たくないのは、あらゆる

ことが嘘や綺麗事に見えるからである。

 

日本にさえ生まれてこなければ、

例え高性能の電化製品に囲まれなくても、

高性能の車に乗れなくても、

食事がマズくても、

多少街が汚くても、

治安が悪くても、

今より充分幸せで、人間らしく生きられた

だろうに…

 

国民を幸せに出来ない国家とは何だろうか?

 

戦争に駆り立てなくても、公害が終息しても、

日本には今でも現在進行形で国家的犯罪

により殺されかけている人達がいる。

 

ベンゾ薬害…

 

私の国家観を根底から覆した事件である。