今から約20年前、2001年の8月。

 

当時SSRIが発売された頃で、製薬会社がキャンペーンをやっていた。

「うつは心の風邪」「2週間経って辛かったら精神科に行こう」「今は良い薬がある」

と巷ではささやかれ始めていた。

 

都会では精神科へのハードルは下がり、「気軽にちょっと行ってみる」風潮があった。

 

私はその頃悩みを抱えていた。

睡眠、身体共に何も問題はなく、ただ気持ちだけが憂鬱できつかった。

ダウンスパイラルに陥り、抜け出せないでいた。

 

人に悩みを相談する柄ではなかった。

本も数冊読んでみたが、気持ちの憂鬱感は変わらなかった。

 

どんどん悪い感情に支配されるようになった。

このままでは駄目だと、メンタルクリニックを思い立った。

 

ネットで調べて行った。

まさか私に薬が出るとは思っていなかった。

それならそれでよかった。

 

診察では、過去に精神科の薬を飲んだことがあるか聞かれた。

薬に関しての説明は一切なかった

 

処方箋が出て驚いた。次は2週間後らしい。

調剤薬局で薬を受け取った。

薬の説明は何もなかった。

添付書類にも副作用の説明はなかった。

 

自宅に帰ってネットで薬を調べた。

 

当時は薬の副作用情報は「お薬110番」

くらいしかなかった。

 

そこに書かれていた情報は、ただ

「安全な薬」としかなかった。

 

ソラナックス・・・抗不安薬…

聞いたことがなかった。

不安を取ってくれるのなら、良い薬なのだろうと思った。

 

無警戒に飲んでしまった。

 

1日3回の服用。飲んだら気絶するように寝た。

酒を大量に飲んで酔っ払っているような感じだった。

 

2週間も飲むと、脳が麻痺して物事を考えられなくなった。

頭がバカになったのではないかと不安になった。

診察へは真面目に行った。

それで終わるつもりだった。

 

薬も効いてきて、治ったと勘違いした。

資格試験の勉強中だったので、頭が働かないのも困った。

 

さぁ、薬はもういいや…

ところが、これまで経験したことのない不安・恐怖が襲った。(離脱症状)

 

何!? これ!?

 

慌てて再服用した。元に戻った。

 

おかしいと思い、ネットで調べた。

恐ろしい情報が色々出てきた

 

特に衝撃的だったのが警察のHP

ストップ ザ 薬物!

「麻薬及び向精神薬取締法」とあった。

この中に、ソラナックスがあった。

 

麻薬!? 聞いてない!!

 

「たった数日間であっという間に耐性が出来~」

えっ!? もう2週間も飲んじゃってるよ…

だから禁断症状が出るんだ…

もう薬物中毒者!?

 

私 何も聞いてない!!

 

騙された、こうやって医者と製薬会社が結託して患者を薬漬けにするんだ…

もう医者は絶対に信じられない

どうにかして止めなければ

今ならまだギリギリ引き返せるかもしれない

 

飲むも地獄止めるも地獄だった

聞いていないのだから

急に止める危険性は全く知らなかった

 

最後の資格試験の挑戦も待っている

3年間何もかも犠牲にして勉強してきた

飲んでいたら試験にならない

 

子供も欲しかった

これでは妊娠出来ないと焦った

 

私は意志の力で薬を抜こうと思った

気合と根性、意志の力には自信があった

数日間闘えば、その後は乗り越えた安堵な未来が待っていると思った

それにかけようと思った

そして薬を抜いた 翌日案の定離脱症状が現れた…

(続く)