2- スリープレス
あの夢を見るとまた放火してしまうんじゃないかと夜も眠れない日々が続き
本当に自分は、精神状態がおかしんじゃないかと思い医者嫌いだが会社を休んで
初めて精神科へと足を進めた。
アキは、精神科医に夢の話を話そうか迷いながら病院の待ち合い室で待っていた。
不眠症で眠れないだけで対処してくれるだろうか?
自分だけは特別な精神的病気と言われないだろうか?不安がつのる。
やさしそうな小太りの精神科医の先生で、
まず人は何か精神を病んでいるものなんだと、なごましてくれ診察に入った。
いくつかの質問を受け、体を休める為のアロマテラピーが充満している部屋のベッドに横たわる。
初めは鼻につく臭いが嫌で鼻がムズムズしたが、だんだんと心地よい香りに変化しアキは眠りにつく。
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父親に手を引かれ、にぎやかな店へと連れてこられた。
あとで知った事だが、それはパチンコ屋さんであった。
現在とは違って、手打ちタイプのパチンコ台。
弾く玉の音が人さまざまでリズミカルに奏でている。
父親はパチンコをし息子の僕はと言うと、横の席に座らせてもらって
パチンコを打たせてもらっているがチューリップの穴に玉が入らずすぐに終了。
見兼ねた父親は僕に床に落ちたパチンコの玉を拾ってほしいと頼み、それに従う。
人が落としたパチンコの玉。ビー玉よりも小さいが重たい。
拾ったらほとんどは、父親に渡し、少しの玉は自分のズポンのポケットに押し込んだ。
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「うぁ~~」
「また、この夢かぁ-やだなぁ」
アキは、呪縛のごとく現れる幼い頃の夢を見ていて飛び起きた。
最近になって5回ほど、同じ夢を見ている。
アキは、自分の父親の事がキライである。何かというと怒られる。
出来れば、父親の夢なぞ見たくもない。
なんでだ、今になって、、、
そうだ、彼女に会ってからじゃないかとアキは思い出し思案する。
それはアキが勤める会社「河内屋」という名の本の問屋での事。
ビル2Fにある文芸書フロアがアキの仕事場。本の仕分け、在庫管理を担当している。
マンガしか本は読んだ事なかったアキにとって、少しずつ文芸本にも興味を湧くようになる。
昼休みも、マンガではなく文庫をミステリーものをパラパラと立ち読みしていた時であった。
ある本棚の前に横顔は男とも女とも取れない人が本を立ち読みしていた。
よく見ると男まさりの髪型、スポーツ刈りでひょろっとした体型。女性ならすらっとしたでもいおうか。
キッとし、つりあがった目元。彼女はよほど強い精神を持ち合わせているらしい。
男のアキの方がおぼこく、女性らしく見える。
他の人にはどう映るか分からないが、アキには外見だけで自己妄想するクセがあった。
惚れっぽい性格が行動してしまう。
アキは、スポーツ刈り彼女に近付いていって声を掛けた。
「どんなジャンルの本が好きなの?」
彼女は、アキとは目を合わさないでいた。
アキには、彼女が恥ずかしくはにかんでいるように思えた。
思い込みかも知れないが、アキは彼女に会ってから無意識に夜中に起きだし
ライターと本を持ち出し、本に火をつけ人の家の塀に投げ込んでしまい
その情景がアキの目に映り制御出来ず、身体が動ける時には放火してしまった直後。
アキは、自分のしでかした事態にもどかしくどうする事も出来ずに。
放火してしまった家に弁解する勇気もなく、人にも言えず時を過ごしてしまっている。
その本とは、自分が仕事場にて読みたくって拝借した本で未読のもの。ミステリー本。
正確にはアキは彼女と出会う前から放火しているのだが、自己解釈してしまったまま。
会話する前から、どこかで彼女を見ていたのかも知れないが。
アキは彼女の名前を覚え、ハルカちゃんと呼び毎昼休みになると本の話をする関係に。
だが今だハルカちゃんの笑顔は見ていない。
アキは何か自分が悪いのか?彼女と話しするのは楽しいのに矛盾である。
理由を聞こうか聞くまいか、聞いたらそこで楽しい関係が崩壊するようで。
そうだ、ハルカちゃんの好きなものをプレゼントでもすればいいんだと。
いつものように、仕事中にトイレ行くふりをして3Fのロッカーがわりの部屋へと向かい
スペアキーでドアを開け、ハルカちゃんのうす茶色のリュックを見つけ物色する。
ハムスターのキャラクターのキーホルダーを見つけ、アキは記憶して部屋を出た。
深夜、アキは仕事場にて読みたくって拝借した本「欺瞞(ギマン)」と同じ本5冊目をフロ場で読んでいた。
「欺瞞」の意味は辞書で調べると、「だますこと。あざむくこと。」
これで何度目だろうか、自分が夜中に無意識で「欺瞞」の本とライターを持ち出してしまうもんだから
その「欺瞞」の本を仕事場にて再び拝借しなくては、ならなくなる。ブ厚い本でなかなか読了できない。
あまりにも同じ本を拝借すると在庫点検の時に1册なら入荷ミスと見なされるがゴソっとなくなっていれば
誰かが盗んだんじゃないかと疑われるだが本屋で買っているが、いつまた自分がその本を持って放火するんじゃないかと。
初回に拝借した時は、まだ「欺瞞」の本が発売前のものであった。
それは、不可解な事件が描かれたミステリー小説であった。
主人公が前回の事件にて、事件の間の記憶を失い翻弄。
その主人公は無夢病の如く夜中に灯油を持ち神社に向かい、神社の柱木に灯油をぶちまけ火を放つ。
たびたび放火を行っていた。意識は、放火を放ったあとに覚醒され現実を知る。
あとでニュースで主人公が見る事になるのだが、いつからか火を放った現場に死体が出てくるという
主人公にとっては身に覚えのない出来事が起こり続ける。
自分の放火を止めようにも手立てが分からない。主人公だけが知っている事。
そこに一通の手紙が、、、、、
その場面で、アキは目覚める。
ここは、病院であった。
結果はどうであったのであろう。質問だけで、なにも治療はしてもらっていないが。
先生から告げられた事は、次回の予約だけ聞いていた。何もわからないじゃないか。
アキは、ネットで精神療法について調べて見ると精神科医は本当の事は言わないらしい。
ドラマでやってる事と違うんじゃないか。患者の言葉に対して解釈して答えを出さそうとするもの。
不快感でいっぱいになった。
数日後、アキ が3階のロッカーがわりの部屋で
新刊の本を盗んでいるの現場を見られてしまった。それもハルカちゃんに気付かれた。
少し時間足ってから、アキはハルカにも共犯しろいわんばかりに彼女が見ていない所で新刊の本を
彼女のバッグにコッソリ忍ばせた。
それとハムスターのキャラクターのキーホルダーを2つ増やしておいた。
次の日、アキは会社にいくと私服の警官が荷物検査をはじめると話を聞かされた。
幸い、カバンに本は入れて持ってきていない。
何か事件か?
まさか、オレ自身の放火の調査か?
何事もなかったかのようにアキへの調査は、終わる。
ハルカちゃんは大丈夫だろうか。 アキは心配で仕方がなかった。
何に対してか?
ハルカちゃんは、もう気付いただろうか?
キーホルダーが増えた事を、、、、、、
数日してアキの家に私服の警官らしき人が訪ねてきたが、アキは不在であった。
実は警官ではなく、探偵で調査を依頼されアキの家を訪問しに来た。
次の日、その探偵は早朝からアキのマンション玄関が見える所に車を止め
アキが通勤に出ると同時に探偵は車のウィンドウから声を掛けた。
「サクライさん、サクライアキさんですね。」
アキは、びくっとして声がした車を見た。
真っ黄色のTシャツを着た痩せぎすのオヤジが、にこやかな笑顔で車に乗っている。
アキは、なんだオヤジが派手な服着て何でオレの名前知ってる。あっ警官か?
「怪しいもんじゃねえって言っても信じないだろうけど、私は探偵だ。
君に聞きたい事がある。こっちに来てくれ、サクライさん」
車の前までアキは近づいていった。
「何の用ですか、探偵屋さんが、、、」
「初めにいっときますね。あなたが放火事件の犯人だって事を 、おっ待った待った。」
その探偵はアキに手をかざした。
「何もあなたを警察に突き出すつもりはないんだ。、、、
ただ聞きたい事が、、、、、、、本の事なんだ、、、が、、、、、」
えっ何いってんだ。この人。探偵ほんとに探偵か刑事じゃないのか
逃げれるか?こいつから、、、、でも本の事、、、、、
でもオレが犯人だって事知ってる。逃げたら通報されるんだろうか、、、、
アキは探偵が乗ってきた車の中で気絶した。
3- 鏡の中のあなたと私 へとつづく
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