「ヴァンパイアは、世界を救うに違いない」 03話




東京郊外にある廃屋工場の地下に、博士の研究所はあった。
クルミはネット仲間からヴァンパイアがいるとの情報を聞き、博士に近づいた。

パープル博士。私の尊敬する博士、大好きにゃ。
博士らしからぬ長身で、筋肉質でグレーの長髪、紫のジャージ姿。
どう見たって、誰が見たって博士じゃないし。

でもでも、私の好きなヴァンパイアなんです~。

今まで大切なお話をしてくれたんだにゃ。
博士ってば、すごいんだよ。

人間を長年見てきたんだって、
ずっと人間に迫害され続けてきたから仕方ないか~。
エジプト時代のミイラの時だって、
中世時代の魔女の時だって、ナチスや世界大戦の時も。
ずっと、ずっと、ずっ~と、さみしかったんだって。
人間が相手にしてくれなくって。

一部の貴族たちは博士を信じて、
ヴァンパイアの血が出来た時の為にミイラになって
ヴァンパイアを襲わずに魔女を迫害した。

人間にはないもの、ヴァンパイアにはないものを結合させる事。
博士は、人間の寿命の少なさに疑問を感じて研究を続けてきたんだって。

実験は失敗の連続で、人間に吸血鬼の血をそのまま飲ませると自我が崩壊して
野生化してしまう。
それでかなりの時代をまたがって、
人間のサンプルデータを取り野生化を制御させる
V-BLOODを開発したんだって。やったネ。

でもでも、最近の不況のあおりや電子世界になり、
子供は物を考えなくなりゲームにはまり、
大人は不況なので精神的余裕もなくなって人間関係もダメ~に。

人間は電子機械に囲まれ、ネートワークの一部となり稼働(はたらか)させられ続けて
頭痛やストレスに見舞われて、世界でストレス死が増え増えにゃにゃ。

吸血鬼の血は、人間の蝕まれた精神状態では拒絶し悪反応を示した。
血が混ざらないのである。さらに博士は、がんばったがんばったにゃ。
やっと精神不安定であっても、制御出来る血が。やったにゃ~。

これで、長年交わらなかった人間を救う使命が出来た。って喜んでいたにゃ。


「やっとアイツを見つけた、覚醒するのを待っていたんだ」

パープル博士は、ストレス死寸前の人間を操り
黒ヴァンパイアを使って彼を探していた。

だから、クルミは博士に協力して美馬涼に近づいた。

20年前のフランスでの研究にて、V-BLOODサンプルを盗まれた。
世界中の情報を集め、この日本にやってきた。

以前のV-BLOODでは駄目なんだ。
感染させてしまったら、広がって人間は崩壊していく。
それを阻止しなければ、博士の何百年に亘る努力が水の泡になってしまうにゃ。

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2日後、瞳はずっと小口からの連絡を待っていた。
美馬くんはまだ意識を失ったままなのか、心配であった。

もう前の真面目な美馬くんには戻れないのか。

観ているTVからは、大学での変死事件で持ち切りであった。
ここ1か月の目撃情報で、黒い姿をした人間が空を飛んでいる情報は無数にあった。
映像もネットで連日upされていた。

黒い姿をした人間は、人を軽傷程度傷つけるぐらいであった。
人を殺害したとかと言う情報はなかった。
よって、瞳が通う大学での事件は異質であったのである。

黒い人間が殺された事は、初めての事であった。
背中に木の枝が刺さり、心臓まで貫通し心肺停止で死亡。

その木の枝を誰が使ったのか不明であった。目撃者はいなかった。
あっという間の出来事であったらしい。
木の枝には指紋が発見され、警察は害者を捜索中である。

大学は厳戒態勢が引かれ、3日間休校となった。


瞳は夕食の買い物に出かけていた時、携帯が鳴った。

「もう大丈夫だ。意識が戻ったんだ、心配かけたね」
美馬君からだった。よかった。
一時はどうなる事かと思った。もう大丈夫かな。

明日会う事になった、美馬君と。





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