創作小説 <初恋 1> 未読の方は↓から
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僕達は、タクシーの中でゆらゆらと揺られている。
急な山斜面の連続で曲がりくねった道を行き、山をいくつも越えた気がする。
車が曲がる度に、彼女の肩が僕の肩に密着させた。

彼女の顔が近付き、うれしくて僕は顔を横に向きたいのだが、
恥ずかしくって、彼女の顔を見られない。目を合わせられない。
彼女の顔は、小さくって目が大きい。吸い込まれそうだ。
背が低いので、守ってやりたくなる存在であった。

僕と彼女は一泊2日の旅行に来ていた。
どうやって知り合ったかと言うと、彼女は僕が働いている会社の得意先担当で。
出会ってから2週間ほどで、彼女から手紙をもらった。
もしよかったら付き合いませんかという文面。

僕は自分で説明しにくいが、真面目で物静か
どちらかというと痩せて、体には自信が持てない。
こんな僕をなぜ彼女が選んだのか、見当もつかない。

彼女と言えば、僕が20歳で彼女が1つ年下であった。
顔が小さくて、かわいいウサギに似た大きな目が印象的で
いつも髪型はポニーテールをしていた。
目が悪いのか、いつも厚めの化粧をしていた。

これまで女性と付き合いがない僕は、どうしていいか分からず困る。
女性からの手紙も初めてで、うれしいのはうれしかったのだが。
どう返す言葉も分からなかった訳で、文章を1週間かかって作成して、
汚い字であったが返事の手紙を渡した。

でも気がかりなのは、社内で彼女の良くないウワサを耳にしていたのだが、
その時は有頂天で気にならなかった。

いざ付き合いと言うものが分からない僕は、
どう彼女と接していいのか。
お互い仕事が忙しいせいか、
付き合うと言っても、彼女は仕事帰りに僕の仕事場にやってきて、
僕の仕事が終わるのを待っていた。

僕の仕事が終わると一緒に彼女の駅まで行き、
ただ家の近くまで送り届けるだけの間柄であった。
これは付き合うと言える状態なのかも、僕自身は不明なままであった。

毎日彼女が僕の仕事場に来る訳でもなかったのである。
テニスを週2日習っていて、その日には彼女とは会えない。
そんな僕は会えない彼女のことが気になり、
彼女は今何をしているのか、考えるようになっていったのであった。

彼女と会っているわずかな時間は、
彼女と歩くのがやっとで、まともに話しているのだろうが、
緊張しすぎて会話の内容もすぐに忘れてしまっている。
というか、記憶が飛んでしまっている。彼女と一緒に同じ時間過しているだけで満足。
彼女がその後、怒っていない様子は見せていないので、うまく会話出来ているのだろう。
それ以前に、あまり会話していないのに、
付き合うって行為がどういうことなのか、理由を彼女には聞けない。

普通の恋愛がどうだとか、知り合いには聞きづらい。
恋愛ドラマのようには、うまく行かないものである。
ただ付き合うのも、好きなのは好きだがオープンに話せないのも苦しい
ものなのかなと感じていた。これが恋人同士って間柄の鉄則なのか。

毎日彼女に会いたいと言う気持ちだけで、生きていた。


タクシーは、30分ほどしてホテルに着き荷物を降ろして
玄関近くにいたホテル職員にロビーへと導かれた。




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