1974 Ch. Haut Brion
1974 Ch. Haut Brion
50歳の誕生日、バースデイ・ヴィンテージの最後の1本を開けた。
ボルドーの弱い年である1974年だが、オー・ブリオンなら枯淡の美を
見せてくれるかもしれないと期待し、長年ユーロカーヴで寝かせてきた。
同じ銘柄を2007年、17年前にあるワイン会で飲んだことがあった。
その時はまだまだ先を感じることもできる、しなやかな美しい古酒だった。
さて、今回のものはインポーターが銀河高原ビールという珍しいもの。
キャップシールをはがすとびっしり黴が生え、ソムリエナイフを刺すと
スッと入っていく。その柔らかさに嫌な予感を覚えるが、10㎜ほど抜くと
甘く熟した、リキュール様のすばらしい香りが感じられて一安心。
3/4くらい抜いたところでかすかに「シュッ」と空気が入る音がした。
長い時間をかけて柔らかくなったコルクを壊すことなく抜くことができた。
グラスに注ぐとしっとりとした森林と土が深く香る。ねっとりと湿度を感じる
太くて深い香り。ドライフルーツに加え、スーボア、枯れ葉、紅茶なども。
ボルドー美古酒の「らしい」香り。とりわけグラーブのハーブを感じさせる
香りがよく出ている。
口に含むとやさしく丸く甘い味わい。ドライフルーツの余韻が長くつづく。
きれいな酸は十分な甘味とセット、タンニンも甘にがく、リキュールも。
枯淡というには甘味が豊か。パーカーポイントが低いハズレ年ワインが
半世紀経ってもこれだけワインとして美味しいのかと驚かされる。
17年前より枯れているとは思うが、豊かさは同等という気がする。
鰻のかば焼きとあわせるとタンニンがさらに甘くなり、旨味が増した。
鰻のたれの甘さに負けず、より一層、甘味と旨味を感じさせてくれた。
どんどん杯が進み、2時間弱で3/5本を飲んでしまった。
これでバースディ・ヴィンテージのワインは卒業。
'02 Gevrey Chambertin Clos St.Jacques (Rousseau)
2002 Gevrey Chambertin Clos St.Jacques (Armand Rousseau)
これも2~3週間前に飲んだまま記録しなかったお宝ワイン。
よく晴れて湿度が低い、やや暖かい2月に飲んだ。
ボトルが透けて見える美味しそうなルビー色。長いコルク。
グラスではルビーにわずかにレンガが混じる。長い長いなみだ。
香りは花の蜜、すみれ。
分厚い酸、コク、塩味、ミネラル、長い余韻。
3年前に飲んだ '02 シャンベルタン に比べるとすこしコアが弱い気もするが、
一流のグランクリュレベルではある。
パッと明るい印象、陽の光を感じる。赤果実の明るさ。黒糖もすこし。
単体で飲むと果実味よりミネラルや酸が前に出てクラシカル。
和牛ローストビーフにあわせると、果実の甘味がイキイキと広がる。
香りが開くと甘いコンポートやカラメル、リキュールも感じられる。
15年ほど前に同じ '02 クロサンジャック を飲んだときは感動が大きかった。
さらに、'02 シャンベルタン の感動がとても大きく、衝撃的だったこともあり、
今回のクロサンジャックにも期待し過ぎた。
(その大当たりを求めて抜栓するのがブルゴーニュの愉しみでもある)
今回は驚きや震える感動には至らなかったが、15000円で購入したことを
思えば、十分に楽しませてもらったと思う。
最近の30数万円といった取引価格を見てしまうと、そして子育て後半の
物入りを思うと、お宝ワインの一部を売ってしまうのもアリかもしれない、
などと邪道な考えも頭をよぎる。




