Destiny

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~Where are you now?~

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処方された薬も飲まず

母親も飲ませることもさせず


息子の症状が変わる事もなく


このままこの状態が一体いつまで続くのだろう


いつになったら変化が訪れるのであろう



何故息子が・・・

と 誰しもが そんな境遇に出会うと思うことと

同様に母親もそう思っていた。


何故息子がこんな風に


そしてその反面


何故「私が」こんな風に と思っていた母親でもあった。


子どもの事を一番に考えてであっての親であるのに


自分を並ばせている母親がそこにいた。



それでも・・・・


心配だったことに偽りなどはない。


親子として共に生活して

そして育て見てきた愛する息子に

心配ないはずなどない。


だが


愛するが故 背けたさもあった。


でもそれと裏腹で自分を尊重する母親もいた。



親としてやってきたのに

親の道を歩んできたのに

親であることを望み叶い選んだ道なのに


そんな自分があっていいのだろうか


1000% 息子の病に

向き合えない状況を心から恨んだ。


いつも側にいて

いつも安心させ

いつも一緒だと伝える術がない




自分で考え抜き選んだ道が

決して子供たちにとって

いい道ではないと知りながらも


このまま無理に続けて行っても

誰しもが幸せにはなれない。


ならば

せめて


自分で間違いないと進む道を

胸を張って生きていくのが

いいであろう、と


そう進んだ母親が


初めて後悔した。



離婚せねば

生活を共にする父がいて

同様に息子のことを想い考え

いい結論に向かう手だてになったのではなかろうか


少なくとも

今よりはずっといい

息子にとってずっとずっといい環境に

いれたのではなかろうか


母親は

離婚して子ども達に決して言わないと思っていた

気持ちと言葉が

心と脳裏を往復し 

とめどなくやりようのない気持ちにさらされた。









母親は昼間息子が寝てると思われる合間に

仕事に行ったり


それが段々と通常に戻ってきていたが



息子の状況はなんら変わりはなかった


ように見えた。


引きこもりのように

部屋から出ることは殆どなく


ましてや家から出ることなどもってのほかだ。


夜起きてるからといって


テレビを見るわけでもなく

ゲームをするわけでもなく


ただ昼と夜が逆転してるかのように思えた。


もちろん


テレビも見れば

ゲームも大好きな息子であった。



何が起こったのか

何が起こっているのか

わからないまま

時だけが過ぎて行ったように思えるが


時だけが過ぎるのを待っていたにすぎないかもしれない。



何も出来ない

いや


何もしようとしない母親がそこにいた。


自分の生活にかまかけて


一番身近な何かを見落とそうとしている母親がそこにいた。



その時に又違った何かをしていれば


未来は変わっていたかもしれないのに。


直るものもなおったり

壊れたものも壊れなかったり


少しの差だったり

気づかなかったり


そんな事で大きく変わる時があるのが人生なのだろうか。






1日過ぎても


3日過ぎても変化はなかった。


息子が寝ている昼間は

少し目を離して

愛犬の散歩に行ったり

買い物に行ったり


又ネットを見たりする日々が続いた母親だった。


何の進展もなく


ただ時だけが無駄に過ぎていった。


誰に相談するわけでもなく

出来るわけでもなく



母親は仕事も気になりはじめ

昼夜逆転した息子を残し


時々仕事に行くことにした。


いくら息子の様子が変だとはいえ

先行きの目途もただず休み続けるわけにはいかない。

生活がかかっていることもある。


初めは午前中だけ


徐々に午後も長引きになったが


変わらぬ息子に対し

仕事は通常勤務に近づいていった。


母親は

帰宅して息子の部屋の扉を開けて

息子を見るのが時々怖かった。


又1点を見つめているのだろうか

それとも何か変化があるのだろうか・・・・


無知な母親のせいで

息子が苦しい思いをしていたとも知れず


母親はそんな勝手な事を思っていた。








母親は仕事を休み

暫く息子の様子をみることに徹した。


薬は飲んでいない。


相変わらず息子は一日中無表情で

布団の中にいる。


外に出ようとは一切しない。


このままじゃどうしようもないし

何も変わらない予感はした。


まもなく昼間は寝て

夜は寝れずと昼夜逆転になってきた。



だからといって夜出かけるわけでも

テレビを見るわけでも

本を読むわけでも

漫画を見るわけでもない。


布団の中で現実とは離れた


そんな場所を見ているようだった。



仕事に行かない間

母親はパソコンで耳慣れない


『統合失調症』について調べた。



20代までに発症することが多い とか


原因は不明 とか


発症率は全人口の1%だとか


妄想や幻覚など多彩な症状を示す精神疾患の一つ・・・・だ とか



    母親は途方に暮れた。







出された薬と支払いを済ませ


帰宅するしかなかった。




原因も


理由も


薬の説明も


特別なかった。



MRIでみたわけでもなければ

血液検査をしたわけではない



診断は

医師の所見だ。



それが「風邪」という聞きなれた症状ならば

簡単に受け入れたかもしれない



だが

今まで知らなかった言語を言われ

はいお薬ですと言われても

何も納得いかなかった。



母親は帰宅してPCで調べた。



”精神分裂症”


以前はそういわれていたという


それは聞いたことがある




聞いたことがあっても

それがどのような症状なのか

知るまでもなかった。


調べれば

調べるほど



息子とは違うものだと


母親は思った。


それは


現実逃避とほど近い想いだった。








体外的にも

内外的にも


大きな症状を見受けられない。


周りの相談もあり

神経科・精神科をあたることになった。


母親は納得がいかなかった。


だがこのまま過ごすわけにはいかない。


ふと、近くの病院で

いいらしいという噂を聞いたことを思い出した。


息子に説明し

一緒に外来することにした。


2人ほど待ち呼ばれて入ると

先生は初老の女医だった。


いくつかを息子に質問するが


息子は一切答えようとしない。


母親が横で聞かれもしない様子を

話した。


その後も又息子は質問されたが

答えることはなかった。





そして その初老の医師が口にした。




「統合失調症ですね。

お薬を出しますので飲んでください。」





今まで聞いたことのない



          病名なのだろうか・・であった。




息子の異変から半月経つか経たない時だった。






食欲だけあることが

知識のある症状とは違ったが

父親や周りの意見をまとめ

息子の部屋を色々見てもいいかと


母親は息子に聞いた。



ぼんやりする息子は

「どうぞ」とあっさりと答える。


隅から隅まで見る気になれず

机の引き出しや

目立つ部分だけさっとみたが

そんな気配はなかった。


「気配」といっても

何が気配だかもわからないのであったろうが。



結局わからぬままだったが

息子だけは一向に変わらず

仕事どころか

日常生活も布団に入ったままで

寝たきりとなった。


さすがの状況に

理由もわからぬまま

母親は仕事を休み様子を見ることにした。


それでも変わらず

息子は起きていても布団の中で

テレビを見るわけでもなく

本を読むわけでもなく

固まっているかのようだった。


そんな日々が1週間過ぎる頃

さすがに医者に行かなければと思った。


だがどんな医者にいけばいいのか

母親はわからなかった。







週末になり

母親は仕事が休みとなったので

息子の様子をずっと見ることができた。



が、

布団から出てこないし

出かける様子もない。

寝ているときもあるようだが

たまに見るとやはり一点を見つめている。


話しかけても返事がないか

時たまこちらに目線がくるくらいだ。

今までにそんなことなど一度もなかった。



そして、その向けられた目は死んでいる。


母親が知っているこの19年間の

息子の目とは全く違っていた。


親方の話や話す内容がチンプンカンプンだとか

それぞれを組み合わせると


もしかしたらやくぶつでもやってるのではないか?


という考えが母親を含む周りの人間の

統一する考えに及んだ。


思い当たる節などない母親だったが


そう思うと 段々とそのような気もしてきた。


離れて暮らす息子の父親にも 息子の様子の異変を伝えた。


だが一同でやはり疑うのは やくぶつではないかという



浅はかな考えだった。














様子がおかしい息子の相談を

母親は、息子の父親の幼少時代からの友達であり

自分の職場の代表でもある社長に打ち明けた。



すると社長は少し驚いたように

話を聞いた。


だがその驚きは息子の様子のおかしさに対してではなく

違うものへの驚きだった。



社長はこういった。

「実は昨日もときから電話があったんだ。」



え・・・・・・・

息子が何故社長に電話を?


母親は内容を聞いた。


「うちの母さん最近おかしくないですか?

仕事に行ってますか?ってね 聞かれたんだ」


母親は驚きを通り越して不思議だった。

職場に勤めて6年を過ぎている。


母親が飲んで遅くなろうが

酔っぱらって朝帰りしようが


直接母親の携帯に連絡することがあっても

他人に連絡を取るなどしたことはなかった。


それに自宅で2~3日前に

二日に渡って息子の職場の話し合いさえしていたのに、

特別喧嘩したわけでもないのに、、、

息子のその行動に結びつくものがなかった。


母親はその後の会話を訪ねた。


「いや、別に何も変わったことはないけど?

どうかしたの?」

と返答したら それならいいです、と電話を切ったという。


母親が話さなければ社長は

息子からあった電話の事を話さなかったかもしれない。



何かが・・・

どこかが・・・

歪みはじめていると

気付いたはじまりだった。








親方は仕事を早めに終わらせてくれたのか


息子と連絡を取ったようで

出かける約束をしたと連絡をくれた。


母親は少しほっとした。


母親が仕事を終わらせ足早に帰宅すると

既に息子はいなかった。


親方と出かけたのだなと夕飯の用意をして

時間が経つのを待った。


間もなく少し疲れた様子で

息子は帰宅した。


息子はすぐに布団に入った。


夕飯の用意ができると食事を取り

又布団に入った。


親方に後で連絡した際の

もときの様子は

話しかけると返してくれるが

どこか心ここに非ずで

つかみどころのなさを感じた様子を伝えられた。


母親は家でも様子を見るので

少し時間をくださいと親方に頼んだ。


その後息子は布団の中で

一点を見つめ

寝るわけでもなく

話すわけでもなく

何かを考えてるのか

悩んでいるのか・・・


一時間経っても

三時間経ってみても

微動だもせぬ同様の一点を

見つめ続けていた。



母親は何かが違うと思った。