第二章 モンタナカラー社の歴史について（後編）

Montana Colors history 2 (日本語)

カピ氏やムーキー氏と同世代でもあったルビオ氏は、間もなく彼らのグラフィックに対する情熱を理解し、グラフィックアートの専門家の為のスプレータイプペイントの製品開発の新規プロジェクトに名乗りをあげました。

ルビオ氏がフェルトン社へ彼の新企画について相談を持ち掛けた際、ルビオ氏の案は難無く棄却されました。

当時のペイント業界では、グラフィックペイントは収益が見込めない為、欧米のペイント製品取扱業者の多くは興味を示さず、見向きもされない状況でした。

しかし、ルビオ氏の意思は固く、グラフィック業界において新たな挑戦をすべく、フェルトン社を退職し、1994年に当時の同僚であったガレラ・マイケル氏とモンタナカラー社を設立しました。

彼らの新会社設立の目的は明確であり、グラフィックアーティストの為のペイントタイプスプレー製品の開発でした。実際に、消費者の立場に立ち、最高品質の製品を作り、品揃えも豊富にし、且つ価格を低く設定する事を第一に、開発に取り組み始めました。

ルビオ氏とガレラ氏は、二人のペイント関連の知識に、カピ氏とムーキー氏から提案されたアイデアを加えながら、試行錯誤を繰り返し、最初の製品として、グラフィックアーティスト向けの200mlの内容量のスプレータイプペイント、「商品名：モンタナカラー」を60色販売しました。製品の特徴として、最適な圧力でクリアな描写が出来、広範囲に使用が可能で、一般的に購入し易い価格設定にしました。

まさに、グラフィックアーティストが期待していた製品でもありました。

「モンタナカラー社」のスプレータイプペイント」は、同年、1994年にカピ氏とムーキー氏によってバルセロナで開催された「エアロゾル芸術祭」で、初めて世界のアーティストに紹介をされました。

更に、初めてグラフィック関連を取り扱う専門店としてオープンをした「ゲーム・オーバー・ショップ（現バンカー・ショップ・バルセロナ）」においてもモンタナカラー社の製品が販売されました。

当時、イタリアやフランス、ドイツやスイスを始めとしたヨーロッパ圏内の諸外国のグラフィックアーティスト達は、優れたペイント作品を描く為に、誰もがこぞってモンタナカラー社の製品を車内一杯に積み込み、帰国をしていたと言われていた程です。

それだけ、モンタナカラー社のスプレータイプペイントは高く評価されていました。

基は、スペインのバルセロナ市場のみが販売ターゲットであり、街の小売業としての事業でしたが、今日では全国規模での入手が可能になる様、今日も日々製品の市場拡大を図っております。

1995年にモンタナカラー社は、新製品として400mlの内容量のスプレータイプペイントをヨーロッパ全土に販売しました。

この新製品も、初期製品と同様にアーティスト達の支持を多く受け、更に全体の売上を大きく伸ばす足掛かりとなりましたが、製品の改良点や革新材料が新たに発見されました。

ルビオ氏は、1996年に問題点を改良した新デザインの製品を開発し、ゲーム・オーバー・ショップへ紹介をしました。ムーキー氏の協力による新製品の検査の際、彼の発した「これは、ハードコア（大変素晴らしい）です！」という言葉に感銘を受けたルビオ氏は、その場で新製品の商品名を「モンタナ・ハードコア」と命名しました。

1996年から今日まで、スプレータイプペイントは400mlが主流となっています。

噴霧口から勢いよく噴射し、外気を素早く遮断し、光沢色の品揃えが豊富なこの製品は、現在でも他に類をみないほど広範囲での塗布が可能です。

「モンタナ・ハードコア」は、グラフィック業界において革命を起こしたといっても過言ではないでしょう。 1997年、モンタナカラー社は、噴霧口に特別な配色を施した（ドーナツの型に似ている）リングの特許を申請しました。この独自のデザインにより、モンタナカラー社のスプレータイプペイントは他社製品と大きく区別がしやすくなりました。今日まで競合他社もこのドーナツ型デザインを多く使用しております。 モンタナカラーという製品名だけでも、充分他社製品と品質の違いを区別する事は可能ですが、本製品と全く関係の無い、品質の悪い偽造品が一般の市場で流通している事は非常に許し難い現実です。最小限の努力から最大限の成功を収める事を試みる輩がいる事は非常に悲しい事でもあります。スプレータイプペイントを購入される際は、常に缶底の「製造者：モンタナカラー社、所在地：スペイン」との記載内容を確認することをお勧めします。この記載は、ペイントの成分内容の品質のみならずモンタナカラー社のオリジナルの製品である証明書となります。