英語教師のピアノ弾き語り&歴史語り            ☆every day's jewelry☆ 

…グルカ兵・ヨーロッパ版、
といえば
アルプス育ちの”スイス傭兵”

中世以来、
欧州各国の”外国人部隊”
として活躍、

1500年代から現在にいたる
ヴァチカン市国の衛兵は
その時代を今に伝えています …



今回は
”グルカ兵”を引き継ぎ、
”傭兵”の話題を追います。

アユタヤ朝に仕えた山田長政など、
考えてみると日本人も
”傭兵”として
海外へ渡った例はありました。

意外なことに、
かの”グルカ兵”の雇い主
”イギリス東インド会社”にも

多くの日本人が
”傭兵”として記録されて
いるんですね。

そもそも、
武士や騎士というのは
戦争がなければ
成り立たない職業ですから、

天下泰平の世の中になれば

彼らが武勇と働き口を求め
海外に出たことも
充分納得のいくことですが…


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…アユタヤの遺跡…



イタリア・
ヴァチカン市国の衛兵は
1500年代以来、

現代においても
スイス国籍を持つ男性
に限られています。

その条件は…

・カトリックの
 スイス市民であること

・年齢は19~30歳
・身長1.74メートル以上

・中等学校か
 職業訓練校、加えて
 スイス軍・基礎訓練課程を
 修了していること

・スポーツ能力、および
 人品が良好であること

・伍長と兵は
 独身であること

アルプスといえば
グルカ兵の故郷
ヒマラヤと並ぶ高峰ですが

農地・産業の
乏しさを原因として

中世以来、
厳しい自然環境に鍛えられた
屈強な男子が
”傭兵”として働いてきた、
という点でも

ネパールとスイスは
意外な共通点を
持っているのですね。


ちなみに初めて
スイス人から傭兵を募集した
ローマ教皇は、ユリウス2世。

ミケランジェロ、
ラファエロの支援者として知られ、

イタリア北部から
フランス王朝の勢力を閉め出すべく
各国と戦略的に
同盟関係を結んだ人です。


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マレーネ・ディートリッヒ、
ゲーリー・クーパー出演
『モロッコ』(1931)

”フランス外人部隊”の実態を
事実の通りに描いている、
として高く評価されています …



隣国ということもあり
歴代のフランス国王は
常に多くの傭兵を
スイスに頼ってきましたが

フランス革命では祖国を守る、

”自由・平等”を
全ヨーロッパに広める、という
使命感と誇りを抱いた”国民軍”が

”傭兵”主体の
各国軍を圧倒した、という
こともあり

革命期と
その後の王政復古、
その初期において、

フランスでは
一時期”傭兵部隊”が
無くなりました。

しかし
革命の混乱による人口激減、
そして
革命崩壊後の厭戦ムードにより

1830年、
ルイ・フィリップが
傭兵部隊を復活させます。

この部隊が
現在も存続している
”フランス外人部隊”、
ということになるんですね。


クリミア戦争、
イタリア統一戦争、
2つの世界大戦…

フランスがかかわった
近代・現代の戦争では
絶えずこの部隊が参加し

戦後は
フランスが長期にわたり
植民地としてきた
アルジェリア、
仏領インドシナなど、
(現ベトナム)

宗主国としての特権を
手放すことを渋った
これらの地域で軍事活動に従事。

最近では
アフガニスタンなどでも
任務にあたっています。



2005年時点で、
英軍所属のグルカ兵は
約3,600人。

これまで
ルイフィリップによる創設以来

フランス外国人部隊に
所属した”傭兵”の数は
60万人以上。

発展途上国など
紛争地域への”先遣隊”と
なることが多く

アフガニスタンや
イラクなどでも
この2つの”傭兵部隊”は
活動をしていますが

現在の
フランス外人部隊
所属兵士の国籍は
合わせて130を超えるとか。

そして勿論、
その主力がスイス人
ということはありません💦

”グルカ兵”は
1997年以前の香港、

英軍が駐屯している
ブルネイ、

他にも
マレーシア軍、
インド国軍、
アメリカ海軍、
シンガポール警察にも

雇用されている
ということです。


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… F-15戦闘機 …
[ 採用国(2005時点)]
アメリカ・日本
・イスラエル
・サウジアラビアなど)



60万人の
フランス外人部隊所属の兵士にも

今現在、
アフガニスタンや
アフリカなどに駐屯している
3000人余りのグルカ兵にも

その1人1人、
1つ1つの命について

それぞれ出自があり、
家族があり、

彼らが身を置く、
そして
これまで身を置いてきた
時代背景があり…

そして、もちろん
彼らが自らの命を
危険にさらしてきた戦争、紛争で

彼らが生業としたこと、
というのは
戦闘行為であって

その1つ1つにも
尽きせぬ無数の物語が
宿っているわけですが

今回は努力して
そういった視点からは
距離を置いて
ここまで書いてきました。



”グルカ兵”が
セポイの反乱鎮圧に
駆り出されていた頃、

1850年代の末といえば、

あと4~5年もすると
キム・ジェジュンが好演した
『Dr.JIN』の設定年代ですね。

日本は
ペリー以来の欧米の圧力に屈し
条約を結んだ、
ちょうどその頃…


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… F-16戦闘機 …
[採用国:アメリカ
・韓国・台湾
・イスラエルなど]



戦争というものは

そして
軍隊という組織、
その中の世界観というものは

そこに身を置いた人以外には
分からない…本当の
異次元、だと思います。

彼らの捉える歴史、
彼らの物差しによる現代…

前回
”浮世離れしている”と
私が書いたのは
科学者とアーティストでしたが

軍人は逆に
筋金入りのリアリスト、でしょうか。





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