こむぎに「サンセット観に海へ行こう」と誘われた。

 

このクソ暑い中やめてーやと思いながらも

 

夕暮れ時の海風とか潮の香りとか

 

ピンクや紫色に染まっていく海空を思い出した。

 

 

そう言えば、長い間あの感じ味わってないなぁと思うと

 

行ってみようという気になって、

 

どこに行くか二人で考え出した。

 

 

淡路島はちょっと遠いし、

 

須磨は混んでそうだしと思っていると、

 

こむぎが芦屋にいい感じのビーチがあるらしいと言い出した。

 

 

芦屋の海岸と言えば、子供の頃の遊び場で

 

隅から隅まで熟知しているつもりだけど、

 

ネットでマップを見たら

 

あっちこっち埋め立てられていて

 

子供の頃の面影が全くなくなってしまっている。

 

 

へーこんな風になってしまってるんやと驚きながらも、

 

潮芦屋ビーチってところに行ってみることにした。

 

 

日没ちょっと前の時間を見計らって、打出町に向かった。

 

この辺りは子供の頃、友達と自転車に乗って

 

時々遠征してたエリアで

 

景色はだいぶん変わってしまっているけど

 

懐かしい感じが随所に残っている。

 

 

通りの角から、自転車に乗った小学生の俺が

 

大騒ぎしながら駆け抜けていく姿が

 

見えたような気がした。

 

 

大きな橋を渡って埋め立て地に入ると

 

芦屋って感じの豪華な家々が立ち並んでいて

 

ヨットハーバーがあったりして

 

めちゃくちゃお洒落な雰囲気の中に

 

潮芦屋ビーチがあった。

 

 

ラッキーなことに

 

このビーチは遊泳も花火も禁止で

 

近所に住む人たちの散歩コースのような小さなビーチで、

 

人影もまばらな落ち着いた感じで

 

俺とこむぎが求めてたまさに

 

ドンピシャな砂浜だった。

 

 

持参してた折り畳み椅子を波打ち際に置いて、

 

太陽が六甲山に沈む夕暮れの時間を静かに味わった。

 

潮の香を含んだ海風が本当に気持ちイイ。

 

 

魚があっちこっちでピョンピョンと飛び跳ねて

 

幸福そうなエネルギーをふりまいている。

 

うしろを振り返ると夕暮れのこの時間を狙って

 

犬連れの人たちがいつの間にか集まりだしてる。

 

 

太陽が六甲山に沈む頃、暗闇が濃くなってきて、

 

人影がシルエットに見えてきて

 

このおだやかな時間の終わりを告げている。

 

 

今夜はいい夢が見れそうな気がした。