【習う】
意味:動作を真似、技を得る
不器ようこ「あー!もう弾けないっ!」
知屋れんこ「だいじょぶ?こーやって弾くんだよ〜」
私たちは3歳のときから同じピアノ教室に通っている。最近は、ぐんぐん上達していくれんこに嫉妬してばかり。
不器ようこ「あ!もうこんな時間!DTMのレッスンいかなきゃ!」
知屋れんこ「ようこはすごいなー!ほかにもギター、ドラムにお琴、バリオリンもはじめたんだって?いくつ習ってるの〜」
不器ようこ「まあ、将来のためにってママにムリやりやらされてるだけだから!」
嘘だ。必死で頼んで習わせてもらってる。つまり、ようこに勝てないジレンマを埋めてるのだ。それに、案外ピアノ以外なら上達もはやい。
知屋れんこ「うちなんてビンボーだからなあ!ねえ、DTMってなに?!パソコンで音楽つくるんでしょ!?」
不器ようこ「そうよ!まあ、おぼえること多いけどね!」
知屋れんこ「すごいなぁ!いいなぁ!」
不器ようこ「たとえば、この音が・・・」
優越感だった。バッグからノートPCを取り出し、知るかぎりの知識をひけらかした。いま、わたしは確実にれんこに勝っている。
〜20年後〜
中間ふつ男「ようこ!メシまだか?!」
中間ようこ「ちょっとまって!チビ次郎、寝かせてからね!」
中間ふつ男「それよかさ!おまえ、あさはかピアノ教室でパートしてるんだよな!」
中間ようこ「そうよーそれがどうしたの?」
中間ふつ男「いま、テレビで、あさはかピアノ教室のこと語ってるぞ」
中間ようこ「え?」
・・・・・・・・・・
知屋れんこ「3歳から、あさはかピアノ教室に通っていて・・・そのとき、ふとしたことでDTMの存在を知って・・・その魅力に・・・」
しろやなぎ銅子「・・・今回トラックメイカーとして日本初のグラノーラー賞を受賞されたren-koさん・・・」
・・・・・・・・・・
中間ようこ「・・・」
まるで悪夢のようなそのコントラストの中で
鍋とやかんとフライパン、ご飯の炊ける音らが四重奏を奏で、現実を演出している。
【有能なやつははじめから有能】