先日、NHKアニメ『ピカイア!』を全話見ることができた。このアニメは、恐竜発生よりもずっと昔のカンブリア時代を舞台にした初めての作品であり、とても画期的なものかもしれない。物語は、人類によって資源を消費尽くされた地球を、新たな生命によって復活させるカンブリアプロジェクトが発端。カンブリア時代の生物のDNAを解析し、生命復活のヒントを得るわけである。

しかし、どうやってカンブリア時代の生物のDNAを採取するのか?この作品では、次元ダイブと次元プリンタを使用する。どうやら、カンブリア時代へタイムトラベルするわけではなさそうなのである。同じ時間に存在する別次元のカンブリア時代にエントリーするらしい(書いててわからなくなってきたが・・・)。つまりは、パラレルワールドという解釈がしっくりくるようだ。その次元からサンプルとして引き上げてきたピカイアをモデルとした、DNA採取生命体と、次元ダイブの訓練を受けた少年、少女がこの作品の主人公たちだ。

この作品のおもしろいところは、カンブリア時代の、カンブリアモンスター(あるいはバージェスモンスター)が、画面狭しと大活躍する部分だ。おなじみ、アノマロカリスやオパビニアといった、正直いってグロい生物が、次から次へと登場し、それはまるで地球外生命体を見るかのようだ。現在の海の生物でも、ホヤとかナマコとかわけわからない生物はいるが、それをはるかに超えたデザインと生態である。ほんとに、古代生物ってのは不思議でおもしろい。

とはいえ、このアニメには、なぜか暗いイメージが常に漂う。少年少女が冒険をくりかえし、生命の秘密に迫るという胸躍る展開なはずなのに・・・。それは、この舞台の地球が、もはや死の星になっていて、人類は、地球を捨てる選択を迫られている状況のせいでもある。人類は、地球をスペースコロニーから見下ろしながら生活しているのだ。また、カンブリア時代の生物は、その異質な形態から、まるで死後のイメージすら感じさせる。絶滅のイメージだ。主題歌が希望に満ち、明るいイメージで歌い上げられているのに、このギャップはなんなんだろう?正直、カンブリア時代の海は暗くて、不気味なのだ。

でも、このアニメは、それでも繰り返しみたくなる不思議な作品だ。そう。暗くて不気味ではあるが、未知の探求というおもしろさが、妙にツボにはまる。

きっと、不気味で不思議なものが大好きという、少年たちは、きっと気に入っている作品ではないだろうか?そんな、私も、この不気味な世界が心地よく感じられてきた。