MIDEM Net 初日レポート(カンヌより) | モンスター・ラボ 社長ブログ

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昨日のブログ書いたように、20日はMIDEMの中でもデジタル音楽に特化したMIDEM Netのカンファレンスが開催されました。僕は飛行機の遅延によって残念ながら後半だけの参加になりましたが、RealNetworksのCEOであるBob Claserや、ロングテールの提唱者である米国ワイアード誌の編集長であるクリス・アンダーソンの話など聞くことができました。


RealNetworksは、ストリーミング配信によるインターネットラジオ(ラプソディ)と今のナップスターのような定額制のサブスクリプションモデルをかなり早い時期から初めていたので有名ですが、最近はiTunesを始めとしてその他の大手企業に比べて押され気味な印象を受けます。そんな彼の主張で印象的だったのは、これからは課金の方法を含むビジネスモデル、音楽を聞く場面・デバイスが多様化していく中で、どこか1つのモデル(iTunes Music Store等)が全てを網羅した提供の仕方をするということは無く、サービス提供側の企業も多様化してくるということでした。もちろん、アーティスト・レーベルの数も増えていき、コンテンツの種類も多様になっていくということです。


また、クリス・アンダーソンは、音楽ビジネスが無料サイト等によって小さくなっている、このまま音楽の価格はゼロに近づくのではないかという主張に対し、「音楽ビジネスはもっと広い範囲で定義されるべきである」と主張しています。CD等のパッケージ、ダウンロード配信、ライブイベント、そしてマイスペース(世界最大のソーシャルネットワーキングサイト)等で音楽が含まれることによる広告料等の経済効果等も含めて音楽ビジネスだということです。
クリス・アンダーソンが著書「ロングテール」の中で主張しているように、音楽の製造(プロダクション)や流通コストが下がることで、アーティスト・音楽コンテンツの数は飛躍的に増加し、需給バランスによって価格は下がり無料コンテンツは増えるでしょう。しかし、全ての音楽コンテンツが無料になることはもちろん無く、提供者側にも消費者側にも選択するビジネスモデル、価格体系、そして音楽コンテンツが多様になっていくことが重要であり、それ自体は喜ばしいことだという主張です。


その後に行われたロングテールをテーマにしたパネルディスカッションでは、ロングテールの鍵を握ると我々が思っているマッチングの話で盛り上がっていました。やはり無数にコンテンツが増えていったときに、どういう形でそれをリスナーへ届けるのか、そのインターフェース、工夫の仕方が重要だということです。それはSNSのようなコミュニティかもしれないし、他のリスナーのプレイリストかもしれないし、高度なリコメンデーションかもしれません。リコメンデーションエンジンを開発しているMyStands(スペイン企業)のCEOであるDr Francisco J. Martinは、ユーザーの多様な行動を解析したリコメンデーションが重要であり、コンピュータで解析する部分と人間が判断する部分の両方の組み合わせになっていくという主張もありました。


しかし、考えてみるとMIDEM Netには、Pandra、Last.fm、MySpaceといった新しいモデルを開拓した企業の名前がありません。このような、既存の音楽業界の関係者が一同に集まるイベントに既存のモデルをむしろ破壊した企業が入っていないというのはもちろん頭では納得できるのですが、やはりそういったプレイヤー抜きに将来を語るというのも残念であるという気がしました。ちなみみAppleもMIDEMには参加していないようです。業界のトップ企業はこういったイベントに参加しないという傾向もある気がしますが、それ以上にAppleが独自のブランディングを重視していることが原因のような気もします。


最後に、「バーチャルワールドとリアルマネー」というセッションがあったのですが、その中で、インターネットでのコミュニティが、SNS型に進化し、さらにはMMOGsとう3Dゲームのような形に進化していっているという話がありました。この中で最近よく語られる「セカンド・ライフ(http://secondlife.com/ )」と「スタードール(http://www.stardoll.com/ )」のデモがあったのですが、セカンドライフでは如何に様々な場面で音楽が使用されているかが良く分かりました。バーチャルの部屋の中で音楽をかけたり、クラブのような場所があったり確かに様々な場面で音楽が使われています。また、スタードールでは、バーチャル上での自分の部屋のデコレーションをしたり洋服を買ったりしており、世界中の10代のガールに受けているようです。このSNSやMMOGsの特長は、ユーザーの滞在時間の長さにあります。平均的なユーザーで、1週間に20~25時間を使っているようです。テレビの平均視聴時間が1週間で6~8時間ということを考えると確かに非常に長い時間という感じがします。


そしてこのカンファレンスに参加して強く感じたことの1つは、改めて世界の共通語が英語になり、様々なサービスがグローバルで使われているということです。スタードールはスウェーデンの会社ですが、北米、ヨーロッパ、アジアでもバランス良くユーザーがいるようです。その点、日本では全て独自のサービスが登場し、マイスペースなどのサービスが定着しませんし、逆に日本発で世界で使われるサービスも生まれてません。コンテンツそのものという意味ではゲームやアニメなど世界で人気のあるコンテンツも登場していますが、ウェブのビジネスモデル、ウェブサイトでなかなか出てこないのは言語の問題が大きい気がします。


取り留めの無い話になりましたが、1日目の簡単な報告でした。