キラーチューンズ制作裏話。 | ムッシュ速報(Theムッシュビ♂ト公式ブログ)
次作品に繋がる忘備録としての記述。

2013年10月27日、無事リリースされたCDアルバム「キラーチューンズ」、その制作は2009年の秋に遡ります。
2009年秋3rdアルバム「Be Happy!!(暫定版)」がCDRという形態で完成、SNSを通じて無料配布するという形でのリリースとなりましたが、この完成を伝えるmixi日記の最後を「では、明日から4thアルバムの制作に入ります」で締めたのが始まりでした。
この時点で決まっていたことは「曲名がシンメトリーに並ぶこと」のみでした。

結果的には、そこから暫くの間は初音ミクの「恋のいじわる」やTheムッシュビ♂ト×すなちゅなどコラボレーションものやリミックス(して頂く方、です)ばかりを発表しておりまして、実際にアルバムに収録される最古の楽曲である「ポップ作家と妖精某」の制作を始めたのが2011年の夏なので、実作業としてはそこからがスタートでした。

この頃から音源のプロダクションを大幅に改めており、それまでは全て自分でミックスしていたものを、一部の作品を除いてミンカ・パノピカの長上鋭司氏にミックス・マスタリングを外注するようになりました。
その為、当然のように「ポップ作家~」制作中から鋭司さんとのタッグを組んでアルバムを作ることは暗黙の了解的に決まっておりました。

タイミング的には漫画家の中川一氏がアートワークを担当することが決まっていたのもこの頃で、「初音ミクsings"恋のいじわる"ep」や後述する「XD/FIT」のアートワークはその前哨という意味合いもありました。

アルバムの方向性を決定的にしたのは、2012年7月に迷われレコードさんからネットリリースされた両A面シングル「XD/FIT」です。

この2曲は発表時点からアルバムの1曲目とラストの楽曲として決まっておりました。

このリリース後に「キラーチューンズ」というアルバム名と、収録曲の方向性を「スカムやアバンギャルドに逃げない正攻法の楽曲」と定めた、と記憶しております。

(ちなみに「スカムやアバンギャルドは逃げ」というのは僕にとっての話であってそういったアーティストさんを否定する意図はありませんので。念のため)

今作に置いては「歌が前作までと比べて凄く良くなった」という感想を賜っていまして凄く有難いのですが、歌についての感覚や考え方が変わったのもこの頃でした。
今までは自分の歌に少なからず劣等感があって、そこは「売り物」としてのCDを作る上で大きなハードルだったんですが、「FIT」では鋭司さんに「歌にあまりエフェクトかけないで下さい」と言うくらいで。それまでは「もっとキツいエフェクトかけて下さい」と言ってたんですけどね。

その辺りについては、当時よく駅前などで一緒に歌っていた村上亜賢君の影響が大きいです。僕が歌苦手だったのに、彼が駅前で歌わせたりするんで色々と吹っ切れました。
Caro kissaのすなちゅにもアドバイス受けたりして、意識が変わっていった時期だと記憶しています。

そんな感じで、アルバムについては去年~今年の初夏くらいまでは割とスローペースで過ごしていまして、夏くらいから一気にアルバム曲の制作に着手しました。
全13曲+αの収録曲中音源が完成していたのはシングルなどで既に発表されていた6曲のみで、8曲分の音源制作は殆ど8月~9月中に行いました。ほんとこの時期はフラフラになりながらの作業でした。事情により発売延期となったものの「すがまい」の作業も同時でしたしね。

楽曲として最後に書けた曲が「青春の輝き」で、それが8月半ばで、僕が加入して新体制になったばかりのバンド・BaaBooFAZの編曲と演奏でレコーディングを敢行したのが9月半ば。大変ではありましたが、作業もレコーディングも順調そのもので、結果的にはバンドとしての自信も裏付けることができたんじゃないかなと思います。

その頃、同時進行で、中川氏から上がってきたジャケットイラストをデザイナーのSiryu氏に渡して、デザイン作業に入って頂き、同時に歌詞カードデザインのnurieさんに歌詞を渡して打ち合わせして作業に入って貰いました。ほんとにワガママ言いたい放題だったのに付き合って頂いて感謝しております。

今回の音源制作は、今までの鋭司さんとの作業と違って、素材をバラバラにして鋭司さんに渡すのではなく、僕がシーケンサで作ったトラックをバラバラにしてcubaseに取り込み、こっちでできるところまでミックスし、cubaseのプロジェクトデータとして鋭司さんに渡す、という方法を採りました。
その為、クレジットはしていませんが、実作業としては僕もミックス作業をしているので、作業量は過去最大でした。

そんなこんなで、10月7日、CD完成期日から逆算したギリギリの入稿日当日に、半日かけて鋭司さんとサウンドチェックを行い、完成となりました。
この時点で既発曲のリマスタリング、曲間の僅かなタイミングの調整を行い、マスターCDとして完成したのです。

こうして改めて思い返すとほんとに沢山の方々にお世話になりながらの作業で、文中にお名前を出してない方も含めて感謝ばかりですね。

こんな感じで書き綴りましたが、本稿は音源制作の裏話でして、各楽曲やアルバムにかけた思いは10月上旬に行われた古川敏彦氏によるインタビューで話しましたので、記事が公開されたらそちらを参照して頂ければ宜しいかと思います。ほんとに話した内容が膨大な為今暫くのお待ちを。