村のオバハン
既に鬼籍に入った婆さんの
娘さん。
その婆さんは、三度の飯より
噂話と悪口が好き
愛車の原付にまたがり、
あっちで、
根も葉もない噂をばら撒き
こっちで、
尾ひれ背びれをつけた噂をばら撒き
生前は、日がな一日、村中を
走り周っていた
同居する息子さんが無線に詳しいらしく
村に来る救急車よりも一足早く、けが人の
元に駆け付けることもあったとか
って、お~い
それが本当なら、違法ちゃうの
まぁ、そんな家の娘さんなので
ご多分に漏れずというかなんというか、
そういえば・・・
村の郵便局でアルバイトをし、
来た村人の内容を喋り散らした
とかで、クビになったというのは
このオバハンだっけ
『あそこのおじさん、定期預金に来たよ~』
『あっちのおばちゃんは、
年金の受取り~』
『そこの息子さん、生命保険に入ったよ~』
・・・
そんな情報を漏らされちゃ、困るぅ~
利用者から苦情がきて、クビになったとか。
当たり前だ、バカじゃないのか
確か、このオバハンって聞いたような・・・
でも、村には、もう1軒、そっくり、
瓜二つのような感じの家に、
同じく似たような娘(オバハン)が
いる家もある。
郵便局の話は、あっちの家の
娘(オバハン)だったか
まぁ、どっちにしろ、ロクでもない
オバハンなのだ
そんなオバハン、村から車で40分ほどの
観光地で働いていたとか。
確か、観光市場の、フードコート
って聞いたような・・・
そこに行くことはあっても、
フードコートを利用したことはない
君子危うきに近寄らずだ
観光客相手なら、まぁ、何を
作って噂してもいいんじゃない
『今日のお客さん、
ラーメンを3杯も食べてたよ~』とか、
『あのお客さん、ケチ~
お寿司の梅クラスを注文した~』とか、
・・・
そんな観光市場で、クビになることもなく
例え十数年でも、とりあえず、
定年まで勤めあげたとか。
で、めでたく定年。
しばらくは家でブラブラしていたようだが・・・
なんと
旦那ちゃんが言う
「あそこのおばちゃん、村から一番近い
ドラッグストアで働いてる~」
・・・
マジか・・・
便利なドラッグストアだったのに・・・
もう、行けなくなるな
旦那ちゃんなんかが行った日にゃ、
『あそこの旦那さん、
シャンプー買ってた~』
『スキンヘッドなのに~』
・・・
旦那ちゃんに限らず、村の誰かが
行っても、すぐ、噂を広めそう
『また、お酒買ってた~』
『おむつをたくさん買って~
おむつ離れまだかいな~』
まぁ、笑い話になる程度なら
まだ、マシだけど・・・
薬局だもの・・・
買った薬や、処方箋や、体調不良・・・
他人に知られたくないことも、
全て喋り散らしそう
家が家で、親が親なら、子も子の
嫌なオバハンだ
ちなみに、ドラッグストアへは
誰かの紹介だったとか。
確か・・・
あそこん家の嫁の実家の
姪っ子が高校生の時、
アルバイトしてたな
その関係か
そんな関係以外、あんなオバハンに
働き口なんて紹介せんやろ
まったく、余計なことを・・・
智恵の足りない、思いやりに欠ける
底意地が悪いだけの、
お喋りオバハンの再就職
旦那ちゃんをはじめ、
田舎でもまだマシな人達の、
あっ、たまにだけど、私の、
行動範囲が狭まった