これもつづきで~す






「なあ、亀吉。 おまえあの子のことどう思う」

 「あの子って、例の小人の女の子のことですかい」

「ああ、そうだよ成仏できないとか俺の優しさが必要だとか言ってるけど、いったい誰なんだ。」

 「それは・・・」

「お前なんでも知ってっるんだろう、太古の昔からの記憶をその甲羅に刻み込んでるって言ってたじゃないか」

 「へえ、あの子は1982年の子です。詳しいことはあっしの甲羅の一番高いところから右回りに数えて7番目の甲羅をバーコードリーダーで読み取ってください」

「うん?こうかパシャ! なんだよこれ、ただの苔の生えた甲羅じゃねえか」

 「旦那それ写メですよ」

「ああそうか。。。えっと何々。。。an aborted fetus。。。どういうことだ亀吉」

 「あっしにも詳しいことはちょっと・・・」

「じゃあ調べといて、俺は仕事行ってくるから。」

 「はい、いってらっしゃい」



 夜中に亀吉のいる水槽から妙な声が聞こえてきた


「「ここがいいの」」

「ああそこです」

「「このへんも」」

「あつそこは」

「「じゃあこういうのはぁ」」

「あっうっっ」


「おいこら亀吉なにやってんだよ」

 「あっおかえりなさい、じゃなくてこんばんわ、じゃなくて・・・」

 「「ふふこの人亀吉っていうのね、おもしろ~い」」

「人じゃねえよ亀だよ。 なんだよ浦島太郎みたいに背中に乗っかって、そんなとこ刺激しなくていいんだよ」

「「だって暖かくって固くておもしろいんだもん」」

「おい亀吉、この子のことちゃんと調べたのか」

 「「わたしのことはわたしが話すわ。わたしはこの世に生れてこれなかった水子の霊。
成仏できなくってさまよっているの」」

「んでなんで俺に憑いてるんだ」

 「「わたしにもよくわからないんだけど、あなたがお父さんのような気がするの」」

「それは違うな、俺には水子はいない。もしいたらちゃんと供養して成仏させるよ」

 「「でも、わたしあなたのメロディに癒されるの、だからずっとまえからあなたに憑いているのよ」」

「う~ん、それじゃパパもママも知らないってことか」

 「「ママは知ってるは、でもパパは知らない」」

「ママの名前は?」

 「「ママは美樹っていうの」」

「・・・・・・・」

 「旦那、あの美樹さんの水子ですよ」

「そうか、それじゃあなんとか成仏させてあげたいな」

 「旦那、あっしがこの子を連れてあの頃の時代に行ってきます、そして旦那の優しさをこの子に・・・」

「亀吉、過去に行ったらもう帰ってこれないんじゃないのか」

 「大丈夫です。仕事がすんだらまっすぐ家に帰る、いつも旦那そう言ってるじゃないですか。あっしもそうします」

「亀吉、美樹に会ったら・・・いやなんでもない。 この子のことよろしく頼むぞ」

 「それじゃ早速行きましょう姫様」

「なにが姫様だよ、とちゅうで変なことするんじゃねぇぞ」

 「「じゃあこれで別れね、いろいろありがとう さようなら」」

「ああ、成仏しろよ じゃあな」



俺はあの子を乗せた亀吉を将軍池に浮かべた、そこは深くて暗い池だった。




「「亀吉さん、あの声はママの声。もう一人の声は誰?」」

 「あの声は姫様のパパの声です」



「おまえロンと出来てるんだろう、そのおなかの子は俺の子じゃないんじゃないのか」

「ひどい、この子はあなたの子よ。わたし浮気なんかしてない」

「ふん、信用できねえな」

「あなたの子よちゃんと育ててよ」

「ロンの子かもしれねえから奴に聞いてみる、いや他の男かもしれねえしな」

「そんな・・・」

「おろせよ」

「・・・・」



「亀吉、ロンさんってあの人のこと?」

「ええそうです旦那はロンさんです」

「どういうことなの、ロンさんとママはどういう関係なの」

「ロンさんはママさんのことを愛しているんです、でもロンさんとパパさんは幼馴染の友達なんです。だからロンさんは片思いだったんです」

「でもパパはロンさんとママが出来てるって言ってるじゃない」

「ママさんもロンさんを愛しているからです。でもロンさんはそれを受け入れませんでした」

「どういうこと」

「ママさんを愛しているからですよ、二股をさせないためです。 好きなら何をしてもいいというわけではないということをロンさんは知っているからです」

「ママ悲しそう」

「はい、3人とも」

「つまり、わたしの誕生は誰にも歓迎されることはなかった」っていうことね」

「姫様・・・」

「わかったわ、もういい 成仏なんかできなくていい」

「待ってください姫様、あなたに見せたいものがあります」

「亀吉、わたしは目が見えないのよ、目が出来上がる前に死んでいるのよ」

「さあわたしの背中に乗ってください。」