常識を欠いた社説-朝日新聞 | あ

常識を欠いた社説-朝日新聞

ビラ配り有罪―常識を欠いた逆転判決


 40戸からなるマンションがある。玄関にオートロックは付いていないが、管理組合は部外者が廊下などの共用部分に立ち入ることを禁じ、その旨の張り紙をしていた。

 ここに無断で入り、最上階の7階から順番に各戸のドアポストに共産党のビラを入れていった男性の住職がいた。

 東京高裁は「住居侵入罪に当たる」と判断し、一審の無罪判決を破棄して罰金5万円を言い渡した。

 住職の行為は、刑罰を科すほどの犯罪なのか。罰することでビラを配る人の表現の自由を侵害することにならないか。裁判ではこうした点が争われた。

 東京高裁の理屈はこうだ。憲法は表現の自由を無制限に保障しておらず、公共の福祉のために制限することがある。たとえ、思想を発表するための手段であっても、他人の財産権を不当に侵害することは許されない。住民に無断で入ってビラを配ることは、罰するに値する

 一方、無罪とした東京地裁はどう考えたか。マンションに入ったのはせいぜい7~8分間。40年以上政治ビラを配っている住職はそれまで立ち入りをとがめられたことがなかった。ピザのチラシなども投げ込まれていたが、業者が逮捕されたという報道はない。ビラ配りに住居侵入罪を適用することは、まだ社会的な合意になっていない。

 市民の常識からすると、一審判決の方がうなずけるのではないか。住職の行動が刑罰を科さなければならないほど悪質なものとはとても思えないからだ。

 もちろん、住民の不安は軽視できない。マンションの廊下に不審者が入り込んで犯罪に及ぶこともある。ビラを配る側は、腕章を着けて身分を明らかにしたり、場合によっては1階の集合ポストに入れたりすることを考えるべきだ。

 しかし、そうした配り方の問題と、逮捕、起訴して刑罰を科すかどうかというのはまったく別の話だ。

 今回、住職は住民の通報で逮捕された。検察官が勾留(こうりゅう)を求め、裁判官がそれを認めたため、住職は起訴されるまで23日間も身柄を拘束された。

 判決は、住職の勾留された日数を1日5000円に換算し、5万円の罰金から差し引くとした。だから、刑が確定しても住職は1円も払う必要はない。いったい、何のための逮捕、起訴だったのか。

 事実上、罰金を払わなくてもいいとはいえ、有罪判決という事実は残る。乱暴な捜査のやり方も追認されたことになる。それが怖いところだ。

 自衛隊のイラク派遣反対のビラを防衛庁官舎で配って住居侵入罪に問われた市民団体の3人に対しても、東京高裁は一審の無罪判決を取り消し、罰金刑を言い渡している。理屈は今回と同様だ。

 表現の自由への目配りを欠いた判決が高裁で相次いでいることは心配だ。いずれも被告側は上告した。市民の常識に立ち戻った判断を最高裁に求めたい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html


至極当然な判断。

表現の自由が、どこまでも自由であるわけがない。

マスコミは自由という部分はやたらと強調するが、それにともなう責任という部分が全く欠けている。

まったく、中学生かオマエら。