「おはよう」のない「おやすみ」


「おはよう」の無い「おやすみ」!①




アマナが「おやすみ」した後、
カムナはアマナがアマナでいれるかな、という事を心配しました。
今も、これからも、今ままでもずっと。


でも、心配しているうちに
お互いが永遠に憎みあう可能性があることに気づいてしまいました。

そして、
それが「終われない事」でした。


アマナが目を開けた瞬間、

憎みあいが終わらなければ?
アマナがずっと真っ白なアマナであれば?

1つ目は悲しい事。
2つ目は嬉しい事。

2つの終われない事をカムナは気づいてしまいました。


そして、
アマナが寝ているうちに、
アマナが起きないうちに、
カムナが「おやすみ」すればよいのだと思いました。

「おやすみ」とは、
アマナの記憶からカムナの事を覚えている記憶が消える事。

でも・・・・
それは、アマナの中にある自分の記憶がなくなる事であり、
アマナはカムナに気づく事がないことを意味しました。
それも、悲しい。。

でも、もし今からアマナが目を開けたときに、
不完全な関係が始まるなら、
アマナが覚えているカムナの記憶から、
自分を差し引くことで、アマナだけの記憶になり、
アマナはずっと完全である事が出来る、そう思いました。


「いや、気づかなくていい。気づいてはダメなんだ。
何も気づかず、全てを忘れるんだ。。。起こしてはダメだ、
音も立ててはダメだ。」


汚してはいけない。
望んだことを邪魔してはいけない。
死なせてはいけない。
目を覚まさせてはいけない。
何も知ったり思い出してはいけない。



そう感じたカムナは、

アマナの中のカムナ-カムナ=アマナだけ


まだ、何も始まってもいない、
真っ黒と真っ白の時の世界とは思えばそのまま実現してしまう世界。


カムナはそう思った途端、
死の五角形を描き、消え始めてしまいました。
自分が死の五角形である事を、
自分で知らなかったかムナは、


「消えてしまう、抱っこできなくなる!」


そう思いましたが、
でも、五角形が表れ消え始めたという事は、
逆に、カムナにとって、アマナが完全である証明でした。



「これでよかった。
ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ」


五角形の5つのゼロ、
そしてその中にある92個のゼロ、

数とはゼロを数えること、
92個のゼロが響き渡りました。

ゼロは、
「何も無い」という意味ではなく、
憎みあう可能性がゼロ・・・
完全という意味を表し、

そして、
双子には「おはよう」は、
絶対あってはいけないことなのでした。


5角形が消えた消しゴムのカスがギューと中心に、
集まり無限に小さな点となり、


「アマナ、おやすみ、だよ。」

と、カムナはアマナに足音を気づかれないように、
自分で自分に言いました。