京極夏彦さん、第56回吉川英治文学賞受賞記念贈呈品 | 日本物怪観光のブログ

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京極夏彦さんが『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞されたということで、「怪と幽」編集長R氏の依頼を受けて、お祝いの贈呈品を制作致しました。

第56回吉川英治文学賞受賞式


特にお祝いはいいよとおっしゃっていたそうですが、無理矢理聞き出したら、

「東京タワーで売っているお土産みたいなものかな。」

とのご解答。

ならばと、そんな感じの記念品を制作してもらえないかとご連絡戴いた次第です。


R氏のご要望は、

「遠野舞台なので、遠野っぽいモニュメントを入れる」

「本編で扱っている6つの妖怪を入れる」

「貝殻などを使ったイヤゲ物な感じで」

といった感じでした。


モニュメントは、こういったお土産品に付いている東京タワーや金閣寺といった建物のミニチュアが良いかなということで、「南部曲り家」にしました。

色は当然金色です。屋根には、6体の妖怪の内の1つ「波山(ばさん)」を風見鶏風に配しました。


曲り家の後ろには、「磯撫(いそなで)」の尾を配置しました。

「絵本百物語」に、

「尾には鐡(てつ)の如き針、逆(さかしま)に生ぜり」

とあるので、南部鉄で作られた自在鉤の魚のようなイメージで形にしました。


数千年生きた法螺貝が龍となったという妖怪「出世法螺(しゅっせぼら)」は、R氏のリクエストに応えて、貝殻細工にしました。

小さな法螺貝を探すのに苦労しましたが、なんとか手頃なサイズを見つけられたので、それを使用しました。

貝細工風ということなので、龍も玩具テイストに。

山梨県の郷土玩具・福龍風にしました。

出世法螺は頭に貝の蓋が乗っているので、最初輪切りの丸太を乗せていましたが、貝細工感を出す為に、サンゴ礁に変えました。悩みましたが、この方がよりイヤゲ物感が出たので、こちらを採用しました。


「鬼熊(おにぐま)」はウッド粘土で原形を作り、彫刻刀で彫り起こしました。

郷土玩具で熊といえば木彫りの熊なので。

口には鮭の代わりにキャストで型取りした馬のチャームをぶら下げました。


「恙虫(つつがむし)」は赤べこのような張り子玩具風にしました。

身体もあえてツルツルにして、鱗は手描き、脚は針金、触角は水引にしました。

赤べこ同様、首は振り子にして、仕上げはニスでツヤツヤにしました。



「お歯黒べったり」は、射的の的などに使われたビスクドールの花嫁人形風にしました。

オリジナルは手に扇を持っていましたが、こちらは香り袋を持たせてみました。




おそらく京極さんは、聞かれたから何気に答えただけで、こういった物を本当に欲しいとは思っていなかったと思います。

ですけど、こんなことでもなければ絶対に作られることはなかった記念品ですので、尽くせる贅は惜しみなく盛り込んでみました。

何はともあれ、受賞おめでとうございます🎉