作業の合間に、ペットボトルキャップの上に乗っかるミニフィギュアにして行くという縛りで制作しています。
今回取り上げたのはこちら。
虫プロダクションのアシスタントで、魔神バンダーの漫画版などでも知られる漫画家・井上智さんが手がけたオリジナル作品「妖怪小僧」(マンガショップ)より、恐山の妖怪『ドロリ』です。
こちらに紹介しているのはマンガショップ発行の初の単行本となる完全復刻版で、オリジナルは1968年に秋田書店の「冒険王」に連載されていました。
登場する妖怪は、特撮キャラクターデザインを手がける成田マキホさんが監修しており、怪獣的な要素が盛り込まれていて面白いです。
ドロリは小僧の父親、妖怪大王の元配下のカエルの妖怪です。第1話「石化妖怪 目土砂(めどさ)」に登場さし、妖怪小僧の目土砂退治に協力します。息子のピコは、この戦いの後妖怪小僧と共に妖怪退治の旅をする相棒になります。
妖怪は、誰かが形にすることで、そのデザインの下敷きが出来上がって行きます。
このドロリ、口には歯のかわりに毛が生えています。
これは、ゲゲゲの鬼太郎に登場した妖怪・邪魅(じゃみ)の影響があるのではないかと推測します。
妖怪・邪魅は、鬼太郎ではガマ仙人によってカエルの姿にされていますが、その姿は鳥山石燕の描く魍魎の姿です。これは作者の水木しげるさんが中国の妖怪・邪魅と魍魎を取り違えたことによります。
しかも何故か水木版・邪魅という名の魍魎は、口から毛が生えています。これ、おそらく石燕の魍魎が口に人の死体の頭を咥えていたことが影響しているのではないかと思われます。
邪魅と魍魎を取り違え、魍魎を描き写す際にオリジナルとはデザインの解釈が変わる。
そのキャラクターがカエルと関連した物語の中に描かれることでカエルの妖怪としてのイメージがついて行く。
カエルにされていた(魍魎の姿をした)妖怪・邪魅が、次にカエルの妖怪をデザインする人に、意識的にか、無意識的にかはわかりませんが影響を与える。
そうやって作られた作品を見た人に、また少しずつ影響を及ぼして行く。
こんな風に考えると、創作された「妖怪と呼ばれるものたち」をひとつひとつ丹念に追って行く作業というのも、妖怪造形史的にみると、とても大切なことのように思います。
…ちょっと話が脇道に逸れてしまいましたね。
それではご覧戴きましょう。
井上智「妖怪小僧」より
『ドロリ』
いかがでしたでしょう。
あなたの背中に何が浮かびましたか?
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