この前、通りすがりに見つけた電柱。
電柱が電柱を支えています。
これ、古い電柱を新しい電柱に立て替える作業みたいです。
新しく立てる電柱が安定するまで支えて、固まったら古い電柱と支えを抜くようです。
さて、この電柱という存在ですが、街の景観問題でよく取り沙汰されますね。
私の故郷、岡山県倉敷市の美観地区は、昔から巨費を投じて、電線を地下に埋める作業をしています。
確かに電柱がないのはすっきりさっぱりなのですが、ルートによっては、工事に3年を要し、その間その区間は交通制限される為、お店や住人もかなり影響を受けます。
自分なんかは昭和の生まれで、父親の撮る写真も電柱の立ち並ぶ倉敷の風景が当たり前でした。
どちらかというと、電柱が好きな方でしたので、そこまで躍起になって電柱を埋めたい気持ちはよくわかりませんでした。
倉敷は観光で潤っている街なので、景観を考えることは、とても重要だとは思うのですが。
さて、所変わって、妖怪のブロンズ像で有名な鳥取県境港市。
妖怪好きなこともあって、ちょくちょくお仕事やら何やらでお世話になっているのですが、この街で伺った電線にまつわる重要なお話があります。
鳥取県は、2000年に鳥取西部地震という大きな地震の被害を受けました。
地震の規模はマグニチュード7.3、境港市は最大震度である6強を記録しました。
これだけの大地震でしたが、色々な条件が重なって、幸いなことに死者は0でした。
街の被害としてはかなりのものでしたが、そんなこともあって、被害の大きかった他の大地震に比べると、メディアで取り上げられることも少なく、世間ではこの大地震について、あまり知られていません。
現在、境港市は水木しげるロードを中心に街並みを整備しています。
ここでは、あまり電線を地下に埋める作業をしない方向で考えいるとのこと。
江戸時代イメージの街並みなら、電柱が問題になりますが、鬼太郎が町を闊歩していた昭和30年代くらいの景観なら、大規模な工事は必要ありません。
もちろん予算的な問題も大きいとは思いますが、そこには18年前に起きた、この大きな地震の教訓も生かされています。
鳥取西部地震は、死者こそ出ませんでしたが、都市機能には大きなダメージを受けました。
その時、1番復旧に時間がかかったのが、地下に埋めた電線でした。
目に見える電線はかけかえが早く、季節柄冷え込み始めた地域に、素早く電力の供給ができました。
逆に地下に電線が埋まっていた地域には、なかなか電気を送ることができませんでした。
もちろん電線は切れるなどして感電や火災の危険もあります。
境港市では、この経験を生かして、安全と災害対策の両面から、電柱の設置場所を考えているそうです。
世界各国、今まで起きないと思われていた土地でも大規模な地震が起きている昨今。
景観だけではなく、こういったことも考慮する必要があるのかもしれませんね。