水木しげる漫画大全集 第3期第14回配本 | 日本物怪観光のブログ

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今年も気がつけば1ヶ月が過ぎ、2月配本分の水木しげる漫画大全集が届きました。

今回配本も前回に引き続き、『ボクの一生はゲゲゲの楽園だ 下他』『貸本漫画版  墓場鬼太郎3』の2冊です。

ボクの一生はゲゲゲの楽園だ下他』はいよいよ完結です。
講談社・コミックス版の5、6巻にあたる本作は、貸本漫画家時代から週刊漫画誌デビュー、人気漫画家になってから世界妖怪協会発足の後、御大79歳の頃までを描いています。

ここら辺のお話は社会の出来事よりも自分史中心。
自伝的漫画の過去原稿などを流用しつつ、プライベートな出来事を綴っています。

差し込まれている原稿が、漫画として描かれた自分を主人公にした物語からだったりするので、実在の人物がキャラクター化されていたりして、事実とは異なっている部分もあります。(多田さんが宗教人類学者だったりw)
しかし、本作に登場する人物達は、多少設定は違えど、実際に存在している人達ですから凄いですね。

尚、本作には2001年に発売された講談社・コミックス版と、後に文庫化された「完全版水木しげる伝」があります。
今回収録されているのは、完全版の方です。
こちらにはラストシーンで4ページ、東京堂出版の「あの世の事典」のカットが差し込まれています。
80歳近くなっても連載を抱え、忙しくしている水木さんは、なおもかかってくる原稿催促の電話を逃れ、天神通り商店街の伏見稲荷のベンチに座ります。
そこで物思いにふけるラストシーン。
ここの場面を捕捉する意味あいでチベットの「死者の書」とダンテの「神曲」の迫力ある2枚のカットが差し込まれています。
そこに総括ともいえるモノローグが加筆されているのですが、こちらは講談社・コミックス版にはありません。
唐突に終わる感じがあるので、追加されたんだと思いますが、私は講談社・コミックス版のラストも好きでした。
仕事から逃れ、物思いにふける水木さん。
そこで猫がひと声ニャーと鳴いて最後のページへ。
是非この本を手に入れた方は、4ページ分を飛ばした形でも読んでみて下さいね。

本書には他に、こまごまと沢山の妖怪が描かれた、ウォーリーを探せ的な雰囲気が楽しい、こぐま社の「絵巻えほん」2作や、昨夏の三井記念美術館の展示「地獄絵ワンダーランド」にも展示されていた「水木少年とのんのんばあの地獄めぐり」も収録されています。



さて、今回配本もう1冊は、こちらもラストを迎える『貸本漫画版  墓場鬼太郎3』です。
様々な版元を経て、ようやく再開した墓場鬼太郎でしたが、刊行途中で三洋社が倒産して終了、未完の作品となります。

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[第4集の最後のコマ]

せっかく入稿していた第5集「カメ男の巻」の原稿もどこへ行ったかわからなくなってしまいます。
カメ男は、そのラフ原稿が「追悼水木しげる ゲゲゲの人生展」でも公開されていますが、今となっては読むことができません。

大変残念ですが、さすがは水木しげる漫画大全集。
水木さんが残したメモを掲載。
この物語がこれからどのようになっていくのか、ぼんやりと知ることができます。
どのような内容なのかはネタバレになってしまうので書きませんが、ねずみ男とカメ男の出会いの場面や、第6集に用意されていた鬼太郎の物語には、その後べつの漫画で採用された展開が用意されていたようです。
本書収録の第4集の後半が、後に描かれた鬼太郎漫画のエピソードの一つと同じ展開であることを考えると、より実感を持って伝わってきます。

幻となった5集6集の貴重な情報まで掲載して戴けるのですから、本当にこの全集はすごいです。

未完ながらも水木漫画のエース墓場鬼太郎もこれをもってついに終了。
いよいよ全集も残り僅かとなってきました。

次回配本が待ち遠しいような、来ないで欲しいような…(/ _ ; )