水木しげる漫画大全集第16回配本 | 日本物怪観光のブログ

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ゴールデンウィークでも、きちんと届く水木しげる漫画大全集。ありがたや。
前回書けなかったので、久々のレビュー&更新です。

今回配本は、貸本漫画時代の長編読み切り3本収録の『墓の町その他』と、1970年前後の短編を多数収録した『シリーズ日本の民話全/怪奇幻想旅行全』の2冊です。

なんとも贅沢な、読み切り作品を思う存分楽しめる豪華な2冊となっています。
私がこの2冊に収録されている作品を読んだのは1986年頃、朝日ソノラマから貸本漫画傑作選が発売された時でした。
当時の岡山は書店に行くと、昔発売された漫画も在庫していれば書店に並んでいました。日本の民話シリーズが収録されたサンコミックス『水木しげる幻想と怪奇』シリーズ等は普通にまだ書店で売られていて、当時の最新巻である貸本漫画作品と、70年代短編を同時に読むことが出来ました。
まさか、その時と同じような感覚を30年経って味わえるとは思いませんでした。
色々な読み切り作品を同時に味わってみると、改めて水木先生のストーリー作りの面白さがわかります。
下敷きにしているのは、海外作品もあれば、日本の民話、海外の伝説など様々ですが、水木作品になると、その骨組みは残っているものの、全く違った趣きの作品になってしまったりもします。
尊敬する詩人へのお土産にしゃれこうべを持って行こうとする主人公や、父の勧める結婚相手が嫌なので、喫茶店で相席した見るからに怪しい男に結婚相手を偽装してもらったりと、その設定自体がすでに怪しく、しかもどこかユーモラスです。あり得ないことが突然起こり、ハラハラしていると意外にあっさりストンと終わります。
これは水木先生ご自身からにじみ出る面白さなんだと思います。
アシスタントをされていた漫画家の池上遼一さんは、当時の先生の様子を、常にストーリーを絞り出す事に悩んでいたとおっしゃっていますが、これだけの作品をこんなにもたくさん生み出す苦労は、並大抵のことではなかったと思います。

今回は今まで単行本になっていない作品が多数収録されています。中には未発表原稿まで(≧∇≦)

ゴールデンウィークは終わりかけていますが、この週末あたりはどこへも行かず、水木短編の怪しくもユーモラスな世界を彷徨うのも宜しいかと。