謙虚にね | カスケ汁

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「いらっしゃい!」
蕎麦屋を一人で切り盛りするお爺さんは俺にそう叫んだ。

正面に立つこちらも結構お歳を召したお客さんが、店員に関心の声をあげた。
「あのね。そのね、『有難う御座いました!』ってのがね、言えないのよ私」
そんなに言い辛い言葉なのかねぇ。
「だからね、あなた。それ言えるのがほんっとに、エライ!」
照れ臭そうに笑う店員。
「『有難う御座いました』ってね、お礼の言葉だからね、一つ下から言わなきゃならないからね」

「だからね、言えない」

お前働いたことないだろ。

「あとね。そのね、『いらっしゃいませ!』ってのがね、言えないのよ私」
それもかよ。
「だからね、あなた。それ言えるのがほんっとに、エライ!」
面倒臭そうに笑う店員。
「『いらっしゃいませ』ってね、歓迎の言葉だからね、一つ下から言わなきゃならないからね」

「だからね、言えない」

歓迎しろよ。